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 報じられているのは、先の米中首脳会談の成果を自国メディアに指導する中国政府の指示。報じているのは「天下の」朝日新聞であるから、厳重な注意が必要だが、その朝日が「中国同行筋が明らかにした。 」と報じる報道であるから、ある意味信頼が置けるとも言えよう。

 無論、「メディアを指導する」と言うの婉曲表現で、早い話が言論統制である。もう何回繰り返したかわからないが、中国なんてのは言論の自由の存在しない国であり、報道機関は「党の口舌」=党の宣伝機関。ネットであっても情報介入が凄まじいから、「尖閣沖で日本の海上保安庁が中国漁船に体当たりした。」なんて駄法螺の大ボラも、大手を振って罷り通ってしまう。
 
 それは兎も角、その報道に曰く、
 
1> 中国の胡錦濤(フー・チンタオ)国家主席が19日の米中首脳会談後の共同会見で
2> 「人権の普遍的な原則を尊重する」と発言したことについて、
3> 中国外務省が中国主要メディアに対し、
4> 「強調しすぎないように」と報道に自制を求める内部文書を出していたことが分かった。
 
つまり、国家主席様が人権の普遍性に理解を示した事を、国内には報じるなと、露骨に釘を刺したのである。
 
 そんな報道規制の理由を、朝日記事は以下のように解説する。
 
5> 中国では最近、
6>  人権や民主主義がどの国にも共通する「普遍的な価値」であるかどうか、
7>  指導部内や世論で激しい論争が起きており、
8>  胡氏が公開の場で明言するのは異例。
9> 今回の発言が国内で波紋を呼び、
10> 極端な民主化運動などにつながることを警戒しているものとみられる。
 
 上記10>を繰り返す。「10> 極端な民主化運動などにつながることを警戒している」と朝日は報じているのであるが・・・さて、如何であろうか。
 
 質問を変えよう。中国政府、現中国共産党政権は、「穏やかな民主化運動」ならばこれを許容し、ゆくゆくは共産党一党独裁を放棄して民主化を果たすと、期待できるであろうか。
 
 期待する者があることは知っている。「「嫌中」と「嫌共」は違う」として、中国政府と中国人・中国人民を分離し「中国政府は嫌っても、中国人・中国人民は嫌うな。」と言う説もマスメディアにはある。当ブログでも記事にしたところである。
 
「嫌中」と「嫌共」は違う http://allatanys.jp/B001/UGC020002420101227COK00723.html
天下の奇説-「嫌中」と「嫌共」は違う  http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/34399610.html
 その先行記事にもした通り、私は上記の「「嫌中」と「嫌共」は違う」と言う説を、「天下の奇説」と断じ、非難した。言論の自由がないからと言って、中国政府と中国人が乖離しているとは限らないのだから、中国政府を嫌うのは中国人を嫌うのとほぼ同義であると。さらに踏み込んで、「中国政府に反旗を翻す中国人ならば、好きにもなるし尊敬もしよう。」とも書いた。

 逆に言えば、現中国共産党一党独裁政権が、見通せる将来に自ら一党独裁を放棄して民主化に向かうなぞ、私には全く期待できない。無論、かつて同様に考えていた共産党の本家本元ソ連共産党一党独裁政権は、いまや一党独裁を放棄して一政党に成り下がっているのは事実だ。が、同様の道を中国共産党が進むとは、希望はしても、期待はできない。
 
 自国のマスメディアに対し、
 
11> 「成果のみを積極的に報道し、世論を正しく誘導する」よう求め、
12> 「指示を厳格に守り報道に当たること」
 
と文書で指示してしまうような政府に、左様なことが期待できようか。
 
 ところで、上記5>~7>にある通り、朝日の報じるところでは、中国国内で「人権や民主主義に普遍的な価値があるか否か」が論争になっているそうだ。言い換えれば、「特定の地域では人権や民主主義は不要であると言う論」がまかり通っていると言う事であり、その「特定の地域」と言うのが今の中国である事は、先ず間違いない。
 
 愚民に民主主義体制を与えても、衆愚政治に堕するばかりであるし、中国人が自らの価値を絶対として民主主義に背を向けるのも、中国人の勝手だ。
 
民主主義は絶対善ではない。が、次善ではある。  http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/34312605.html
 
 だが、現状の一党独裁体制を維持し、民主主義以外の自らの価値(*1)を保持するために、情報を統制し言論を封殺する姿勢には、小説「1984」の真理省張りの恐怖よりも、むしろ戯画化された真理省のような、滑稽さと醜さを感じる。
 
真の民主主義国家は最強である(楽観的観測)  http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/23943306.html  
 
 詰まる所、北朝鮮の金王朝と同様、情報の統制によって権威権力を維持しようと言う輩は、そんなことでしか権威権力を保てない、小物なのである。
 
 「俺達は、今、太陽と共に戦っている。」-「うしおととら」-

 

<注釈>

(*1) 
って、何の事だろうね。「社会主義の勝利」?市場経済で??「四千年の歴史」?現共産党王朝はまだ60年しかもっていないのに??「儒教=孔子の教え」?批孔批林は未だ北京赤の広場に肖像掲げられている毛沢東のキャッチフレーズだったのに??