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F2、防空の要所復活へ、奮い立つ松島基地 http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110417/dst11041721530051-n1.htm
2011.4.17 21:47
津波で被害を受けた松島基地のF2戦闘機復帰へ向け、整備作業が始まった=17日午前、宮城県東松島市(鈴木健児撮影)東日本大震災で深刻な被害を受けた航空自衛隊松島基地(宮城県東松島市)。水没した18機の教育用F2戦闘機の修理が17日、始まった。当初廃棄処分は避けられないとみられたが、防衛省は復活可能と判断した。滑走路は懸命な復旧作業で航空機の離着陸が再開され、被災地への物資輸送の前線拠点の役割を果たしているが、基地機能はまだ回復されていない。「北の空の砦(とりで)」ともいえる同基地の修復に向け、全国各地から1千人以上の空自隊員が志願して集まっている。(半沢尚久)
離島侵攻対処に不可欠
17日午前10時半。格納庫に置かれた1機のF2に10人ほどの空自隊員が近づく。翼に上がると、愛機をいたわるように布でほこりを拭き取る。復活に向けた作業は静かに始まった。
同基地のF2は新人パイロット養成用だ。10カ月の養成課程も残り数週間のところを3月11日、津波が襲った。滑走路脇に並んだF2を次々とのみこむ濁流。ある隊員は「渦に巻かれるように機体が回転した」と話す。
約40人いる新人は翌12日から三沢基地(青森県)に移っていった。「早く一人前になって教官として帰ってこい」。ベテラン隊員は笑顔で送り出したという。
F2は対地・対艦攻撃能力の高さが特徴。中国による武力行使の際に想定される離島侵攻に対処するうえで不可欠だ。津波に流されたり、水につかったりしたため使用不能となったが、防衛省は修理可能と判断し、修理費の見積もりに着手した。
F2は今秋に最終号機の納入が終わるため部品調達が困難となることも予想される。だが、基地司令の杉山政樹空将補は「F2の教育機能と基地機能を全面復旧させる」と強調した。
空自幹部も「『地上分散・空中集中』が航空作戦の鉄則。平時に戦闘機部隊を置いていなくても、有事では松島基地は要所だ」と指摘した。松島基地ではF2を練習機として使っているが、有事の際は支援戦闘機として投入されるからだ。
地べたをはう隊員
昼どきに基地内を歩くとがれきを集め、機材を洗う隊員があちこちにいた。食堂で昼食をかきこみ、とんぼ返りしてきたのだろう。
救助、給水・炊き出し、不明者捜索-。震災発生以降、隊員は被災者支援に全力を注ぎ、基地の修復は後回しにした。例外として最優先で取り組んだのが滑走路の復旧だった。泥や流木を除去し、2本ある滑走路のうち1本は震災3日後には離着陸が可能となった。
16日午前5時半、復旧後初めて着陸したのは米軍輸送機だった。嘉手納基地(沖縄県)から来た特殊部隊はここから仙台空港の復旧調査に向かった。
基地近くの「大曲市民センター」。通路をのぞき込むと若い隊員が黙々とヘドロを集めていた。
民生支援や不明者捜索に投入されているのは、全国から集まってきた応援の空自隊員だ。基地本来の所属隊員は1100人で、応援部隊も1100人。所属隊員が基地機能の復旧に専念できる態勢を敷いた。応援部隊は志願制で士気も高いが「地べた」の活動に慣れていない。くぎを踏みけがをする隊員も相次いでいる。
夕方、基地の体育館に入った。応援部隊の居住スペースだ。すし詰め状態で簡易ベッドがずらり並ぶ。隊員はチューブに入った「パック飯」を食べていた。
外に出ると、つぼみをふくらませた桜の木の前を幟(のぼり)を持った隊員が横切った。「千里同風」。世の中がよく治まっているという意味のこの幟は全国の基地に配られているという。全空自隊員が一丸になっていると確信した。
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報じられているのは、先の東日本大震災で津波を喰らった松島基地で、被災したF-2の修理が始まったと言うニュース。
松島基地については、その救難ヘリ部隊も津波を喰らって離陸する事叶わず、津波に流された救難ヘリを前に基地隊員が涙する動画は、その涙が圧巻である事共々先日当ブログでも紹介した通り。つまり東日本大震災に対する自衛隊空前の10万人救援隊性の中で、珍しくマスコミ報道された部分だ。
