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2. 日本の反応―情報管理と指揮統制の視点
一方で日本側の反応もあれこれ報じられている。
が、当該尖閣沖中国「漁船」体当たり攻撃ビデオのネット流出と言う今回の自隊を論じるに当たり、少なくとも2つの視点が必要なように、私には思われる。
一つには情報管理と指揮統制の視点、即ち当該ビデオと言う情報を如何に管理し政府の統制下に置くかと言う、機密保持の視点だ。不用意な流出を防ぎ、以って如何に情報を活用するかと言う視点。
もう一つには、当該ビデオと言う情報を、いかに国益確保に利用するか、活用するかと言う視点。
両者は類似し、共通する部分もあるが、前者は情報の管理と言う手段に重きを置くのに対し、後者は情報の活用と言う目的のほうに重きを置く。従って、上記の後者のほうが前者よりも上位にあるべきだろう。
であると言うのに、報じられている「日本の反応」は前者「情報管理と指揮統制の視点」からばかりであり、当該ビデオ情報の取り扱いと流出系の探求の話ばかりである。
【尖閣ビデオ流出問題】野党議員「政治家に対する役人のテロか」 http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/101105/stt1011050810002-n1.htm
【尖閣ビデオ流出問題】前原外相「事件として徹底的に捜査する」 http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/101105/plc1011051019005-n1.htm
【尖閣ビデオ流出問題】仙谷氏「必要なら司法当局の捜査も」 http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/101105/plc1011051030006-n1.htm
3.日本の反応―国益確保の視点
無論、情報の管理外上手く行っているからこそ、情報の活用が可能なのだ。特に今回のように、政府が「なるたけ国民には知らせないように見られないように」していた情報の場合には。
だが、情報の管理は所詮手段だ。それ自体が目的ではない。
第一、民主主義国家ではその情報は不当に隠蔽されてはならない筈だ。「非核三原則に密約があった」と鬼の首でもとったように吹聴しいた現・民主党政権ならばなおさらだ。第一、党名からして「民主」党ではないか。ともすると「労働」党か「主体主義」党じゃないかと思いがちだが。
非核三原則は虚構である http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/32092292.html
非核三原則は虚構である2-核密約調査を巡って- http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/32092309.html
非核三原則の舞台裏ー佐藤首相、日中戦争の際には米国に核先制攻撃を依頼。ー http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/21333645.html話が少々脱線したが、情報を管理し、民主主義政府でさえ国民に知らさないような情報もあるのは、情報を活用し、国益に資するためだ。上記記事にも記したとおり、私が非核三原則にあった密約を支持するのは、その密約が我が国の安全保障という殆ど最上位の国益に資すると考えるからだ。その意味で非核三原則密約と言う情報は、美事に管理され、活用されたのであるが、活用するために管理し「密約」としたのであり、上位要求は国益に資するという活用の方だ。
では、我が国政府は当該ビデオと言う情報の活用をどうして来たかと言うと・・・言うもさらなり、だろう。「日中関係に悪影響を与える」と称し、奇怪な法律論を展開し、もともとは国会への提出さえAPEC以降、即ち今月半ば移行まで延期しようとし、今月頭の「国会議員30人限定公開」さえ「何とか遅らせられないか」としていたのは、既に報じられ、当ブログでもいくつかの記事にしたとおり。前述の通りその国会議員30人限定公開の際でさえ民主党・川上義博議員は「公開のタイミングを逸した」「外交カードとして持っておくの日本にとってのベスト」などといっているぐらい、情報の管理にばかり御執心だ。
だが情報の活用、国益に資するかという視点からすると、当該ビデオと言う情報を管理し、秘匿することで得られる我が国の国益、或いはもっと広義にメリットとは何であろうか。
私の想像力の及ぶ範囲では、以下の通りだ。
(1) 当該ビデオを公開しない事により、今回の「衝突事件」の責任が中国側にあることが明快にならないようにし、中国の立場が悪化しないよう配慮し、その代わりに何らかの外交的譲歩を得る。千石言うところの「柳腰」外交というのは、これを指すのだろう。
だが、その「柳腰外構=尖閣衝突ビデオ非公開外構」に何らかの成果があったか?或いは今後成果がありそうか?
