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 諸兄ご承知の通り、インターネットはじめとするIT技術の発達及びその利用端末( ノートPC、携帯電話、スマートフォンその他)の普及により、情報伝達の媒体は伝統ある紙による週刊誌・雑誌・新聞やラジオ・テレビ・衛星放送から、動画ニュース、ツイッターなどの電子情報にその比重がシフトしつつあり、特に従来テレビ・ラジオの独壇場であった即時性という点では電子情報が圧勝する勢いを見せている。尤も、携帯電話やスマートフォンにしても、そう年がら年中チェックしている人ばかりではないだろうから、「ニュースを伝えるメディアの即時性」という意味では、一つの技術的限界に達したのではないかと私には思われる。

 だがその一方で、ニュースは即時性が全てかと言えば、そんなことはなく、今正に起こっている事象をそのまま伝えるばかりではなく、個々の事象を関連づけたり、過去の事例と結びつけたりして、情報を整理し関係づけることも必要だろう。これは、記憶を整理するという効果ばかりではなく、背景や遠因をつまびらかにする上でも必要である。そう言う情報の伝達には即時性には優れるツイッターなどでは不得手であり、逆に最も伝統ある紙ベースの雑誌・週刊誌・新聞の法が優位にある。連載記事や特集記事、或いは社説などが、既存の「紙ベース(※1)」メディアの真骨頂と言えよう。
 
 その内の琉球新報の社説は先日当ブログでも取り上げ、記事にしたところ。

琉球新報社説「それでも普天間は要らない」を斬る http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/34928130.html
 
「斬る」とタイトルで宣言したとおり、琉球新報社説氏の意見とは真っ向から対立する当ブログ記事ではあるが、それでも「それでも普天間は要らない」は、まだ社説としての体を為していた。

 今回取り上げる琉球新報社説は福島原発事故に関するもの。タイトルは「石棺方式の決断検討を」である。例によって以下にその全文を掲げ、私の突っ込みを注釈に入れた。それだけでは足りそうにないので、今回は琉球新報社説を適当なところで切って、番号を振ることにした。

<注釈>
(※1) これも最近特に電子化の波が押し寄せてはいるが。



転載開始==========================================

大震災・放射性物質拡散 「石棺」方式の決断検討を

2011年3月20日      1    
1> 東日本大震災で事故を起こした東京電力福島第1原発で今、何が起きているのか。
2>日本政府の説明では全容がつかめない。
3> 放射線量について「直ちに人体に影響を与えるレベルではない」と繰り返す。
4>しかし実際に発表されている線量は、1時間当たりの瞬間的な数字だ。
5>それを1年間浴び続けた量と比較して問題ない、と説明している。明らかにすり替えている。(※1)
6> 各国の対応は対照的だ。自国民を日本の退避圏より遠くに避難させた。(※2)
7>米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは、米原子力規制委員会の「非常に困難な」危機的状況との見方を伝え、
8>解決に数週間かかる可能性があると報じている。
9> 炉心溶融や使用済み核燃料プールの水位低下などが連鎖的に発生し、
10>国際評価尺度(INES)の暫定評価は、より深刻な「レベル5」に引き上げられた。
11> 米国はすでに横田基地に化学、生物、放射線、原子力に関するコントロールセンターを設置した。(※3)
12> 原発から放射性物質が拡散し続けている。この事実は重い。(※4)
13> 1都6県の水道水から微量の放射性ヨウ素が検出されている。
14> 福島県内の牛の原乳と茨城県のホウレンソウから食品衛生法の放射能の暫定基準を超える放射線量が検出された。
15>厚生労働省は「仮に食べても直ちに健康被害の懸念はない」としている。冷静に対応してほしい。
16> 政府は放射線量のデータを含め直ちに正確な情報を国民に提供すべきだ。(※5)
17> 放射性物質は海外に拡散している。米国カリフォルニア州にごくわずかな放射性物質が観測された。

16>欧州に到達する可能性もある。(※6)
17> 米紙USAトゥデーは専門家の話として、
18>最悪の場合、使用済み燃料プールの水がなくなり燃料が発火。
19>極めて強い放射性物質が80キロ以上遠方まで拡散する恐れがあると報じた。(※7)
20> 放射能の影響を受けやすい妊娠中の女性(胎児)や幼児、子どもたちは、万一に備えてできるだけ遠くに避難することを勧める。
21> 海水を注入した施設は廃炉が当然だし、現在の冷却作業の効果が限定的なら、
22>これ以上の放射性物質の拡散を防がなくてはならない。
23>旧ソ連のチェルノブイリ原発のように、原子炉をコンクリートで固めて放射性物質を封じ込める「石棺」方式も検討すべきときだ。(※8)
==========================================転載完了


