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「勇猛な魚」と書いて「勇魚(いさな)」。鯨の別名・古名であり、イルカを指す事もあるらしい。「鯨に古名がある」と言う事は、昔から日本人にとって鯨が馴染み深い動物である事を意味し、さらには沿岸捕鯨(*1)とは言え捕鯨が古くから日本にあった事も示唆している。その捕鯨の伝統はC.W.ニコルの小説「勇魚」にも描かれているそうであるし(*2)、鯨の髭や骨を使った伝統工芸品にも事欠かない。
言うまでもないが伝統工芸品なんてものは、一朝一夕にできあがるものではない。
言うまでもないが伝統工芸品なんてものは、一朝一夕にできあがるものではない。
故に、巷間の一部にある「日本の鯨食=鯨肉を食用とする習慣は、戦後の一時期に限った特殊事情であり、伝統でもなんでもない。」とする説を、日本に住む日本人で信じるような輩は、余程の馬鹿か明きメクラだろう
無論、馬鹿や明きメクラな日本人も相応の数居ることは覚悟しなければならないが。
一方欧米諸国はと言うと、「鯨座」として描かれる鯨が、上半身は唐獅子かカバみたいな実物の鯨とは似ても似つかないシロモノ(*3)だったりするから、鯨には余り縁がないのだろう。工芸品の材料とする話も寡聞にして知らないし、無論肉も食わない。
それでも近代的な遠洋捕鯨の先達は欧米諸国であり、殊に日本が鎖国政策を(一部なりとも)放棄して開国を余儀なくされた契機である「日米和親条約」の眼目の一つは、日本沿岸にやってくる米国捕鯨船に対する薪水の補給である。これは、「白鯨」に描かれる通り当時アメリカを含む欧米諸国が大々的に遠洋捕鯨を実施していたことが背景に在る。当時ですら肉を食わない欧米諸国がこぞって遠洋捕鯨をやっていたのは、鯨油からローソクやランプ油を作るためであるのも「白鯨」に描かれているところ。だから、石油化学が発達してパラフィンが量産され電灯が普及すると、伝統もなければ未練もない欧米諸国の捕鯨産業は全滅してしまった。今でも捕鯨を実施しているのはノルウエーはじめとした少数派だ。
なるほど、捕鯨国は少数派である。かつてローソクとランプ油のために鯨を大量虐殺した多くの国が、今は反捕鯨国に成り果せている。彼らの主張通りに鯨が絶滅の危機に瀕しているのならば、その危機の相当部分の責任は、ローソクとランプ油のために鯨を大量虐殺したその「反捕鯨国」にあるにも拘らず。
幸いにして反捕鯨国の主張は誤っている。それは我が捕鯨船団をはじめとする調査捕鯨が細々ながらも続行されているから分かること。調査捕鯨さえ中止中断したら、一体どれほどの鯨を海洋資源として活用できるかすら分からなくなる。海洋資源、左様、鯨は昔から我が国にとっては大いに有用な水産資源であり、それ故に「油を絞ったら残りは捨ててしまう」などと言う勿体無いことはせず、髭から骨までそれこそ一物余さず有効利用する。それは我が国捕鯨産業並びに鯨加工産業が壊滅することなく生き延びているからこそ可能なのである。
と同時に、左様な調査捕鯨結果にも拘らず、奇怪な感情論と似非科学に敗れて捕鯨が中止されるようなことがあれば、それは感情と似非科学に対する知性と理性の敗北である。故に私は散々当ブログでも記事にしている通り、捕鯨推進派であるし、それ以上に、反GP(グリーンピース)・反SS(シーシェパード)派なのである。
以下に掲載するは、捕鯨の町・太地町で今も息づく捕鯨の誇りと、相変わらず浅薄な屁理屈で蠢動するSSの動きである。
<注釈>
(*1) 遠洋捕鯨には、遠洋航海に耐える捕鯨船と航海術が必要になる。それは必然的に大型船であり、海外渡航共々江戸時代には国禁とされてたから、我が国に於ける遠洋捕鯨は近代を待たねばならない。(*2) 正直、伝聞である。読んでいない。(*3) ソリャまあ、アンドロメダ姫を取って喰おうと言う「化け鯨」であるから、そんじょそこらの鯨ではないのだろうが。
転載開始========================================
「生活と誇り守りたい」 和歌山・太地町で追い込み漁、9月1日解禁
今も昔もクジラやイルカの解体作業が行われている太地漁港=和歌山県太地町
国内古式捕鯨の発祥地、和歌山県太地(たいじ)町で伝統漁法「追い込み漁」が9月1日、解禁される。昨シーズン、反捕鯨団体などによる漁業関係者への妨害行為が相次いだため、県警や第5管区海上保安本部は解禁前から警備態勢を強め、漁協も特別訓練に参加。町を歩くと、ピリピリとした緊張感も伝わってくる。その一方で、地元住民からは「クジラの町」の本音が聞かれた。(池田美緒、写真も)
クジラの町
風見鶏ならぬ「風見クジラ」や風力発電クジラ…。町のそこかしこにクジラにちなんだモニュメントがある。熊野灘に突き出た人口約3200人の小さな町、太地町。町の玄関口、JR太地駅にあるエレベーターや障害者用トイレは、観光、そしてクジラ研究を中心とする学術都市を目指す町が、訪れる人たちのために整備したという。「太地からクジラがなくなったら、何もない」。同町漁協参事の貝良文さん(51)はそう、つぶやいた。漁の解禁前だが、スーパーには、過去に採れたクジラの内臓や皮の加工食品が並ぶ。同町では古くから「肉といえばクジラ」。平地や川のないこの町にとって貴重な栄養源で、生活の糧(かて)でもあった。クジラを追って港に帰る船をお祭り騒ぎで迎える町民…。ほんの50年前は当たり前の光景だった。不漁の年には、海外へ出稼ぎに行った。明治時代には無理な出漁で、一度に100人余りが亡くなる悲劇もあった。そんな町民が命がけで引き継いできた生業は、今も若者を惹(ひ)きつける。漁業は高齢化が進んでいるといわれるが、太地では世代交代が進み、捕鯨には10~20代の若者5人が携わっている。追い込み漁を続けている同漁協のいさな組合(23人)の三好雅之副組合長(67)は「捕鯨にあこがれて入った若者に技術と誇りを継いでいきたい」と語る。
