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 ダグラスA-1スカイレイダーは、米海軍最後のレシプロ艦上攻撃機である。
 開発開始は大戦中で、開発完了は大戦直後だから、是が日本やドイツならば「悲運の名機」「幻の名機」となってしまうところだが、其処は戦勝国アメリカの強みで立派に実戦配備され、あろう事か朝鮮戦争は愚かベトナム戦争までバリバリ現役だった単発単座艦攻だ。
 
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我が国の「流星」と同様に艦爆兼艦攻即ち急降下爆撃も出来る雷撃機として企画されたA-1は、主翼の20mm機関砲4門(※1)以外の全兵装を機外搭載とし、3000馬力級の究極とも言えるレシプロ空冷エンジン(※2)頑丈な機体(※3)3t以上の兵器(※4)を積み、魚雷3本を抱いて飛べる、「究極のレシプロ艦攻」だ。
 
 設計者はエド・ハイネマン。後にA-4スカイホークなどを手がけるこの名設計家が、既に開発は始ったが大した機体になりそうにない艦攻の残りの予算を新型機の開発に流用させてくれと米海軍に掛け合ったところ、米海軍の曰く。

「翌朝9時までに設計図を提出せよ」
 
 このとんでもない要求を部下二人と徹夜で仕上げたハイネマンの一夜漬け・A-1スカイレイダーは、確かに「最後のレシプロ艦攻」を飾るに相応しい、ユニークな機体だった。その特徴は、
 
 ① 単座=一人乗りであること
 ② 燃料タンクが胴体内の一つに統一されていること
 ③ 機銃以外の全兵装が機外搭載であること(※5)
 ④ 頑丈で防弾性にも優れていること
 
など数多くあるが、最大の特徴は・・・
 
 ⑤ 「搭載量が大きいこと。」
 
地上部隊・前線航空統制官からの「搭載兵器を知らせ。」との問合せに「何でもあるさ。」と答えたとか・・・

余りにいろんな兵器が積めるんで、「便器以外は何でも積める」と言われたとか・・・

それでも悔しいA-1パイロットが本当に便器を積んで出撃したとか・・・A-1スカイレイダーの搭載量は、伝説的ですらある。
 
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で、本当に便器を積んで出撃するA-1スカイレイダーの勇姿。 便器には信管が付いているようだから、中には炸薬も入っている模様。 

私は血の赤い日本人であるから、第二次大戦の米軍機と言うと、一言二言言わずにはすませられない(※6)。が、A-1スカイレイダーの搭載量、頑丈さ、コンセプトには、脱帽せざるを得ない。
 あまつさえ、ベトナム戦争ではジェット戦闘機Mig-17と空戦をやってこれを撃墜している。幾ら戦後第1世代・唖音速のジェット戦闘機とは言え、落とされるMig-17もMig-17だが。

【やっぱりおまけ】 私が、こんな趣味に走った記事ばかり書いていられたら、我が国は安泰なのだが・・・

<注釈>

(※1) 是だけでも我が国の「雷電」や「紫電改」に匹敵する。大戦中の戦闘機並みの火力である。因みに我らが零式艦上戦闘機の標準的な兵装は、20mm機関砲×2門(主翼)と7.7mm機関銃×2丁(機首)
 
(※2) 大戦中に我が国は、信頼できる2000馬力級エンジンを遂に実用化できなかった。大戦末期の零戦が積んだ「金星」エンジンが1500馬力に止まるのもそのためだ。
 とは言え、「究極のレシプロ戦闘機」P-51が液冷1750馬力のエンジンだから、A-1のエンジンが如何に大馬力か、わかろう。
 
(※3) 片側の主翼に7箇所づつハードポイントがある。胴体下面を入れて15箇所のハードポイント・・・レシプロ単発機とは、とても思えないような数だ。
 
(※4) 因みに、大戦中の我が国の「重爆撃機」は、双発機ばかりだが、1t程度しか積めない。雷撃による対艦攻撃を主任務として設計された1式陸攻をはじめとして、運動性能には定評があるんだがね。
 
(※5) そりゃ低速のレシプロ機だし、ステルスなんて誰も言わなかった頃だからね。
 
(※6) 2000馬力のエンジンに、4mのプロペラつければそりゃ速度は出るだろうが、コクピットに床板がないって、ありかよ。:F4Uコルセア 2000馬力級エンジンで頑丈な機体をぶん回して零戦に勝つのは良いけれど、縦通材が機首から機尾まで同じ太さの同じ本数じゃ、卒業設計は通らないぞ。:F6Fヘルキャット 3000馬力のエンジンに排気タービンつければ、そりゃ高空性能は良かろうさ。そのくせ有名なのが対地攻撃なのは不思議だね。:P--47サンダーボルト などなどなど

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ソラヒメってゲームがあるらしい。艦これの航空機版らしい。そのゲームの「A-1スカイレイダー」娘が、これらしい。
なる程、搭載量は大きそうだ。