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 報じられているのは、尖閣沖中国「漁船」衝突ビデオを巡る柳田法相の発言。言うまでもないが法相は法務大臣であるから、日本国内で日本の法律が適正に運用されるようにする責任を負っているはずである。勿論、当人にそんな自覚があるか否かはその肩書きには関係なく、であればこそ粛々と死刑執行されるべき確定死刑囚が百人以上も溜まってしまっているのであるが。
 
 それは兎も角、報じられているところでは、柳田法相、菅直人でさえ先日漸く見た当該ビデオを、未だに見ていないのだそうだ。衆院法務委員会でその理由を尋ねられて、柳田法相いわく。
 
1> 「内容は事務方から説明を受けている。
2> 図面を見れば状況が把握できるように
3> 大学(東大工学部船舶工学科)で勉強してきた」と述べた。
> 公明党の大口善徳氏が、
> 画像を見て得る情報と伝聞で得る情報の質は異なると追及すると、
> 柳田氏は
4> 「造船の勉強をしたので当然、航路なども勉強した。
5> 図面を見て事件の内容が分かった」
とのたまったそうだ。
 
 さて、私は理系の人間だが、船舶工学を学んだわけではなく、航路についても常識以上のことは知らないと、あらかじめ断らねばならないだろう。であるからして、航路の知識が今回の尖閣沖中国「漁船」衝突にどう役に立つのか、さっぱりわからない。と同時に、今まで何度も書いてきたように、法学ついてもまず素人であることも、改めて認めよう。
 だがしかし、柳田法相のこの発言と態度が、事実を審らかにして真実を探求しようと言う態度とは程遠い事はわかる。
 
 仮に柳田法相を船舶工学の大天才であるとしよう。事務方の説明は詳細を極め、為に柳田法相の脳裏には衝突状況が鮮やかに描かれた、と仮定しよう。柳田法相が脳裏に描けた衝突状況は、果たして、当該ビデオの確認を不要とするか?
 
 とんでもない。
 
 柳田法相が脳裏に描いた衝突状況は、タダ一つの情報源「事務方の説明」によっている。日本の官僚組織が尖閣沖中国「漁船」衝突で虚偽の報告をするとは私でも想定し難いが、日本の官僚であるから愛国心にあふれた虚偽の報告をすることだって、逆に中国のハニートラップか何かに引っかかって事実を隠蔽した報告をすることだって、またはその逆だって、ありうる事と考えるのは、法律を司る法務大臣の義務であろう。
 
 それを「事務方の説明だけで十分」と考えるならば、まず第1に「政治主導」なぞ夢のまた夢で、情報は官僚の手に握られてしまう。政治家=法相自らがツンボ桟敷に閉じこもろうとするようなものだ。
 第2に、法相自らが「事務方の説明だけで十分」と考えるならば、物証も状況証拠も不要なものであり、自供さえ取れれば捜査は打ち切り、そのまま自供した「犯人」を裁判にかけて有罪判決を出せることになるのではないか。
 
 つまり、上記の法相発言は、
(1) 民主党は、「事務方」即ち官僚による情報統制を全面的に支持している。
(2) 民主党は、自供を絶対視し、物証も状況証拠も軽視する裁判を目指す。
と公言しているのではないか。
 大いに好意的に解釈するならば、柳田法相は自分が船舶工学の大天才であることに絶大な自信を持っており、その絶大な自信と、今回の事件が偶々船舶に関わる事件であることが重なったために、「ビデオを見ることは不要」と言う誤判断を下した、とも解釈できるが・・・私はそこまで柳田法相を甘やかす気には全くならない。 
 根拠のない、もしくは傍から見ると全く根拠のわからない自信ってのは、民主党の特徴なのかね。
 
 だがそれは、良く言って傲慢。普通はタダのアホだぞ。
 
 而して、そんな馬鹿な発言をして醜態を曝してまで、ことさら当該ビデオを「見ていないし見なくても良い。」と柳田法相が強弁する、その理由は何であろうか。
 
 まあ、ここから先は船舶工学でも工学でもなく、法学の世界でもない。強いて言えば心理学だが、むしろ常識や人生経験、洞察力、あるいは「下種の勘繰り」の領域に属するのであるが、私の想像力の及ぶ限りでは、以下の何れかのケース位しか思いつかない。
 
(1) 上記の通り柳田法相が己が学識に絶大な自信を持っているだけ、のケース。この場合、柳田法相は哀れなピエロであるが、まだ、哀れなピエロと言うだけである。尤も、法相として全く相応しくないことに、変わりはないのだが。
 
(2) 柳田法相が実際にビデオを見ていないが、中国側のあからさまな攻撃は明らかであることを理解しているがために、その動かぬ証拠であるビデオを「見た」と言ってしまうと、国民の怒りが自分に向くことを恐れているケース。言わば、保身の為に上記(1)ケース「政治的ピエロ」の振りをしているケースだ。この場合、柳田法相は、政治的醜態を曝しても地位に恋々とする小心者と言うことになる。
 
(3) 柳田法相は実際にビデオを見て、中国側の攻撃を確認したが、見たこと自体を否定しているケース。嘘をついてまで否定する理由として一番ありそうなのは、やはり上記(2)と同様、国民の怒りが向かうことを恐れた、即ち保身だろう。この場合、柳田法相は、船舶工学の大天才である必要はない。やはり上記(1)の政治的ピエロを装っているわけだが、同時に船舶工学の天才をも装っているわけだ。なんとも浅ましい小心者である。
 
(4) 当該ビデオに中国にとって誠に不都合な映像が映っており、その存在を知っていながら「国会に提出した」と中国様に思われる事を恐れているケース。現時点でわかっているだけでも、中国「漁船」からの体当たり攻撃は明らかな様であるから、これでも「十分に中国様に不都合」と判断することはありうるし、巷間噂にある海上保安官殺害未遂なんてのが映っていればなおさらだ。実際にビデオを見た、見ないに関わらず「見ていない」と主張する可能性はあるだろう。このケースの場合、柳田法相は、中国様のご機嫌の為に国民の目はおろか自らの目もしくは良心をも欺く、正真正銘の売国奴である。
 
 さて、
 自らの学識に不適なほどの自信を持つ政治的ピエロか、
 自らの法相と言う地位に恋々として政治的ピエロを演じる小心者か、
 正真正銘掛け値なしの売国奴か。
 
 どれを選ぶね、柳田稔
 
 それとも、兼任かね?