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藤本隆弘の五輪から広瀬武夫を演じるまで  http://allatanys.jp/B001/UGC020005920101214COK00697.html
 
 得手/不得手と言うのは誰にもあるだろう。落語「饅頭こわい」の冒頭のように「何が苦手=不得手=怖い」と言うのも人それぞれであろうし、狂犬病を一名恐水病と呼ぶように、病気で「水が怖くなる」なんて事もある。
 
 神ならぬ身の人であり定命の者たる私にも、当然不得手はある。
 例えば、芸能情報なんてのはそうだ(*1)。
 戦争映画や西部劇、落語は好きだから、古い映画や落語家はある程度わかるが、世間一般では売れているらしいポップスやら歌謡曲やらはからっきし。テレビも最近の映画もまるで駄目。況やスキャンダルやらゴシップやらなんざ、全くと言ってよいほど知らないし、興味もわかないから、知ろうともしない。この状態がある種の知的怠惰である事は認めるが、この方面に知的勤勉を発揮するぐらいなら、それを要求し発揮すべき分野は他にいくらでもある。芸能界の誰と誰が喧嘩しているだの離婚しそうだの結婚しそうだのに裂く私の知的勤勉は、全くない、と開き直る事にしている。
 テレビにしたって、ワンセグもネット動画もこれだけ普及しているものの、こちらから積極的に見ようと言うのはドラマ「坂の上の雲」ぐらいなもの。
 
 そのドラマ「坂の上の雲」。原作を捻じ曲げる大汚点を第1シリーズには擁していた訳だが、全体としては見るべきものがあり、特にNHKが金に明かしただか権威に明かしただか粒を揃えた豪華キャストとCGは仲々なものである。
 
 とはいっても前述の通り芸能に疎い私のこと。識別できる俳優は、本木雅弘・秋山真之、竹中直人・小村寿太郎、西田敏行・高橋是清、渡哲也・東郷平八郎、石坂浩二・山本権兵衛ぐらいなモノで、残りは「あ、あの役やっていた人だ。」とか「どっかで見たよな。」と言う出演者はあっても、名前までわかる人はもう居ない。
 
 そんな私であるから、結構な存在感を放つ(*2)広瀬武夫中佐(戦死後特進)役の芸名なり本名なり芸暦なりなぞ、知る由もなかった。
 
 冒頭に引用したURLは、その広瀬中佐役の経歴を報じるもの。元はオリンピックの水泳選手・藤本隆弘氏で、役者に転向して下積み実に14年。ついに手にした大役がNHKの特別ドラマ「坂の上の雲」の広瀬武夫役、と言うことらしい。
 
 「下積み」とか「修行」とか言う言葉を、あまり聴かなくなって久しいが、 広瀬武夫役を演じる藤本隆弘氏の経歴と演技を見ると、日頃不信心な私でさえ、「芸の神様ってのは、居るらしいぞ。」と思えてくる
 
> 「泳いだ距離は世界一と言える自信があります。
> でも、メダルを取れなかったのは、まだ泳ぎ足りないからだと思っていました。
 
 いや全く、美事なものだ。

<注釈>
(*1) 無論、急いで付け加えるが、不得手なのはそればかりではない。
 
(*2) と言うより、第2シリーズの主人公と言うべきか?