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 西岡武夫参院議長が記者会見で、「総理大臣の考え方が出てこなければ、お辞めになったらいいんじゃないか」と述べ、菅直人首相の退陣を求めた事が報じられている。
 参院議長が首相に退陣を求めると言うのも異例だが、その参院議長が首相と同じ民主党議員であるとなるとさらに異例だ。
 とは言え記者会見を開いてまで、左様な自党党首の首相退陣を公言する参院議長と言う「前代未聞」の事態が今回の主題ではなく、今回取り上げるのは、朝日新聞の記者である。
 
 14日に開かれた当該記者会見は、菅直人の首相としての今の事態に対する対応無策ぶりを追求し、退陣を求める西岡議長の発表から始まり、その後各記者との質疑応答となったのであるが、その質疑応答の相当部分が朝日新聞記者が占めて・・・まあ、何があったかは一読願おうか。
 
 以下に抜粋したのは、当該記者会見の全文を報じる産経記事から、朝日新聞記者と西岡議長の質疑応答。朝日新聞の質問には【Q#】、西岡議長の回答には【A#】をつけたのが、以下である。
転載開始================================================================================
西岡参院議長会見(3)「リーダーシップを持った方がやらなきゃだめだ」  http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110414/plc11041421080021-n1.htm
【Q1】--(朝日新聞記者)冒頭の発言で声が聞き取りづらいところがあったが、首相はお辞めになった方がいいんじゃないかという趣旨か
【A1】「はい。いや、今の状態を続けておられるならば。どうにもならないでしょ、これ。拝見してて。たとえばですね、官房長官が計画的避難とおっしゃったんですけどね、実はそこのところも制度を変えて、緊急事態法という法律をつくるべきだと申し上げたのは、避難命令とか立ち入り禁止命令というのは、この前も何回か申し上げたように、市町村長の自治体の長の責任でやるわけですね。だから、国が避難命令出すというのは、これはその、でまた一時帰宅をどうするこうするっていっているのは、市町村長とよく相談しなきゃできないわけですよ、これ。緊急事態法などをつくれば国の責任でやればいいんですけれども、そこのところの法整備についても、それをおやりになるっていうんだったらば、すぐ、それだけやるっていうんなら、すぐできるんですよね。衆院や参院を1日で通せばいいんですよ。法律を。そういうことがなかなか進まないところに、今度の計画避難なんていうことをおっしゃったりするから混乱するんで、それははじめから分かっているんですよね。風で放射能というものが、こっちの方に流れるとかですね。同心円でなかなかくくれないというのはもう、私ももう、さんざん長崎の被爆地の問題でこの問題でもう、住んでおられる方々の、皆さん方とのやりとりの中でさんざん経験してますからね、分かってたんです、これははじめから」
 
【Q2】--(朝日新聞記者)総理大臣が辞めたあとの政治体制は具体的にどういうものを考えているのか
【A2】「それは私がとやかく言うことではなくて。リーダーシップを持った方がやらなきゃだめだというだけです」
 
【Q3】 --(朝日新聞記者)総理大臣が辞めると政治空白ができますよね
【A3】 「そうかしら」
 
【Q4】 --(朝日新聞記者)被災者はまだ、仮設住宅に入ってない…
【A4】「は?」
 
【Q5】--(朝日新聞記者)原発の問題もあり、政治空白をつくることが…
【A5】「つくらないでも済むんです。つくらない方法があるでしょ」
 
【Q6】--(朝日新聞記者)ちょっと私が言いたいのは、ちょっとあまりに無責任ではないかと、議長の発言は
【A6】「なんでですか。やれないならですよ。私が言っているのは今のようなもたもたしたことをやっておられるようだったら、お辞めになるしかないと申し上げているんですよ。それの何が無責任ですか。今のままの方が無責任でしょ」
 
【Q7】--(朝日新聞記者)それは分かりますけどね…
【A7】「分かっているならば…」
 
【Q8】--(朝日新聞記者)それであるならば、その次にどういう体制をつくるのかというところまでしっかり明示しないと混乱を助長するだけではないですか
【A8】 「いや、そのときが来たら申し上げますけどね」
【Q9】--(朝日新聞記者)いつ、来るんですか
【A9】 「お辞めになんなきゃ来ないでしょう。私が申し上げているのは、もっと理由はたくさんあるんですよ。ここで申し上げていない。それには根拠があるんですよ、いっぱいね。ただ、洗いざらい申し上げたくないんでね、申し上げてないけども。今、朝日さんのご質問というのは、辞めろということが無責任と。それじゃ無責任のまま、今の状態を続けていっていいとうふうに朝日はお考えですか?」
 
【Q10】--(朝日新聞記者)無用な政治的混乱を生むよりは、そっちの方がましだと思います
【A10】 「あ、そう。へえ-。私はそう思いませんね。無用な政治混乱と思わないですね」
 
【Q11】--(朝日新聞記者)それはね、政権に至らざるところも、私もご指摘のように、あると思いますけれども、総理大臣に退陣を迫るというところまでおっしゃるのであれば、その後の体制をどうするのかということについて、議長として、公式の場で見解を述べられているのですから…
【A11】「議長がですよ、今ここで、じゃあ、内閣総理大臣はもう辞めていただいて、新しい体制はこうするべきだと私は言えないですよ」
 
