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.中国船長、釈放さる
 
 報じられているとおり、沖縄は我が尖閣諸島の領海を侵犯した上、我が海上保安庁の巡視船に体当たり攻撃を掛け、ために公務執行妨害で逮捕されていた中国「漁船」船長が、釈放されてしまったという。
 
 釈放したのは沖縄地方検事。釈放した理由は以下の通りと報じられて居る。

1> 「(11管)乗組員に負傷などはない。
2> 計画性は認められず、
3> 被疑者には(日本国内での)前科もないなどの事情も認められる」とした。
> 一方で
4> 「被疑者の身柄を拘置したまま捜査を継続した場合の
5> 国民への影響や今後の日中関係を考慮すると、
6> これ以上拘束を継続するのは相当でないと判断した」と述べた。

尖閣・漁船衝突 中国船長を釈放 那覇地検「日中関係を考慮」2010年9月25日     http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-167952-storytopic-227.html
  
 本件については既に当ブログでもいくつかの記事にしたところである。
 
尖閣領海侵犯中国「漁船」船長釈放に関する那覇地検への公開質問状、もとい、質問を公開する。   http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/33708602.html
尖閣領海侵犯は21世紀の大津事件となりつつあるか?   http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/33689319.html
旧称「聖哲の国」-尖閣対応に見る中国の覇道ぶり   http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/33681432.html
中華思想と尖閣問題―中国の「核心的利益」を粉砕すべし   http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/33643706.html
衝突された巡視船の調査、尖閣領海侵犯で―朝日は「中国船と衝突の巡視船」と表現   http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/33597832.html
尖閣領海侵犯の中国船長逮捕に対する4+1紙社説比較  http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/33589460.html
             
 それらの記事を通じて、当ブログは大略以下のことを訴えてきたつもりだ。
 
(1) 尖閣諸島は日本固有の領土であり、議論も交渉も余地がない。
(2) 尖閣諸島近海に現れた中国「漁船」は明らかな領海侵犯であり、此を追尾した海上保安庁の行動は全く公正かつ適切なものである。
(3) その追尾する海上保安庁の巡視船に対し、中国「漁船」は体当たり攻撃を仕掛け、両者は衝突した。中国「漁船」が体当たり攻撃を仕掛けたのは、巡視船の損傷状況からして明白である。
(4) これを受けて海上保安庁は中国「漁船」を拿捕し、船長を逮捕した。当該船がただの漁船か、或いは別の任務を持っていたかは不明であるから、早々に漁船と船員を釈放、返還したのは大いに疑義があるが、船長を逮捕拘留したことは評価できる。またそれは、日本の国内法に基づくのが全く正当である。
(5) 船員と「漁船」を釈放・返還してしまった以上、残った船長への捜査追求は粛々と行われるべきである。そこに外交だの友好だの政治主導だのは、介入すべきモノではない。当該中国「漁船」船長は、ただの犯罪者である。
 
 これに対し、現民主党政権がどう対応するかは極めて疑問であった。何しろその国家意識や国防意識が社民党と良い勝負、どころかついこの間まで社民党と堂々と(※1)連立を組んでしまっていたし、「漁船」拿捕当時は党代表=首相選挙の真っ最中で、自称・人民解放軍野戦指令官殿=「我が敵」小沢一郎が新首相になってしまいかねない状況だったのだから、なおさらだ。
 
 それが、「思ったよりまともだな。」と言うのが私の所感だった。
 
 大津事件の時に見られたような日本の朝野上げての司法に対する公式の圧力はなく、(※2)、大手マスコミ四紙も大声で「釈放しろ。」とは言っていない。外相は岡田から前原になって、米国から「尖閣は日米安保の範囲。」という日本の領土なんだから当たり前だがそれでも日米同盟関係を確認する言質も得た。
 中国の圧力は確かにあったし、ネット上では武力行使何て勇ましい意見も多いそうだが、開戦するならまだ中国がロシア製の張りぼて空母しか保有せず、渡洋侵攻能力も低い今の方がまだ増しだ。今後我が国が中国以上の軍備拡張をする心算がない限り。であれば、今先端を開くというのはむしろ望むところである。
 
 であるというのに・・・拘留期限前に「処分保留で釈放」と来た。
 
 発表当時は「釈放の日時は未定」とか何とか言っていたが、舌の根も乾かない内で当該中国「漁船」船長は、チャーター機で本国へ「凱旋」。
 
 あまつさえ、中国外務省は今回の件で日本に対する謝罪と賠償まで要求する始末である。
 
中国外務省の声明要旨    http://www.47news.jp/CN/201009/CN2010092501000176.html

<注釈>
(※1) 
昨年の衆院選挙では、連立予定3党共通公約に、安全保障の項目がないと言う凄まじい「裏技」使ってまで、
 
(※2) 裏で何やっていたかは、結果的には想像できるが。
 
2..那覇地検の犯した4つの大罪
 
 何しろ現・民主党政権であり、何しろ菅首相だ。「国内法に基づき粛々と」などとのたもうたところで、ゆめゆめ油断も安心もしていた訳ではない。
 
 それでも、「これならば、民主党政権始まって以来の外交的得点=まともな対応になるのではないか。」とさえ思えたのは、大津事件が念頭にあったことは否めない。
 喩え現・民主党政権が( やっぱり)大馬鹿野郎の売国奴で、表向きは「粛々と」とか何とか言いながら裏で( これまたやっぱり)圧力をかけて居ようとも、況や中国政府やら中国共産党やら直々の圧力がかかろうとも、日本の司法が大津事件で諸先輩方が示した矜持を忘れていなければ、おかしな事にはなりはすまいと、たかを括っていたからだ。
 
