「心眼」とは恐れ入る-江田法相「民主党のマニュフェストは心眼で作った物だから見直す。」
江田法相「マニフェストは(野党時に)心眼で作った」見直しへ  http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110118/plc11011812440065-n1.htm
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 報じられているのは、前の前の法相がしょうもない無責任暴言を吐いて更迭されて以来(*1)、エセ「辣腕」弁護士・仙石がその地位を兼任していた法相に先ごろの管内閣「小」改造で就任した江田氏の発言。以下、発言部分を引用しよう。
 
 
1 >  「マニフェストは、われわれが政権にいないときに、
2>  霞が関(の官僚)が民主党には十分な情報を提供していただいていない中で、
3>  『心眼で見るとこうじゃないか』ということで作った部分がある」
4> 「実現するには、いろんな隠れた障害があった。
5>  実際に政権を担当して、いろんなことが分かってきている。
6>  世の中の状況の変化もあり、
7> マニフェストについて一度きっちりと点検をし、
8> より成熟させる部分があればそうしていく
」と
 
 
 さて、予め断って置かねばならないだろう。私は現政権・民主党が先の参院選挙やその前の衆院選挙で掲げていた「マニュフェスト」を、評価もしなければ、信用もしない。
 「評価」の方は、何しろ目玉なのがこじき手当て、もとい、子供手当てだけで、そのコンセプトからして社会主義的怠け者的親方日の丸一億総生活保護家庭化を目指しているとしか思えないし、景気刺激にも生活安定にも少子化歯止めにも、役に立っているとは全く思えないものが最大の目玉であり、先の参院選挙で詳細を追った安全保障策は社民党と良い勝負の全く実効性のない、恐るべきものであり、二酸化炭素排出量の削減と高速道路無料化を何の説明も注釈もなく併記して見せ、民主党が野党時代にはインド洋上給油活動と同様「当事民主党が牛耳っていた参院の審議を行なわない」ことで一時的な課税中止をもぎ取っていたガソリン税の「廃止」をマニュフェストに書きながら、与党になった途端にその「廃止」を反故にして見せ、子供手当てはマニュフェストの半額実施しかせず、高速道路無料化は実験するばかりで実現の目処はなく、鳴り物入りのレンホウ大臣得意の「事業仕分け」は派手派手しい宣伝ばかりで金額的効果は全く期待( と言うより唯の願望だな。)外れ。「公務員の給与2割削減」なんて一体何処へ言ったのやら。
 
民主党は社民党を嗤えるか1 http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/32974453.html
民主党は社民党を嗤えるか2 http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/32974465.html 
民主党は社民党を嗤えるか3 
http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/32974476.html 
民主党は社民党を嗤えるか4 
http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/32974598.html
 
 かてて加えてマニュフェストにはない外国人参政権と言う極めて重要な法案はインデックスにこっそり入れられ、危うく可決成立しそうになったことも、忘れるわけにはいかない。従って、「民主党のマニュフェスト」なぞ、社民党のマニュフェスト並みに、信用できない。
 
社民党を嗤え1  http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/29729793.html
 
 かくもいいかげん、非現実的、荒唐無稽なマニュフェストを掲げ、その大半は実行の「じ」もしていないのだから、私としては民主党のマニュフェストを、評価も信用もしようがない。
 
 唯一、評価すべき点があるとするならば、余りに荒唐無稽の財源無視のばら撒きのマニュフェストであるが故に、「実行しない方がマシ」であり、現民主党政権は、おおむねこのマニュフェストを「実行しない」ことを実践している点であろう。
 
 であるならば、今更ながらではあるが民主党がそのマニュフェストを見直すというのは、私には「正しい方向」とは思われる。従って報じられている新法相たる江田氏の発言も、歓迎できるものの、の筈なのだが・・・なんだろうね、この発言は。
 
 上記1>~3>を要約するならば、「野党は官僚の支援を受けられないから、まともなマニュフェストは作れない。」と言っている。開き直りであり、強弁である。「自民党は長い事与党だったから、官僚と太いパイプがあり、野党となってもまともなマニュフェストが作れるが、民主等はそうではない。」と言っているようでもある。トテモ「政権交代」を掲げ、「明日の内閣」を称し、あろう事かその「政権交代」を、憲政史上最多の衆院議席数で実現し、今の地位にある( なんとまあ)現役政権与党・民主党の言葉とは思えない。否、まともな政党の発言ですらない。
 
