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AFP通信が伝えるは、福島原発沖の海底土から、放射性物質が検出されたという事実のみの報道。
1> 東京電力(TEPCO)は3日、
2> 福島第1原子力発電所沖の海底から採取した土から、
3> 1キログラムあたり約1400ベクレルの放射性セシウム137を検出したと発表した。
4> これは、これまでに検出された2.3ベクレルの600倍を超える高い濃度だ。
と報じられている。
上記1>のとおり、① 「これは東電の発表である。」 かつ 上記2>の通り ② 「福島原発沖の海底土の検査結果である」 上記3>の通り ③ 「 検出さて多のは放射性セシウム137で、その濃度は土1kg当たり 約1400ベクレル である」 上記4>の通り④ 「 上記③の放射性物質濃度は、これまでに検出された1kg当たり2.3ベクレルの600倍を越える」 と、この①~④については(多分)事実の報道だろう。だが、この報道には、此のデータに対するナンの評価も、論評も、加えられていない。
何も知らなければ、すわ一大事と大騒ぎしそうな報道である。無論、そんな無知蒙昧の輩が、まだ大騒ぎしていなければ、だが。まあ、AFP通信としては大騒ぎでもナンでもしていただいて、当該記事が話題となり売れれば、ほくほくと言うところだろう。
つまりは、その大騒ぎこそ、AFP通信の狙ったところ。
だが、いささかなりとも知識があれば、そうはならない。
誠、知識は無知蒙昧の闇を照らす一灯の光である。
まず第一に「1kg当たり約1400ベクレルの放射性セシウム137」と言うのは確かに侮りがたい濃度である。が、これは海底の土から検出された値である。海底の土は、普通呑んだり食べたりする物ではないし、余程のことがない限り、近づくことすらない。尚かつ「土や水が1mあれば、放射線は1/100」と言うとおり相場からすると、「福島原発沖」の水深が何mあるのかは知らないが、10mやそこらでは効かないだろうから、この海底土に含まれる放射性物質は、殆ど人間世界から隔離されていて、直接の影響は全くないと考えて良い。福島原発沖の海底にスキューバダイビングして、海底に寝転がって昼寝でもしようとしない限り、影響の出ようがない。
ならば、今回東電が発表したこの海底土の放射性物質濃度が、どう人間に関わるかと言えば、この海底土に生活する小動物や海草類を餌にして育った魚を食した場合、ぐらいだろう。つまり当面の間、福島原発近海で捕れた魚に放射性物質が含まれる可能性があり、そのモニターは必要ではあろうが、それは現在福島県産農産物の放射性物質をモニターしているのと同じ理屈であり、即ち、食品含有放射性物質モニター体制の改善ではあっても、抜本的見直しでもやり直しでもない。
以上の事柄は、別に原子力の専門家ならずとも、わずかばかりの常識と、ささやかな科学的知識、それにAFP通信の報道を丸飲みにしない健全な猜疑心さえあれば、誰でも判ることだろう。
報道は、報道にしか過ぎない。「社会の木鐸」たる任務を果たすならば、上記のような報道には何らかの評価が加えられて然るべきであるが、多くの場合マスコミには「社会の木鐸」なんて意識すら期待できないし、分けてもAFP通信には期待出来ない。
そこは、国民自身の意識と啓発が、補わなければならない部分だ。
科学の灯火は燃え上がらねばならぬ。
炎よ、行け! -W・クルックス 「ロウソクの科学」序文より-