正面に対し、敬礼!-東日本大震災に於ける自衛隊の救援復旧活動動画 http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/35091431.html
その松島基地に配備されたF-2もまた津波を喰らい、倉庫に頭だけ突っ込んだ映像が空撮で広く報じられたところだが、今回報道では
> 当初廃棄処分は避けられないとみられたが、防衛省は復活可能と判断した。
と報じられているから、考えられるのは以下のケースだろう。
ケース1: 津波によるF-2の被害は、当初想定したほど酷いものではないと、判明した。
ケース2: 津波によるF-2の被害は酷いものだが、モジュラー交換・エンジン交換などで修理可能な目処が立った。
ケース3: 本来ならば修理可能な目処はなく、破棄処分が至当な機体だが、代替機調達の目処もないので、無理矢理修理する事にした。
ケース1は希望的観測だ。例えば、「F-2の電子機器格納部は水密になっていたので、津波の被害は電子機器には及ばなかった」場合なんかはこれに当たる。F-2支援戦闘機は確かに高価な航空機だが、航空機、なかんづく戦闘機が高価なのは大半その電子機器の価格による。特に今回の津波被害は先ず第1に浸水による被害、次に水流に流されている内にどこかにぶつけた事による機械的な被害であろうし、滑走路に整然と並んでいたらしい事もあってか、機械的な被害は外観上甚大ではなさそうだ。が、先述のような「電子機器格納部が水密だった」なんて事がない限り、水を被った電子機器が無事である可能性は、相当低いと覚悟しなければなるまい。従って、ケース1の可能性は、残念ながら高いとはいえない。
ケース2は次善的観測だ。最近の機体はモジュラー化が進んでいるし、エンジンなんてのは随分昔から丸ごと交換が比較的簡単に出来るようになっている。エンジンなり、電子機器を格納したセクションンなり、大きな被害をこうむった部分だけを交換することで(*1)、機体廃棄処分は免れて、F-2を復活させられる可能性。先述の通り、戦闘機の価格の大半は電子機器であり、その電子機器が水を被って交換となると、「機体破棄ではない修理」とは言え、機体丸ごと新規調達に比肩しうるほどの高コストになりかねない。津波として押し寄せたのが海水であり、塩水に違いない事もこの懸念に拍車をかける。電子機器に対しても水より悪影響があるし、材料に対しても基本的に宜しくない。F-2の特徴の一つである複合材で作った主翼なんかは、塩水に対してアルミ合金より強そうではあるが。
ケース3は、悲観的観測。「機体を新規調達した方が安いぐらいなのだが、新規調達では予算が通らないから、無理矢理修理」なんてケースを含む。馬鹿な話に聞こえるだろうが、自衛隊はその発足以来いまだに「戦闘による損耗」を経験していないから、戦闘機12機を一挙に失う何て事は想定すらしていない(*2)。昨年末に漸く発表された「防衛計画の大綱」だって、「この数を上限とする」と言う意思表示であって「この数まで揃える」ではないから、「東日本大震災による損害分は自動的に新規追加調達」と言う事にはならない。
であるからして、財務官僚的理由そのほかによって「新規調達では予算は認められず、修理ならば可能性はある。」と言うケースは、充分にありえそうだ。と言うことは、このケース3である可能性は、無視できない。
無論、日本国にとっても、日本国民にとっても、航空自衛隊にとっても、上記ケース1がベストであり、ケース2が次善。ケース3は不幸である。
だが、不幸にしてケース3による「修理」を選択しようとしているならば、その「修理」とF-2新規調達とは、真剣に天秤にかけるべきだろう。そのコスト比較もさることながら、無理矢理な修理によるリスクと既に生産終了を決せられたF-2を新規調達するリスクや、修理に対する新規調達にかかる時間のロスの評価など。
まあ、基本は「松島基地にF-2部隊の再生」と言うのは、私としては大いに首肯できるところであるが。
ふんぐるいぃ・むるぐうなうふ・F-2松島・うがふなぐる・ふたぐん!
<注釈>
(*1) 小さな被害の残る部分は、修理で対処する。
(*2) 先ず確実に。「有事に備えた弾薬増産計画」なんてのも、財政的にも技術的にも、検討されているとは思えない。検討しているとしたら、各武器弾薬メーカーの「取らぬ狸の皮算用」計画ぐらいだろう。