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「スパイ大作戦」と言う古いテレビドラマがある。DVD付きの雑誌だかになって発行されたと思うが、特にテレビドラマが好きなわけでも、スパイ映画が好きなわけでもない私は店頭で見たっきり、買ってすらいない。が、一世を風靡したテレビ番組だったらしく、オリジナルは殆ど見た覚えがないのだが、そのパロディーシーンは何度も見ている。
オープニングで主人公のところに花束だとかいろんなものに偽装されて「指令」が届く。その「指令」は録音テープ(*1)の形を取っていて、それを再生すると音声が流れる。
「おはよう、フェルプス君(*2)。さて、今回の任務だが・・・」
指令は今回のスパイとしての任務、要人救出だの、機密書類の奪取だのをとうとうと指示し、その最後を次の言葉で締める。
「例によって、君若しくは君のメンバーが敵に捕らえられたとしても、当局は一切関知しないから、その心算(*3)で。
なお、このテープは、自動的に消滅する。」
非情な指令を伝え終えると、いかなる仕掛けか今まで音声を再生していた録音テープから煙が噴出し、めでたくテープは「自動的に消滅」してくれる。
さて、古いテレビドラマの有名なオープニングシーンを思い出したのは、めでたくも忌まわしい事に前首相である鳩山が「在沖縄米海兵隊を抑止力と言ったのは、辺野古移設のための方便だった。」と口走ったいわゆる「方便発言」を国会で質されてのなんとまあ現首相であるところの菅直人の答弁がそれを思い出させたから。
公明党山口代表との一問一答の内、問題の部分を抽出すると以下の通り。例によって適当なところで切って、菅直人の発言の方には番号を振った。
山口氏>「10分しかないんですから時間を大切に使っていただきたい。> さて、鳩山前首相は沖縄の普天間基地移設問題で先日、>『辺野古移設しか残らなくなったときに理屈付けをしなければならず、> 抑止力という言葉を使った。>方便といわれれば方便だ』>、このように発言されました。驚きました。> 方便といえば、国民は、嘘の方便という言葉を思い浮かべるんですよ。> つまり抑止力という理屈付けは嘘だったのかと思わせてしまうんです。> 沖縄の人々を嘘でだまし、本当は抑止力を否定していると、そう受け止められても仕方ないじゃありませんか。> 現に鳩山さんは、> 『常時駐留なき安保論は自分の信念として今でも生きている』> と、こう言っているんですよ。> 『普天間問題はその方向に導きたかったんだ』> と、こう言っているんですよ。> 結局、抑止力を否定しているんじゃありませんか。> そこで菅首相。あなたは平成15年の11月の時点でも記者会見で、> 『アメリカの海兵隊は沖縄にいなくても極東の安全は維持できる』> と、こう言っている。> 『国内からの移転を基本的な方向として考えている』。> つまり鳩山さんと同じことを考えていた、述べていたんですね。> そうすると、そうするとあなたは、沖縄の海兵隊は不要だと抑止力は否定するんだと。> こういう考え方をいまだに内心もってらっしゃるんじゃないですか。> 鳩山政権の副総理だった。そして今、与党の代表だ。> そういう意味で、前首相に『方便だ』などと言わしめておくようなことでいいのかどうか。この点の責任をどう考えますか」
首相1> 「まず私が首相に就任をしたときにこの問題についていろいろとマスコミを含めて問われましたので、2> 私は現在、沖縄にいる海兵隊を含め、在日米軍はこの日本の安全にとっても、このアジア太平洋地域の平和・安全にとっても、大変重要な役割を果たしていると、3> そういう認識を申し上げました。4> まあ15年の私の発言を取り上げられましたが、5> アジア情勢もいろいろ変化を致しております。6> 私がこの政権を担当した中で、7> 北朝鮮の核開発やミサイルといった問題もあり、拉致の問題もあり、8> そういったいろいろな社会状況、政治状況、安全保障の状況の中から9> 私自身、政権を担当する時点において、10> そうした考え方であることを明確に申し上げました。11> なお、鳩山前首相の発言について、私も率直なところ、報道をみて驚きました。12> これについては私としては、13> 自分の考え方を明確に申し上げることがそのお答えになるんだろうと、対応になるんだろうとこう思っております」
改めて言うまでもないだろうが、菅直人が山口公明党代表の質問「鳩山由紀夫の「方便発言」に対する菅直人の責任はどう考えるか?」に対する回答は、直接には上記11>~13>のみである。その前段・上記1>~10>は上記13>で言う「自分の考え方」をるる述べているが、要約すれば、「平成15年には確かに鳩山が「方便発言」の際に発した「常駐なき安保」に似た事を言ったかも知れないが、その後いろいろあったし、いまや政権の座にあるのだから、今は沖縄米海兵隊を大変重要な抑止力と考えている。」であろう。(*4)
で、そのような常識的な抑止力論にたった上で、鳩山方便発言は上記11>「率直に言って驚いた」であり、上記12>~13>常識的な抑止論を明言確認することが「回答であり対応である。」と言っている。
逆に言えば、鳩山「方便発言」は上記1>~10>に示した「菅直人の考え方」=常識的な抑止論とは全く反するものであると認め、なおかつそれを認めることで「対応だ」と言っている。言い換えれば、鳩山方便発言と、今回の菅直人回答が相反すると認めるが、認める以上の事は何もしないと言っている。
どうにもこうにも私には他に解釈のしようがない。
とどのつまりは、章題にもした、私に「スパイ大作戦」を思い出させ、その捩りを思いつかさせたフレーズである。
「鳩山由紀夫の発言に、民主党は一切関知しないのでその心算で。」
前の党代表で、前の首相で、彼が首相だったときに今の党代表且つ首相は副首相であった鳩山由紀夫をしてこの民主党の扱いである。
さすがは鳩山由紀夫と解釈すべきか。はたまた、元代表が強制起訴になっても党員資格停止だけで「党のけじめ」と大見得切ってしまえる民主党クオリティと解釈すべきか。
だが、上記スパイ大作戦のもじりは、当然次のフレーズが続くことになる。
―なお、この政権は、自動的に消滅する。―
是非ともそうであって欲しいものだ。
<注釈>
- (*1) 「録音テープ」と言うところが、非常にレトロなのであるが。
- (*2) 「フェルプス君」だったと思う。
- (*3) 必殺仕掛け人の心得「死して、屍、拾う者なし。」に通じるものがある。どっちがオリジナルかは、知らないが・・・「スパイ大作戦」の方が、先輩だろうな。
- (*4) それ以外の解釈があるという方には、是非とも教示願いたい。
- 「それが菅直人の本心と思うか?」と問われれば、前首相は「常駐なき安保」を「封印」しながら実施しようとしていたし、菅直人はそのときの副首相なんだから、これが「本音」だなんて、全く信じられない、とは言う。