緊張感
穏やかな町だが、追い込み漁解禁を控えて緊張感が漂っていた。シー・シェパード(SS)など反捕鯨団体の妨害行為を防ぐため、和歌山県警は今月、警戒拠点として臨時交番を町に設置した。イルカを入れる漁協のいけすの様子を確認したりパトロールを強化したりと警戒を強めている。「動物の生死を商売にしているのは彼ら(SS)の方だ」。同漁協販売課長の〆谷(しめたに)和豊さん(44)は憤る。観光客らに配慮し、漁協が畠尻湾で早朝に行ってきたイルカやクジラの処理作業を隠し撮りしたり、妨害したりした反捕鯨団体のメンバーら。英語で何をまくし立てていたのかよく分からなかったが、米映画「ザ・コーヴ」を見て怒りが増した。いさな組合副組合長の三好さんも「誇りもやりがいもある仕事を突然否定する彼らに対応するのがつらい」と語る。同組合では、反捕鯨団体などに対抗してビデオカメラ3台を購入。単独行動を控えて衝突を避けるなど細心の注意を払う。「法律を巧みに利用するSSに自分たちが乗せられたら、警備してくれた人たちの顔をつぶすことになる」と覚悟を語った。
誇りとともに
毎年4月末、町ではクジラに感謝する供養祭が営まれる。「太地は昔からクジラとともにあった。多くの先人を亡くした歴史も、後世に伝える義務がある。ここでくじけてはいけない」。三軒一高(さんげんかずたか)町長は力強く語った。町ではいま、クジラを観光、食文化のほかに学問の側面から生かそうと取り組んでいる。町の北側にある森浦湾を「クジラの牧場」とし、町立くじらの博物館を第一線の研究施設にする「鯨の海構想」だ。京都府出身の同博物館学芸員の中江環さん(30)も「博物館は『失った物』を展示していることが多い。ここでは生きたクジラがそばにいる」と魅力を説明する。全国から集まった研究者に魅力的な町に映るよう、町は女性が安心して使える衛生的な公衆トイレも整備。イルカやクジラを解体する太地漁港は県内初の衛生管理型漁港とするなど、環境と衛生に配慮した町づくりに取り組んでいる。交通の便も悪く、ほかに大きな産業もない太地町。しかし、町民は「こういう騒ぎさえなけりゃ平和な町」と胸を張る。そして三軒町長は「クジラのことが知りたければ一度は行かなきゃいけないような町にしたい」と語る。約400年にわたって受け継がれた生業への誇りが、町を支えていた。
シー・シェパード、イルカ漁妨害を再開へ 和歌山県太地町に活動家を送り込み
日本の調査捕鯨妨害事件で国際指名手配されているシー・シェパード代表のポール・ワトソン容疑者(AP)
9月1日から解禁される和歌山県太地町の追い込みイルカ漁について、米国の反捕鯨団体、シー・シェパード(SS)が、活動家を太地町に送り込み、漁の妨害を行う準備を進めていることが31日、わかった。SSは昨年も9月から幹部を太地町に長期常駐させ、妨害キャンペーンを展開。和歌山県警や第5管区海上保安本部は今年、現地での警備態勢を強化することにしているが、SS以外の反捕鯨グループの動きもあり、妨害活動はさらに激化することが予想される。SS関係者によると、SSは今年3月まで行われた昨期の妨害キャンペーンに引き続き、今期も「コーヴ・ガーディアンズ」(入り江監視隊)を組織。団体の主要メンバーを常駐させた上で、世界中からボランティアを募り、来年3月までの6カ月間、漁師らに圧力をかけるという。SS代表のポール・ワトソン容疑者(60)=傷害容疑などで国際指名手配=は、Eメールでの取材に応じ、「鯨やイルカを殺戮(さつりく)する残虐で野蛮な慣習は、21世紀の現代にはふさわしくない」と回答。さらに、「昨期は、われわれのコーヴ・ガーディアンズのおかげで、イルカの捕殺数を前年の半分に減らすことができた。捕殺が打ち切りになるまで、恐ろしいイルカ殺戮への反対は続ける」と答えた。SSは今回、和歌山県警や第5管区海上保安本部が事前に訓練を行ったり、警備を強化していることを報道などを通じて把握。摘発を防ぐため、妨害キャンペーンに参加するボランティアには、日本の法律を順守するよう求めている。また、活動を支援するための寄付金の呼びかけも始める。一方、米国の企業経営者で、動物愛護活動に熱心なアディ・ギル氏が自らのグループを組織し、イルカ漁への抗議活動を行う構えを見せている。ギル氏は今年1月に来日し、和歌山県でプレジャーボートを購入。海上保安本部は、海上で妨害を行う恐れがあるとして、動向を注視している。ギル氏はSSの元大口スポンサー。関係者に「今年中に、太地町を訪れたい」と漏らしている。また、イルカ漁を隠し撮りし、2010年の米アカデミー賞を獲得した「ザ・コーヴ」に出演のイルカ保護活動家、リック・オバリー氏は26日に来日。9月1日に、20人ほどの仲間とともに太地町を訪れ、現地で抗議活動を行うことにしている。
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