 仮に一万歩ほど譲って、「野党は官僚の支援を受けられないから、まともなマニュフェストは作れない。」としたとしよう(*2)。民主党が政権交代で野党から与党に変じたのは一昨年の夏だ。政権与党となってほぼ一年後に実施されたのが、昨年の参院選挙だ。その参院選挙に、野党時代に掲げたマニュフェストと大同小異のマニュフェストしか掲げなかったのは、「官僚の支援がない」せいには出来ない。全面的に、民主等の政策担当能力のなさのせいだろう。
 
 上記4>~5>はもっと酷い。民主党の掲げたマニュフェストがばら撒きであり、少なくとも財源的に甚だ心許ない事は、一昨年夏の衆院選挙前、当事の麻生首相と鳩山党首の党首討論でもあからさまに指摘され、鳩山はロクに応えられなかったところではないか。責任ある政党ならば、その時点から、財源について必死に検討するところであろうに、「政権交代」を果たして一年半になろうと言う今頃になって、上記4>にある「いろんな隠れた障害」もなにもあるものか。そんなものを見るのには、「心眼」なぞ不要である。まともに考える頭と、文字が読める目があれば充分だ。(*3)
 
 少なくとも、財源と言う障害は、一昨年夏衆院選挙を待たずしても、素人目にも明らかなところだった。それが見えないのは確かに民主党ばかりではないかもしれない。多くの日本国民にも見えない、或いは看過したのだから。
 
 だが、だからと言って、政権担当以来一年半で、見直したマニュフェストは「我が敵」小沢一郎の鶴の一声で決めた「ガソリン税廃止の取りやめ」ぐらいしかないようでは、「怠惰かつ無能」程度では言い足りなかろう。
 
 ああ、「忘れてしまう」よりはマシか。一昨年夏に掲げた「マニュフェスト」を、覚えているだけ、前首相たる鳩山よりは、今の民主党政権のほうが、マシなのかも知れない。
 
 上記6>は唯の言い訳にしか聞こえない。上記7>~8>は一体何なのだろうか。「官僚の支援がなく、情報不足のまま、心眼で作ったマニュフェスト」に、非常な自信があったし、今もあるということだろうか。だとしたら、凄まじいまでの財政感覚の欠如である。
 
 何度も繰り返すが、「ガソリン税の廃止」を取りやめ、「子供手当て」は半額実行で、高速道路無料化は実験するばかりで実施の目処は立っていない、マニュフェスト不完全実施の状態で、「事業仕分け」は予定した成果を金額的には全く上げず、「公務員の給与2割削減」は影も形もなく、「埋蔵金」と称する一年限りの財源を使い、国債を発行しまくっての現在の財政状況であるというのに、上記8>に曰く「より成熟させる部分があれば」と抜かすのである。この新・法務大臣殿は。
 
 無能な権力者と言うのは、それだけで犯罪だ。
 刑法でも民法でも裁かれないだろうが、国賊と言う犯罪であり、その咎、万死に価する。
 
 国賊、滅すべし。
 

<注釈>

(*1) 
ああ、その前の法相は、大臣の癖に参院選挙に落選して、落選しても大臣を続けたんだっけ。「死刑制度廃止」に関心を集めるために、二人だけ死刑執行するパフォーマンスも演じたな。
 こういう輩こそ「死神」と呼ぶべきではなかったのかね。朝日新聞よ。
 それにしても、人材豊富な事ですなぁ、民主党。夕刊ゲンダイの報じたとおりだ。
 
(*2) その場合、政権交代と言うのは極めて困難であり、「我が敵」小沢一郎が目指す二大政党制なぞ、ほぼ絶望的なのであるが・・・「官僚の支援がなければ、まともなマニュフェストが作れない。」のならば、「政治主導」なぞ、夢のまた夢だろう。
 私は信じない。上記1>~3>は、単に民主党が、野党として無能中の無能であると、自白しているに過ぎないと、みなす。
 
(*3) それすら、民主等にはなかった訳だ・・・「具眼の士がない。」どころじゃないな。空きメクラと文盲の集まりか、民主党は。日本じゃ明きメクラは兎も角、文盲は相当珍しい、貴重品だぞ。