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原発事故「明確な話避けてた」=政府、東電を批判―小沢氏 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110328-00000061-jij-pol
時事通信 3月28日(月)13時4分配信民主党の小沢一郎元代表は28日午前、東京電力福島第1原発の事故に関し「原子力の溶融がずっと前から指摘されていたが、原子力安全・保安院、東電、内閣は明確な話を避けてきた」と述べ、政府や東電の対応を厳しく批判した。岩手県庁で達増拓也岩手県知事と会談後に記者団に語った。小沢氏は、現在の事故対応について「思い切った手だてなしに(原発に)水を入れる、バルブを開けることを繰り返せば、放射能は広範囲に飛散し、汚染が広まることがある」と疑問を呈すとともに、「(政府は)国民、地域の皆さんに正直に話をして、理解を求めた上で、思い切った作業をするべきだ。このままずるずる行ってしまうと日本全体がめちゃくちゃになる」と強調した。
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負け犬の遠吠え-小沢一郎、政府東電を批判
報じられているのは、福島原発事故対処で政府・東電を非難する「我が敵」小沢一郎。「我が敵」小沢一郎も、強制起訴に伴う民主党員資格停止と、それに続く小沢派議員16人の「会派離脱宣言」以来(*1)殆ど話題にも上らなくなってしまったから、ここらで少しは目立とうと言う算段だろう。
そのためのスケープゴートとして福島原発事故に対応する政府・東電を選んでおけば、先ずハズレはない。世論調査で世論が批判的なことは分かっているし、東日本大震災つながりもあって地元の関心も高かろう。だから心置きなく非難できる・・・「我が敵」小沢一郎の心情を推し量れば、そんなところだろう。事実、こうして久々にマスコミに取り上げてもらえたのだから、「我が敵」小沢一郎としては、作戦成功と言うところだろう。
だが、「我が敵」小沢一郎が目論んだような効果があったかは、甚だ疑問だ。その理由は、報じられている「我が敵」小沢一郎自身の発言による。如何に例によって「#>」と番号つきで引用した。
1> 「原子力の溶融がずっと前から指摘されていたが、
2> 原子力安全・保安院、東電、内閣は明確な話を避けてきた」
揚げ足取りのようだが、指摘せざるを得まい。「原子力の溶融」なんて言葉はない。一体どうやって「原子力」を「溶融」させると言うのだ?原子力は抽象名詞であって物質ではないから固体にも液体にもなりようがなく、溶融などしようがない。
が、「僕は原子力に物凄く強いんだ」などと「我が敵」小沢一郎は大見得切っていない(*2)事に免じて、ここは「原子炉内の燃料棒」を「原子力」と言い間違えたのだと、好意的に解釈して先に進もう。
「燃料棒溶融の可能性」は確かに最前から指摘されて来たところである。是に対し原子力安全・保安員、東電、現民主党政権・菅内閣が燃料棒溶融を認めたのは、原子炉建屋内に溜まっていた水から高濃度の放射性物質が検出されてから以降なのも事実だ。
が、燃料棒が冷却水面から出ており、甚だしきは2号炉の様に完全に水面から現れて「空焚き」状態になっていたことは保安員・東電・菅内閣も公式発表しているところであるし、その際に熱による燃料棒損傷の可能性も認めている。それは、「我が敵」小沢一郎の言う「溶融」と言う言葉ではなく、言葉が独り歩きした感のある「メルトダウン」と言う言葉でもないが、メルトダウンは燃料棒が完全に溶けてしまった状態を指すし、原子炉内の水溜りから出るような高濃度の放射能はそれまで検出されていなかったのだから「はっきりと燃料棒が溶融している」と断定しないのが普通だろう。東電や菅政権は最悪の事態に備えて準備をする義務はあろうが、最悪の状態をことさら声高に叫ぶ義務はない。「明確な話を避けてきた」と言うのは、不当な評価であろう。
3> 「思い切った手だてなしに
4> (原発に)水を入れる、バルブを開けることを繰り返せば、
5> 放射能は広範囲に飛散し、汚染が広まることがある」
東電が上記5>を覚悟の上で上記4>を繰り返したのは事実だが、それは原子炉内の燃料棒を冷却する事を優先したが故。現時点でもそうだが、燃料棒の冷却を最優先するが故に海水で冷却すると言う「思い切った手だて」も実施したのである。それこそ熱によって燃料棒が損傷し、溶融し、さらには燃料が一箇所に集まって再臨界状態に到り、せっかく制御棒でとめた核反応が再開すると言う最悪の事態を防ぐために。
現時点までに得られているデータから、その最悪の事態は防がれており、真水や海水による冷却は奏功している。上記5>はその最悪の事態を避けるための、やむを得ぬリスクだ。
その東電がとった手段を、「我が敵」小沢一郎は非難し、上記4>のやむを得ぬリスクを犯さずに「思い切った手立て」を取るべきだったと主張する。
「思い切った手立て」とは一体何の事だ?水や海水による冷却以外の、一体どんな方法を「我が敵」小沢一郎は言っているのだろうか??