 少なくとも那覇地検と、那覇地検が相談したという福岡高検、最高検は、大津事件の時の諸先人方の、苦悩も苦労も努力も功績も、全く忘れ果てているようだ。
 
 政府からの「政治主導」「指揮権発動」その他諸々の、陰に陽にの圧力があった公算は大であり、それはそれで大問題なのであるが、今回の記事ではタイトルどおり、左様な政府による圧力の有無に関わらず問題と思われる司法の罪について考えよう。以下以前の記事との重複も多いが・・・
 今回の尖閣領海侵犯中国「漁船」船長の釈放によって、那覇地検及びその相談にあずかったという福岡高検並びに最高検は4つの大罪を犯している。
 
 その1は、中国と言う外国の恫喝に結果的に膝を屈し、司法の判断を曲げた売国の罪である。
 日本ならぬ外国の政府の意向を、日本国内に於ける日本の法律適否判定に反映するなどと言うのは、膝を屈し、国を売ったという以外に言いようがない。「日中関係を考慮」「国民への影響」など、言い訳にも何にもなりはしない。司法は、法律に照らし、法を適用するのが仕事の筈。そこに外国との友好関係だの、人質として取られた国民など、影響する筈がない。それこそ「司法も広い意味で政府の一部」などと言う、途轍もない詭弁(※1)を使わない限り。
 その2は、外交的配慮ないし法務省の要請なる行政の介入「政治主導」によって司法の判断を曲げ、司法の独立を危うくし、日本国憲法の原則とされる三権分立を危うくする、民主主義に対する罪。これは上記第一の罪と重複する部分があるが、相違は外国政府ではなく日本政府の介入ないし政治的判断を容認したところにある。
 司法が、立法と行政と並んだ三権の一つであり、三権を分立させることで権力の暴走を押さえるというのは日本国憲法の基本であり、民主主義を護るための方策である。共産党だかなんだか称する「党」が全てを支配する中国や北朝鮮とは大いに異なるところだ。中でも司法は、行政=内閣と立法=国会が政権与党の影響を大いに受けるだけに、その独立が重視ないし当然視される所であり、私が大津事件を想起して司法に期待した所以でもある。

 然るに、司法の判断に政治を介入させることで、今回の那覇地検らは自ら司法の独立を放棄したのである。
 これは、仮に菅首相や仙石官房長官やその他諸々が主張するように「政府から司法への介入は無かった」と仮にしたとしても、記者会見で那覇地検自ら自白しているとおり、法の適否に「今後の日中関係」や「国民への影響」を判断材料としてるのであるから、「政治的判断をした。」と断言せざるを得ない。
 幾ら記者会見で「政治的判断は無かった。」と言い逃れをしたところで、詭弁にすらもなっていない。それは地方検事という法律のプロならば、私のような素人よりも遙かに重々ご承知の所だろう。
 その3は、当該中国船長は「今後の日中関係や日本国民」に影響を与えるが故に適用すべき法を適用しないと言う、マグナ・カルタ大憲章にさえ反する、「法の前の平等」に対する罪である。
 上記第一第二の罪でも述べたとおり、外国政府の意向や日本政府の政治主導や検事自らの政治的判断にしろ、当該中国「漁船」船長の処分に影響させると言うことは、成文化され条文化されている法律を適用するか否かは公平に判断されるべきであるのに恣意的に適用したことに他ならない。それは「超法規的措置」であり、「国王であっても国法には従う。」とした大憲章マグナ・カルタにさえ反するような大事である。
 その4は、日本国民に影響しかねない国の外国人に対しては、日本の法律が適用されないことがあり得るという、治外法権を認めた罪である。今回外交関係と、日本国民への影響を考慮して当該中国「漁船」船長を釈放したと言うことは、中国に対して戦争に負けたわけでも不平等条約を結んでしまったわけでもないのに治外法権=日本で中国人が犯罪を犯しても日本の法律では罰せられない権利を認めてしまったのに等しい。そうでなくても暗躍している中国ヤクザ(※2)、長野を一時占領して見せた「中国人サポーター」は、今後益々勢いづき、我が国の治安は更に悪化する危険に曝したことにもなる。
 
 「以上四つの大罪に対し、申し開きはあるや、釈明はあるや。」と、那覇地検に問い合わせたのは先の「質問公開」記事の通り。
 
 案の定、今の所、梨の礫である。
 まあ、好意的に解釈するならば、土日なので地検はお休み、と言うところだろう。Nutz!

<注釈>
(※1) 
これは、三権分立を真っ向から否定している。正しく憲法違反であろう。少なくとも田茂神論文なぞ裸足で逃げ出すぐらい明白な憲法違反だ。
 
(※2) 石原都知事指摘の通り、中国なんて国を挙げてやくざなようなモノだが。