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 今回取り上げるのは、余命少ない菅内閣で財務相を努め、次期首相レースへの出馬も取り沙汰される渦中の人・野田佳彦の「A級戦犯と呼ばれた人たちは戦争犯罪人ではない」とする質問主意書を再確認した事に対する反応。繰り返すが、野田佳彦が「A級戦犯と呼ばれた人たちは戦争犯罪人ではない」とする質問主意書を出したのは2005年の民主党=野党時代であり、今回はその再確認を行なっただけ。5年前どころか昨日言った事さえ簡単にひっくり返す現首相や前首相に比べれば、比べるのが情けなくなるような現・財務省の首尾一貫だが、案の定真っ先に反応したのは半島で、日本のの新聞で社説に取り上げたのは朝日と産経の二紙。「社説比較」シリーズとしては対立軸が明確に設定された形だ。両紙社説タイトルとURLは以下の通り。
 
(1)産経 戦犯と財務相発言 「犯罪人でない」は当然だ  http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110818/plc11081802530005-n1.htm

(2)朝日 野田氏の発言―言葉を選ぶ器量を待つ http://www.asahi.com/paper/editorial20110818.html?ref=any

(番外)産経報道 「極右、軍国主義的な歴史観」と批判 野田財務相発言で韓国紙  http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110816/plc11081612080007-n1.htm
 
 いつもなら此処で評価項目を抽出して、比較表へと移るところだが、今回取り上げるのはいつもながら対決姿勢も鮮明な朝日と産経だ。先ずは両紙の社説、ご一読願おうか。

転載開始==============================================================================

産経社説 戦犯と財務相発言 「犯罪人でない」は当然だ

  http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110818/plc11081802530005-n1.htm
2011.8.18 02:52
 野田佳彦財務相が終戦の日の記者会見で、いわゆる「A級戦犯」は戦争犯罪人ではないとの認識を改めて示したことに対し、韓国がいわれなき批判を展開している。
 野田氏の発言は、民主党国対委員長だった平成17年10月に政府に提出した質問主意書について、「基本的に考えは変わらない」と再確認したものだ。韓国はこれを「過去の日本帝国主義の侵略の歴史を否定しようとする不適切な言行」と論評している。
 質問主意書は「4回に及ぶ(戦犯釈放を求める)国会決議などで、A・B・C級すべての戦犯の名誉は法的に回復されている」「A級戦犯合祀(ごうし)を理由に首相の靖国参拝に反対する論理は破綻している」という趣旨だ。
 戦犯に関する経緯を正しく踏まえた考え方である。
 野田氏が指摘した国会決議は日本が主権を回復した昭和27年4月前後から、当時の左派社会党も含め、ほぼ全会一致で採択された。これを受け、刑死・獄死した戦犯の遺族にも年金が支給されるようになった。旧厚生省から靖国神社に送られる「祭神名票」にも戦犯が加えられ、合祀された。
 中国や韓国にのみ配慮し、「A級戦犯」合祀を理由として首相の靖国参拝に反対する人たちは、もう一度、この赦免決議の原点を思い起こすべきだ。
 韓国の論評は、野田氏の発言を「日本政府が首相談話などを通じて明らかにしてきた公式な立場とも異なる」とも批判している。この批判も当たらない。
日本の過去を一方的に批判した昨年の菅直人首相談話や平成7年の村山富市首相談話を指すとみられるが、これらは当時の内閣の歴史認識を示したもので、戦犯の法的地位の問題とは無関係だ。
 野田氏の質問主意書に対し、当時の小泉純一郎内閣は、国内法上は戦犯は存在しないとする答弁書を閣議決定した。これが日本政府の本来の公式な立場である。
 野田氏の質問主意書は、小泉元首相が国会で「A級戦犯」を「戦争犯罪人だと認識している」と述べたことも批判した。だが、その小泉氏は首相在任中の平成13年から18年まで毎年、計6回の靖国参拝を行った。その後、首相の靖国参拝は再び途絶えている。
 首相が国民を代表して靖国神社に参拝し、戦没者慰霊の責務を果たす日を早く取り戻したい。
 

朝日社説 野田氏の発言―言葉を選ぶ器量を待つ 

http://www.asahi.com/paper/editorial20110818.html?ref=any
 首相をめざす志があるなら、よく考えてほしい。
 野田佳彦財務相が、靖国神社に合祀(ごうし)されているA級戦犯について、戦争犯罪人ではないとの見解を示した。野田氏は小泉内閣時代、戦争犯罪人だとする小泉氏に反論しており、15日の記者会見で「(当時と)基本的に変わりありません」と答えた。
 野田氏は、小泉内閣への質問主意書に以下の趣旨を記した。
 「戦犯」は関係国の同意のもと赦免・釈放され、あるいは死刑が執行されている。刑が終了した時点で、罪は消滅するのが近代法の理念である――。
 刑を終えたのだから、もはや犯罪者ではない。まつられているのが犯罪者でない以上、首相の靖国参拝にどんな問題があるのか、という理屈立てだ。
 だが問われているのは刑を終えたか否かではなく、彼らの行為が戦争犯罪かどうかであり、歴史認識である。野田氏の議論は焦点を外している。国の内外を問わず、戦争で肉親を失った数多くの人々の心情をいたずらに傷つけるだけだ。
 野田氏は現職閣僚であり、まもなく行われる民主党代表選に立候補する意向を固めている。首相になれば過去の歴史を背負い、日本国を代表して発言しなければならない。行動を慎み、言葉を選ぶのが当然だ。
 一方で、野田氏はこの終戦記念日に参拝しなかった。02年に代表選に立候補した際は「外交問題を引き起こす」ことを理由に、首相になっても終戦記念日の公式参拝はしないと言った。
 外交を大切にするのなら、誠意ある言葉で説明すべきだ。発言を受けて、韓国外交通商省は「侵略の歴史を否定しようとする言動だ」と批判している。中国や韓国のみならず、東京裁判を主導した米国との関係にも良い影響は及ぼすまい。
 代表選に立候補しても、この点を問われるに違いない。その時、自らの歴史認識も含めてきちんと話し、代表、そして首相の有資格者だと示してもらわなければならない。
 野田氏は、文芸春秋9月号に公表した「わが政権構想」で、国内産業の衰退や、電力・エネルギー、財政の「三つの危機」に取り組む決意を示している。
 確かに、いま優先すべきはそれらの課題だろう。とすれば、課題に取り組めるよう、野田氏は自ら環境を整えるべきだ。
 歴史をめぐる問題は、苦労を重ねながらここまで積み上げてきた。国のリーダーの言動で再び歩みを止め、処理すべき課題に向き合えない事態を繰り返すべきではない。
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