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 「統計で嘘をつく法」と言う有名な啓蒙書がある。本来は科学的データであり、正しい理解に役立てる筈の統計数値を以って、表現の仕方や調査の仕方で、如何に実態とかけ離れた印象を与えうるかを説いた、古典的名著だ。
 
 統計と言う数字を使ってさえ嘘をつく方法はあるのだ。似非科学、科学っぽい用語を使えばどれだけ大ボラがふけるかと言うのが、転載した記事だ。

転載開始=======================================================
2011年4月7日 10:00 (ロケットニュース24)  http://topics.jp.msn.com/wadai/rocketnews24/column.aspx?articleid=551938

地球を死の星にしてはならない / ホーキング博士「銀河系の知的文明は100年と持たずに絶滅してる」

 今回の東北地方太平洋沖地震によりもたらされた大震災。東京電力が悪いとか、政府の対応が悪いとか、そういうのは人間レベルの話であり、さらに目を向けなくてはならないポイントがあることを忘れていないだろうか?

 今回の放射能漏れ事故が、地球の46億年の歴史上、もっとも罪深い事態に発展しつつあることを忘れてはならない。現状でも「あってはならない事態」だが、このまま放射能漏れが続けば地球にとって抜き差しならない状態に発展していくのは間違いない。(*1)

 火山の大噴火、巨大隕石の飛来、大地震、氷河期、ハリケーン、すべて自然現象であり、それらの影響により絶滅した動物がいるのも確かだ。また、人類の歴史でも自然災害によって消えてしまった都市がある。1世紀にイタリア・ヴェスヴィオ火山の噴火により一瞬にして消えてしまったポンペイの町だ。

 それらの自然災害は人間や動物にとっては悲劇だが、地球にとっては至極自然な活動であり、宇宙の法則のひとつといえる。しかしだ。今回の放射能漏れは地球の生命すらを脅かしており、今後の展開によっては最悪のパターン、地球の命を絶たせることになりかねないのでは?(*2)

 理論物理学者として有名なスティーヴン・ウィリアム・ホーキング博士。博士は、この銀河系に知的文明を持った惑星が200万は存在するだろうと発言している。しかし、100年と持たずに絶滅しているともコメントしている。それはどうしてか? 自分たちでは使いこなせないオーバーテクノロジーを手に入れたことで、自滅してしまうというのだ。

 まさに、今の人間たちがそれではないのか? 想定外の事態が発生して放射能を漏らしているのであれば、原子力は人間が100パーセント操れる技術ではないという証拠なのだ。つまり原子力はオーバーテクノロジーであり、それでも「安全だ」「管理できる」というのであれば、それは自欺である。(*3)

 もはや人間中心の考えはやめ、地球を生かすことを念頭において取り組む必要がある。そういう考え方にシフトしないと、この地球で人間が暮らしていくことは難しい。人間の考え方が、いつか地球もろとも死の星にしてしまうだろう。

執筆: トップ・アンダーソン
写真: ロケットニュース24.

===============================================================転載完了


<注釈>

(*1) 大間違いだ。第一に、原発事故としては原子炉が暴走して死の灰を撒き散らしたチェルノブイリ事故は福島原発事故より遥かに大規模だ。
 第二に、このまま放射能が漏れ続けて、福島原発で対処に当たっている全職員が放射線障害で死に至ったとしても、それは「地球の46億年の歴史上最も罪深い事態」でもなければ「地球にとって抜き差しならない状態」にさえ程遠い。70年ほど前に我が国が喰らった2発のキロトン級原子爆弾のほうが、遥かに罪深く、悪影響も大きかったが、それでも「地球にとって抜き差しならない状態」にさえ程遠い。

(*2) 大馬鹿野郎。どうしてこうも定量的評価を無視しうるのか。

(*3) 人類が原子力発電なり原子力推進ナリの取り扱いに失敗する事はありうるし、実際チェルノブイリで、スリーマイルで、福祉まで、失敗している事は認めよう。



二つ言える事がある



 第一に、人類は原子力どころか核兵器と言う核反応の主として熱による、従として放射線による破壊と殺傷を目的とした兵器を開発し、保有し、安全保障上の役に立てている。それらの大気圏内での核実験さえある時期までは実施されているし、いまだに開発保有しようという国は北朝鮮初めとして後を絶たない。なおかつ、実際に使用される核兵器による損害は、2次放射線だけ考えても、福島原発は愚かチェルノブイリが束になっても叶わないほどの影響がある。
 IAEAや核拡散防止条約やSTARTなどの仕掛けを以って、その核兵器をコントロールしようと言う人類にとって、原子力、原子力発電所、原子力艦艇がオーバーテクノロジーになぞなるものか。
 もしこの記者が言うように「原子力は人類にとってオーバーテクノロジー」であるならば、核兵器の方が遥かにオーバーテクノロジーであるはずだ。
 
 第二に、ホーキング博士だろうがこの記者だろうが誰でも良いが、幾ら「原子力は( と言うことは自動的に核兵器も)人類にとってオーバーテクノロジーで、人類自身を滅ぼしかねない。」と主張したところで、核兵器の数が減るかどうかでさえ怪しいし、核兵器が廃絶される事は絶対にないだろうと断言できる。

 「核兵器を人類が廃絶するか、人類が核兵器によって滅亡されるかである。」とは既に核兵器廃絶論者が唱えて久しい理屈だが、現状は諸兄ご承知の通り、米ソ両大国の核兵器がいくらか削減された程度であり、核兵器保有国は単調増加傾向だ。一度核兵器保有国になって後、核兵器を放棄した国は、今だかつてない。あるとしたら、研究段階で敗戦に至ったドイツと我が国ぐらいだ。ああ、ドイツは核兵器をアメリカから借りているから、我が国だけだな。
 
Luftwaffeの核攻撃機 -剣は自らの手にあるべきだ。-   http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/15114557.html


 無論人類は神ならぬ身であるから、ローマ教皇か共産党書記長でもない限り無謬ではありえないし(*1)、誤って核兵器を使ってしまうなり原発を爆発させてしまうなりと言う事はありうる事だろう。実際我々は核兵器を2発喰らっているのだしな。
 
 だが、その核兵器さえコントロールしようと言う人類が、原子力をコントロールしようとしないはずがない。IAEAも核拡散防止条約もSTARTも核抑止論も、核兵器をコントロールしようと言う所業に他ならない。特に原子力のコントロールに於いては、被害を局限し、「地球にとって抜き差しならない状態」になぞ至らせないのは充分可能、どころか、一体どうやったら原発で「地球にとって抜き差しならない状態」に陥れるのか、私には理解できないぐらいだ。

 全面核戦争ならばあるところまで行くだろうが、人類文明を滅ぼせるかどうかも怪しいし、「地球にとって抜き差しならない状態」にするのも想像し難い。爆心地から数キロはなれた核シェルター内ならば、人類さえ生存できるのであるし、水か土が1mあれば放射線は1/100になる(*2)と言うのに、水棲生物まで全滅させる方法は、私の想像力を絶している。
 
 言い換えれば、人類が原子力なり核兵器なりを100%コントロールできるとは限らないことは私も認める。が、原子力が人類を全滅させると言う事を防ぐ事は充分可能であるし、その意味で、原子力如きが人類にとってオーバーテクノロジーではありえない。
 

  「オーバー」テクノロジーというならば、ブラックホール爆弾ぐらい、持ってきたいものだ。

<注釈>

(*1) 勿論、皮肉である。少なくとも後者については。

(*2) と言うことは2mあれば1/1万になる。