<注釈>

(※1) 明らかにすり替えているもしくは誤解しているのは琉球新報の方だ。放射線の影響は累積量に依ることは少し放射能について知っていれば判ることだし、発表される計測値は時間当たりの数字で発表されるが、その数値は変動するのだから当然だし、「この数値の放射能を24時間365日に受けても影響ない」旨、即ち放射線の影響は、時間当たり放射線量と被爆時間の関数であることも政府は述べている。
 「政府のすり替え」という琉球新報の主張は、誤解、否、曲解である。

(※2) 外国人なのだから日本人より広い退避圏を設定できるのは当たり前だろう。日本からの完全退避だって、命じることが出来る。日本に住む日本人は、そうは行かないのが道理であろうが。

(※3) さてもさても面妖なり。東日本大震災で米軍が出動し救援活動に当たっても、それをアピールするのがけしからんと社説で噛みついたのは琉球新報ではないか。
琉球新報社説「それでも普天間は要らない」を斬る http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/34928130.html
 米軍が救援するのは気に入らないがコントロールセンターを設置するのは気に入るのか。それとも、米国が自己アピールするのは許せないが、琉球新報自ら宣伝する分には良いのか。いずれにせよダブルスタンダードであろうが。

(※4) 放射性物質は天然自然にもある。原発には確かに集中しているからこそ、拡散するのであるが、問題はその拡散する量と密度だろう。
「この事実が重い」のは、通常運転の原発が放射性物質を完全に封じ込めているからだろうが。

(※5) 上記15>でその政府の厚生労働省を引用し、上記14>の検出も政府は発表している。一体何を以って「国民に提供すべき」情報が不足だというのか。

(※6) 欧州に到達するには、偏西風に乗って太平洋、米国本土、大西洋と横断しなければならない。第一、先述の通り「放射性物質が出ている」ことではなく、「どれぐらいの量、どれぐらいの密度出ているか」が問題であるし、密度は距離によって低下する。

(※7) これが現状考え得る最悪の想定ではあろう。が、3号機にはここ数日間、4号機にも20日から放水が始まっており、両者ともその後水蒸気などは見られない。従って、プールの水が無くなっているというのは考え難い。

(※8) コンクリートの放射線遮蔽効果を過大評価しているのか、水の放射線遮蔽効果を過小評価しているのか、はたまたコンクリートを充填する作業の規模を過小評価しているのか。今最大の焦点は、3号機、4号機の使用済み核燃料貯蔵プールだろう。そこがプールになっているのは、冷却効果と放射線遮蔽効果を水が兼ね備えているから。だから自衛隊、警察、消防、東電、総力を挙げて水を供給しようとしている。水を供給するさえ困難な状況で、コンクリート充填の石棺方式は一つの思いつきではあろうが、思いつきでしかない。

社説とは、新聞社の主張である・・・筈。


 紙ベースを未だメインとする新聞の現代IT状況下に於ける利点は、先述の通り他の情報との関連づけに依る背景説明や情報の深化であり、それは連載記事や、関連記事、或いは論説、社説という形に最も端的に現れる。
 
 中でも社説は、新聞社の掲げる主張であり、それ故に新聞社のカラーを最も出しやすい部分に違いない。であればこそ私も「社説比較」シリーズなんて記事を何本も当ブログにアップしているし、そのためにある範囲に於いてだが、新聞の社説をモニターしている。だから、ある数の社説に目を通しており、当然出来、不出来がある事は知っている。

 それにしてもこの琉球新報社説は・・・・ 端的に言おう。この琉球新報社説は、社説の体を為していない。せいぜいがアジ演説原稿でしかない。

 「福島第1原発は危険だから、コンクリ詰め石棺方式で廃炉にしろ。」と、ただそれだけしか言って居らず、後は如何に危険かを、さしたる科学的根拠も示さず、否、通常の科学的思考を無視して、「USAトゥデー紙の専門家」「国際評価尺度(INES)の暫定評価」「ウォール・ストリート・ジャーナル紙の報じる米原子力規制委員会の見方」等で権威づけて殊更煽っているばかりである。第一、幾ら地方紙だからって、「USAトゥデー紙の専門家」などと他人の褌を、良くもまあ平気で使えるものだ。

 そのくせ「16> 政府は放射線量のデータを含め直ちに正確な情報を国民に提供すべきだ。」と堂々と主張してくれる・・・・ああ、そうか。政府が国民に正確な情報を直接提供すれば、琉球新報はじめとするマスコミは不要だな。それはそれで良い事だ。
  
 琉球新報よ、それでも新聞社のつもりか。
 これでも社説のつもりか。
 
 如何に、琉球新報。