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 西暦2010年。時の日本国首相・菅直人の号令一下、自衛隊に秘密特殊部隊が組織された。半島有事の混乱に乗じ、北朝鮮に拉致されている邦人被害者を一挙に救出しようと言う秘密作戦の為の部隊である。
 彼等の暗号名は、「鷺」。
 作戦開始の暗号文は「鷺は舞い降りた。」と決定された・・・・・

 

1.ジャックヒギンズ作「鷲は舞い降りた」

 小説「鷲は舞い降りた(The Eagle has Landed(*1))」はジャック・ヒギンズが大ブレイクした小説だという。
 時は第2次大戦も後半。イタリアのムッソリーニ救出作戦の成功に刺激されたドイツ第三帝国は、連合国側の首脳部の誘拐を計画した。標的とされたのはイギリス首相チャーチル。懲罰のため北海で「時間のかかる自殺」でしかない人間魚雷攻撃に従事していたクルト・シュタイナー大佐とその部下の降下猟兵達が、この作戦のために呼び戻された・・・
 
 「第2次大戦下の秘密作戦」を描いた冒険小説アクション小説は以前からあるが、主人公を連合国側ではなくナチスドイツ側としたことから「コペルニクス的転回」などとも評される小説である。尤も主人公達は、ドイツ人ではあってもナチスに共感しては居ないし、ナチス主義の人種差別主義者は、しっかり悪役として登場する。(*2)
 
 映画にもなって、格好良いテーマ曲共々、私の大好きな映画なのであるが、原作も渋いが、映画も渋い。主人公・クルト・シュタイナー大佐を演じるはマイケル・ケイン(*3)。彼を側面から支援するアイルランド人デブリンにドナルド・サザーランド。シュタイナー大佐の上司マックス・ラドル大佐にロバート・デュパル。役者も良ければ、軍装品等のこだわりも大したものの、マニアックな映画。
 冒頭の背景に(ストーリーと一切関係ない)3号突撃砲戦車が出てきてしまう。

<注釈>
(*1)
可成り原題に忠実な邦題だ。
 
(*2) で、それがイギリス人だったりするのだが。
 
(*3) 「総統?彼にこれを貰ったよ。ああ、今日は忘れてきた。」と、自分の喉元を叩いてみせるシーンは特に秀逸。
 無論、彼が示そうとしたのは、ドイツの最高勲章「鉄十字章」である。
 
 

2.菅直人の拉致被害者救済策

 さて、「ジャックヒギンズのブレイク作」だし「ドナルドサザーランドが副主人公はってしまう」ぐらいだから、古い映画に古い小説の話を持ち出したのは、他でもない。菅直人が公言して見せた、「北朝鮮の拉致被害者救済のための自衛隊派遣」による。
 報道に依れば、
 
菅首相 半島有事に拉致被害者の救出方法検討  http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20101210-00000027-maip-pol
1> 菅直人首相は10日夜、北朝鮮による拉致被害者家族との会合でのあいさつで、
2> 砲撃事件による緊張関係に触れつつ
3> 「万一の事態でも、北にいる拉致被害者をいかにして救出できるか、
4> いろいろな事を考えておかねばならない」と述べ、
5> 朝鮮半島有事の際に、北朝鮮国内で所在不明の拉致被害者の救出方法を検討する考えを示した。
 上記3>の通り、「万一の事態でも、北にいる拉致被害者をいかにして救出できるか」である。繰り返す。「万一の事態でも」「北にいる拉致被害者をいかにして救出できるか」である。この言葉をそのまま受け取るならば、半島有事の際は勿論、有事に至らなくとも、拉致被害者を救出する方法を検討するとしている。
 
 さらに報道に曰く、
6> 首相は韓国在住の邦人救出についても
7> 「直接自衛隊が出て、向こうの国の中で行動できるルールはきちんと決まってない。
8> いざという時に救出に携われる日韓の決め事もしっかりしたい。
9> 今いくつかの議論を進めている」と語り、
10> 韓国内での自衛隊の活動に関する取り決めに意欲を示した。
と、こちらは北朝鮮に拉致された拉致被害者ではなく、韓国在留邦人について、「直接自衛隊が出て」「いざという時に救出に携われる日韓の決め事」に「意欲を示し」ている。こちらの方は自衛隊が直接救出に携わると言うのだから、より具体的な方法を明示している。
 この二つの話が同じ「北朝鮮による拉致被害者家族との会合」で首相であり陸海空3自衛隊の最高指揮官である(筈の)菅直人の口から出たのであるから、上記3>の「拉致被害者をいかにして救出するか」に自衛隊の出動も検討している、即ち、「菅首相は北朝鮮に拉致された拉致被害者の救出に自衛隊の出動を検討している。」と考えるのは、極自然な解釈だろう。何しろ上記6>~10>「半島有事の際の在韓邦人救出への自衛隊出動」は拉致被害者家族には直接的には何の関係もない話なのだから。
 
 つまり、ジャック・ヒギンズ原作「鷲は舞い降りた」張りの「特殊部隊による救出作戦(*1)」を、日本国首相( である筈の)・菅直人が「検討している」と、この「北朝鮮による拉致被害者家族との会合でのあいさつ」は解釈できるのである。
 
 本記事冒頭に、私が「鷲作戦」ならぬ「鷺作戦」として描き出したとおりだ。

<注釈>
(*1)
 「鷲は舞い降りた」は、ウインストン・チャーチル英首相の救出ならぬ誘拐作戦を描いているのであるが。

転載開始=========================================
菅首相 半島有事に拉致被害者の救出方法検討  http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20101210-00000027-maip-pol
毎日新聞 12月10日(金)22時16分配信
 
拡大写真
拉致被害者家族との懇親会であいさつする菅首相(右)。左は平沼拉致議連会長=東京都千代田区で2010年12月10日午後6時37分、西本勝撮影
 菅直人首相は10日夜、北朝鮮による拉致被害者家族との会合でのあいさつで、砲撃事件による緊張関係に触れつつ「万一の事態でも、北にいる拉致被害者をいかにして救出できるか、いろいろな事を考えておかねばならない」と述べ、朝鮮半島有事の際に、北朝鮮国内で所在不明の拉致被害者の救出方法を検討する考えを示した。
【不穏な朝鮮半島情勢で注目集まる】写真特集 日米共同統合演習:時速500キロ 間隔6メートル 沖縄上空給油機に同乗
 首相は韓国在住の邦人救出についても「直接自衛隊が出て、向こうの国の中で行動できるルールはきちんと決まってない。いざという時に救出に携われる日韓の決め事もしっかりしたい。今いくつかの議論を進めている」と語り、韓国内での自衛隊の活動に関する取り決めに意欲を示した。
 現行の自衛隊法84条の3では、自衛隊機や自衛艦での邦人輸送が規定されているが、「輸送の安全が確保されている」時に限るとされ、戦闘地帯での輸送には踏み込んでいない。また、歴史的経緯から韓国内での自衛隊の活動を望まない世論も強い。【坂口裕彦、倉田陶子】
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