【Q12】--(朝日新聞記者)だったら、辞めるべきだということについても言うべきじゃないと思います
【A12】 「何でですか」
 
【Q13】--(朝日新聞記者)無責任です
【A13】 「だって、私が別に内閣総理大臣を決めることはできませんから。まあ、朝日さんが菅内閣のスポークスマンみたいなことをおっしゃるとは思わなかったけども、ちょっと。今の状態でいいとお考えなら今のご質問というか、ご発言は私もお聞きをいたしますが」
 
【Q14】--(朝日新聞記者)それはだから、先ほど産経の記者さんもおっしゃってましたけども、多少の政治空白があっても変えた方がよりましになるという考え方も当然あると思いますね。で、あるならば、その具体像とは何なのかと。誰がやるのか、どういう政党がどういう…
【A14】「それ、私が言ってもいいんですか。それは私がそんなこと申し上げたら、また別の大変な問題になるでしょう。それは私が、このままでいいんですかね、ということを、これは公式の会見ですから、衆参両院の皆さん方、与党野党含めて、そして国民の皆様方に対して申し上げているわけですから。私が次、どういう組閣をしたらいいとか、そんな話じゃないでしょう。このままじゃいけないともう上げた。前も申し上げたんですよ。明日からでも改めてもらえばいいんですよ、と。ね。前申し上げたこと一回ありますよ。ご記憶と思いますよ。改めないから。だから明日から改めていただければ、お辞めになる方がいいんじゃないかっていうことは、私はもう、申し上げませんから。おかしくないでしょ?でしょ?だって、そうでしょ?このままでいいと思っておられる?」
 
【Q15】--(朝日新聞記者)議長の言うとおりにやってすべてものごとがうまくいくかということについてはそれはやってみないと分からないところもあるわけですよね。それは解決方法というのは…
【A15】 「何にもやらないよりはましでしょう。ねえ」
 
【Q16】--(朝日新聞記者)自分の言うとおりにやらないから辞めろという…
【A16】 「そんな意味を言っているんじゃなくて、私が申し上げているのは、このままじゃ…。だって1カ月たってですよ、いまだにですよ、これに対する法律も、1本も出されてないでしょ?阪神大震災のときでさえ、何日目でしたかねえ、4、5本は早くでましたよ。私の記憶では。4本ぐらいだったかな。法律が出てればいいというもんじゃないけれども、対応が遅すぎると言っているんです、私は。しかも、このままで、なんていいますかねえ、その、放射能に汚染された水を流したり、そういういろんなもろもろの国際的にも大変問題になるようなことをやっていて、皆様方はこのままで、このままの状態でいいとお考えなんですか?マスコミの皆さん方は?いや、朝日は」
 
【Q17】--(朝日新聞記者)いいと思ってないところも、いっぱいありますけど、それはだから、総理大臣を代えることとは別問題ではないかという認識ですね。もうこれ以上やっても多分意味ないので
【A17】 「私は前から言っているように、総理が方針をお変えになるならばいいませんと前も言ったんですよね。いまだにお変えになってないから!何をやっておられるんですか。私どもも責任を感じているわけですよ。こんな状態に対して」
================================================================================転載完了
 
 
 如何であろうか。
 
 朝日新聞記者氏(*1)の論旨は、合計17問にわたる質問の数にも拘らず極めて簡明だ。
 
(1) 菅直人が退陣すると、「無用な」政治空白が出来る。
(2) 震災・津波からの復興、原発への対処を考えると、今政治空白が出きる事は許容できない。
(3) 菅直人に退陣を要求するならば、次の首相と体制を明確に提案すべきだ。
(4) 菅直人内閣の現状に良くない所もいっぱいあるとは思うし、多少の政治空白があっても首相交代した方が良いという意見も判るが、ゴニョゴニョブツブツ・・・
 
 上記の(4)は「簡明」とは言いかねるな。まあ私が付け足したものだ。本論は上記の(1)~(3)に尽きる。
 
 何か思い出さないか?
 
 左様、当ブログでも取り上げた、毎日新聞4/14付け社説の「薄っぺらな菅直人擁護論」(*2)そのままなのである。是は何を意味するのだろうか?
 
 私には、以下のケースが考えられる。
 
① 当該報道の「朝日新聞記者」は、実は毎日新聞社説のゴーストライターである。
② 産経webの「朝日新聞記者」は誤報で、実は毎日新聞記者である。
③ 菅直人を擁護しようとすると、斯様な「政治空白論」ぐらいしか根拠が無く、擁護のし様が無い。
 言うまでもなかろうが、上記②が一番つまらない。産経に取っては一大汚点であろう。産経の事だから、真摯に訂正してくれるものと、期待はできるが。
 
 上記①は、それこそ新聞の沽券に関わるような大問題であるが、一方で「産経と朝日ならば兎も角、毎日と朝日の間ならば、あっても殆ど判るまい。」とは思う。その場合、4/14付けの朝日社説は一体誰が書いたのか、が多少問題だが、多少の問題でしかなかろう。
    
 無論上記③が、私の「絶望的」観測である

 

<注釈>

(*1) 姓名が不明なのは、少々残念だ。まあ、朝日新聞記者ならば、誰であっても似たようなものであるが。
 
(*2)  薄っぺらな菅直人擁護論-毎日社説「菅首相への批判 ただ「辞めろ」は無責任だ」を斬る  http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/35078155.html  参照