少なくとも私にはそんな「成果」は全く思い浮かばない。かろうじて思い浮かべるならば、反日暴動が通州事件のような邦人虐殺?で発展はしなかった、と言うだけであるし、邦人虐殺にならなかったのが日中密約のおかげだと言われたって、全く信じられない。官製デモが邦人虐殺にならなかったと言って、その官製デモの煽動者に感謝すると言うのは、途轍もない御人好しだけだろう。
日本人としてはそんな御人好しがたまに実在するが、日本政府に存在するのは、困るのである。(2) 当該ビデオを公開しない事により、今回の「衝突事件」の責任が中国側にあることが明快にならないようにし、中国の立場が悪化しないよう配慮し、日中関係が悪化することを防ぐ。先述の社民党・福島党首の衝突ビデオ「国会議員30人限定公開」後のコメントは、このメリットによるものだろう。(3) 当該ビデオを公開しないこといにより、今回の「衝突事件」の責任が中国側にあることが明快にならないようにし、中国の立場が悪化しないよう配慮し、それにより、相当な責任を負うべき中国「漁船」、漁民、船長を全て釈放してしまった日本政府の失策を隠蔽する。さて、言うまでもないだろうが我が国の目的は「日中友好」ではない。そりゃ中国は隣国だし、核兵器保有国だし、国連の常任理事国でもあってしまうのだから、友好であればそれに越して事はなかろうが、「日中友好」は「日中冷戦」と同様に手段である。
であるならば、上記(1)~(3)の内、「国益に資する」と言えるのは(1)だけなのである。
上記(2)のメリットのために当該ビデオを非公開としてきたのならば、菅・民主党現政権は、日中親善大使としては相応しくとも、断じて日本政府・内閣閣僚・総理大臣としては相応しくない。日本政府・内角閣僚・総理大臣は、日本の国益を追求して然るべきであり、日本の国益よりも「日中友好」を優先するような輩は、売国奴としか呼びようがあるまい。
上記(3)のメリットにいたっては・・・・言葉を失う。
我が国の国益を犠牲にして、その地位に恋々とする。たとえその地位が内閣総理大臣であり、陸海空自衛隊三軍の最高指揮官であても「女々しい」としか評価のし様があるまい。
4. 政府は衝突ビデオ全編を世界に公開すべし!最早秘匿する理由はない筈だ。
今回の衝突ビデオ「タイミングが非常に悪い」と言う説が巷間強いようである。いわく「APECを控えたこの時期に」とか「中国外交がシビアな時期に」とか言っているようだ。
尖閣ビデオ流出問題】「タイミングが悪すぎる」海保に動揺 http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/101105/crm1011050927012-n1.htm当の中国政府は日本政府に「責任ある対応」を求めている。つまり情報の管理を追及する構えであり、先述の日本政府の反応とも合致している。
早期に責任ある対応を」=ビデオ流出で影響懸念―中国 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20101105-00000100-jij-int
だがしかし、我々が目指すべきは我が国の国益であり、そのための情報活用だ。その意味で、当該ビデオと言う情報を活用する最高のタイミングは、「衝突」事件直後に全面公開であったはずだ。中国による「海保庁巡視船が中国漁船に体当たりした」などというプロパガンダが広がる前に動かぬ証拠を突きつけるのが最良だ。
それがならぬならば、次善のタイミングは「可能な限り早期に全面公開」だ。私が全面公開にこだわるのは、中国側がお得意の捏造「衝突」ビデオを鋭意作製中に違いないと確信するからであり、そんな捏造ビデオが公開された後では、我が方が保有する真実のビデオも説得力が落ちる。中国が捏造できるほどの期間があれば、我が方にも捏造するだけの時間的余裕があるのは道理だからだ。
中国の尖閣衝突ビデオ反論に見る、プロパガンダ戦。―戦いは、始まっている。― http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/34005614.html無論、菅・民主党政権、なかんずく「柳腰」外交・千石は、先述のメリット(1)即ち当該ビデオを非公開とする事による中国政府との秘密交渉と外交的譲歩の獲得を主張するかも知れない。が、菅政権どころか民主党政権発足以来の外交実績が、そんな「外交的譲歩」の夢を、木っ端微塵に粉砕してくれる。前原外相が岡田外相よりましなのは確かだろうが、首相や官房長官や「影の黒幕」があの体たらくでは、外相だけではいかんともし難い。従って現・民主党政権に前述のメリット(1)に従う国益の追求など、望めないのである。
が、そのメリット(1)追求も、基本的にはこれまでだろう。
ネット上に流出した尖閣衝突ビデオは、まともな判断力を有する人間に日本の主張の正しさを明らかにするには十分であるから、「中国人民」の当該ビデオに対する反応は先述の通りであっても、それ以外の全世界には十分アピールするだろう。
先述のメリット(2)、或いはメリット(3)の追求もほぼ同様だ。尖閣沖衝突に於ける中国「漁船」の責任は明らかであり、その分当該ビデオを今更「非公開」にし続けることによるメリットは、どのメリットであれ低減している。
であるならば、章題にしたとおり。政府は、菅首相ならびに民主党政権は、尖閣沖衝突ビデオの全面公開に踏み込み、全世界に公開すべきである。
それで悪化する日中関係ならば、悪化するのが本来である。先述の中国人民の反応もまた、本来の「あるべき姿」であろう。なんとも哀れな、醜悪な姿ではあるが。
それで倒れる民主党政権ならば、なおの事、当然の帰結であろう。それでも尚、菅・民主党政権が当該ビデオの全面公開を拒むとしたら・・・当該ビデオには、今回ネット上に流出した以上の情報が入っているからに違いない。
例えば、一部ネット上で噂となっている、海上保安官を殺そうとしているような情報が。中国「漁船」及び中国の立場をより悪化させる情報が。だが、そうであればなおの事、そのビデオは公開されて然るべきであろう。