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 報じられているのは、米国が発表する、テロ組織アル・カイーダの親分・ビン・ラディンの死。

 ニュースソースが朝日新聞と言うところが要警戒であるが、AFP通信も同様の報道をしているから、「米国がビン・ラディンの死を発表した。」と言うのは、多分本当なのだろう。尤もAFP通信が、朝日新聞よりどれぐらいマシかというと非常に疑問ではある。少なくとも、北朝鮮関係や反捕鯨関係に関する限りは、AFP通信は朝日新聞と良い勝負、つまりは北朝鮮に関しては平壌放送並と覚悟すべきである。

ビンラディン容疑者を殺害、オバマ米大統領「正義はなされた」 http://www.afpbb.com/article/war-unrest/2797921/7158954

 だがまあ、今回の報道は北朝鮮とは「反米つながり」ではあるが、回教原理主義テロが相手であるし、とりあえず「報道は正しい」物として先に進もう。

 報道に依れば、ビン・ラディンの死は、病死や事故死ではなく、米軍特殊部隊の作戦により生起した銃撃戦に依る死。一種の戦死ないし暗殺である。対アル・カイーダ戦争、対テロ戦争は、非対称であり、不正規戦である部分が大きいから、仲々戦死は定義しがたい物ではあるが。

 別の報道では、この発表に全米が喚起に沸いているという。写真付きのAFP報道で、「やらせ」とするなら、相当大規模な「やらせ」だが、発表されたのが事実ならば、これぐらいはありそうな事だ。

全米、歓喜に沸く ビンラディン容疑者殺害 http://www.afpbb.com/article/war-unrest/2797962/7159370


 が、そうそう大喜びばかりはしていられない筈だ。

 これが勝利であることは確かだ。が、戦術的勝利であって、戦略的勝利とは限らない。
 ビン・ラディンが優れた指揮官であればあるほど、その損失による直接的損害はアル・カイーダにとって大きいだろう。が、それだけで、「米国の戦略的勝利」とは限らない。
 米国が、「ビン・ラディン暗殺成功」によって、「戦略的敗北」を被る場合とは、どういう場合かと言えば、「ビン・ラディンが殉教者として崇拝されてしまうこと」その結果、「アルカイダ側の士気が高まり、逆に米側の厭戦気分が高まること。」である。早い話が「対テロ戦争のベトナム戦争化」である。
 
 無論そんな事態は米軍、米政府が真っ先に考えるであろう事態であり、相応の手を打つ/既に打ってある事はまず間違いない。具体的には「ビン・ラディンの死を,殉死にしない宣伝工作」は用意されているに違いない。

 が、幾ら米国と言え、全ての作戦・工作が完全に成功するわけではない。

 従って、ビン・ラディンの死が米国にとって戦略的勝利になるか否かは、まだ予断を許さないと言うことである。

 また、そう言う「予断を許さない事態」に備えるからこそ、非常時の指導者であり、組織である。言うまでもないが、非常時の指導者の典型は指揮官であり、非常時の組織の典型は軍隊である。