次の台詞がそのヒントかも知れない。
6>「(政府は)国民、地域の皆さんに正直に話をして、理解を求めた上で、
7> 思い切った作業をするべきだ。
8> このままずるずる行ってしまうと日本全体がめちゃくちゃになる」
つまり、現状東電が取っている「放水と冷却水補充による冷却を継続しつつ、本来の循環水による冷却機能を回復する」と言う方法ではなく「思い切った作業」を決心すれば、「このままずるずる行ってしまう」より良い結果が得られると、「我が敵」小沢一郎は主張しているのであるが・・・
邪推をめぐらすに、「我が敵」小沢一郎は、琉球新報社説「石棺方式の検討決断を」を読んだか、同趣旨の話を聞いたのではなかろうか。上記6>の様に政府=菅内閣が国民に説明し理解を求めるべき「思い切った手立て」とは、この石棺方式なのではなかろうか。他に思い当たる「思い切った手立て」は、私には思い浮かばない。
琉球新報王社説「石棺方式の検討決断を」を斬る http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/34937144.html
だが、もしそうならば、琉球新報も(*3)罪作りな事をしたものだ。原子力について全く無知だが(*4)、権力だけはある( とまだ当人は思っている)「我が敵」小沢一郎をまんまと騙してしまったのだから。
先行記事にもしたところであるが、石棺方式は、最終的な原子炉処分法の候補ではあっても、一寸前まで福島原発が直面していた再臨界と言う最悪事態に対する対処法では全くない。格納容器の外側をコンクリで固める心算ならば、原子炉内の核燃料棒の冷却には全く効果がないし、原子炉格納容器内にコンクリを詰める心算ならば、水を詰めようがコンクリを詰めようが容器内の圧力は上がるから、容器を破裂させないためには蒸気を逃さなければならないことに変わりはない。従って上記4>のリスクはやはり犯さなければならない。なおかつ当たり前だがコンクリの溶融温度は水より遥かに高いから、燃料棒の周りをコンクリで固めたら、燃料棒は平気でその溶融温度までは高熱になれるし、コンクリでは循環による冷却も出来ずに熱伝導による冷却だけであり、しかもその熱伝導が悪い方の固体だから、ますます燃料棒は冷えない。
言い換えれば、石棺方式は、今東電が懸命にに実施しようとしている水による冷却法の代替には絶対にならない。
そうとも知らずに「我が敵」小沢一郎がしたり顔で石棺方式を念頭に置いて原子力保安院、東電、菅内閣を非難しているのだとすると・・・「我が敵」ながらも私でさえ、哀れに思わざるを得ない。無論もっと哀れなのはそんな「我が敵」小沢一郎の言説にころりと騙されてしまう、若しくはそんな嘘も承知で「我が敵」小沢一郎を支持できてしまう、有権者なのであるが。
そりゃまあね、「僕は原子力に物凄く強いんだ。」と豪語しながら「臨界って何だ。」とつい最近質問しているような、恐るべき事にいまだ日本国首相にして自衛隊三軍の最高指揮官たる菅直人よりは、「原子力に強い」と自慢しない分増しかも知れないが・・・こんな事を吹聴するようでは、当人は「俺は菅直人よりも原子力に強い。」と思っている公算大とせざるを得ない。
如何に、我が敵、小沢一郎。
如何に、「我が敵」小沢一郎を支持する諸君。
参考 福島原発収束 東電工程表

<注釈>
(*1) より正確に言うならば、その「会派離脱」宣言した16議員に対する民主党の処分がが殆ど「お咎めなし」と決まって以来、か。地元選挙区「小沢王国」が東日本大震災に被災しながら、仲々地元に帰らない/帰れないって報道も、一応あったか。(*2) ひょっとすると報じられていないだけ、かも知れないが。(*3) 或いは石棺方式を「我が敵」小沢一郎に吹き込んだ何者かも(*4) さもなければ、後述の通り、石棺方式が現状東電の取っている方法の代替にならないことなど自明の筈だ。それを言うなら、琉球新報社説も、原子力に対する無知を曝け出しては居るが。