3.防衛力検討の優先順位は?
 http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/33507066.html より続く
 
応援いただけるならば、クリックを⇒ https://www.blogmura.com/
 
 ところで、我が国の防衛と安全保障を議論し、考える際に、最優先の目標とすべき物はなんだろうか?
 
 日本国憲法9条とその前文だろうか。それらに現れている「平和主義」であろうか。「平和国家と言う理念」であろうか、はたまた「専守防衛」なり「非核三原則」なりの「国是」であろうか。
 
 私は、何れも最優先目標としては正しくないと考える。
 少々トートロジーじみているが、我が国の防衛と安全保障を考える上での最優先目標は、「我が国の安全」だ。
 この「我が国」には日本の主権、領土、領海ばかりでなく、我が国に必要な通商権=洋上航行の自由や我が国の国体、なかんずく民主主義体制を含む。
 
 憲法も専守防衛も平和主義も、非核三原則も核武装も大量報復戦略も、検討し議論する際の評価基準は最優先目標たる「我が国の安全」だ。これを如何に確保するか、如何に永続させるかが目標であり、「平和主義」も「核なき世界」もそのためのツール・道具・手段でしかない。
 
 国是として掲げようが、今までのしがらみがあろうが、はたまた周辺諸国が何を考えよう(*1)が、「我が国の安全」の前には吹き飛ぶし、吹き飛ばすべきである。

<注釈>
(*1) 
それが「我が国の安全」の一部であることは認める。一部であって、全部じゃない。
 
4.今こそ、国民的防衛論議を!
 
 報じられれている通り、今年末予定の防衛計画の大綱へ向けて出されたのが今回の報告書である。同大綱は元来昨年出るはずだったのが、「政権交代」のあおりを食らって一年先延ばしにされたものであり、それだけに今年末の期限は切迫したものになっている。早9月の声を聞こうと言うのだから、なおさらだ。
 報じられているところで、当該方向所に対する菅直人首相の反応は鈍いとも言う。当人としては首相を続けられるか否かの瀬戸際だから、「それど頃ではない。」と言い出しそうだが、元来国の安全保障と防衛と言うのは、国の存続に関わる重大事項である。
 
 ならば、どうするか。今の政府、なかんずく政府最大与党の民主党が党首選にかまけて、折角の報告書さえろくに検討できないならば。
 
 小題にした通りである。今こそ、国民的な防衛論議が必要である。政府与党さ、民主党さえ、党首選よりも関心を抱かねばならなくなるほどの、国民的防衛論議が。
 
 ハッキリ言って、戦後この方、そんな国民的防衛論議は起こった事がない。あえて言えば60年安保闘争がそれに近い物がありそうだが、あの安保闘争の大騒ぎが、何処まで防衛論であったかと言うと、全く疑問である。防衛論と言うよりは、革命幻想と反政府闘争の方が遥かに支配的であり、「日本の安全を如何に確保するか」なんて議論は殆ど聞かれない。
 
 であるならば、今回国民的防衛論議が巻き起こるなら、それは画期的なものになる。無論、巻き起これば、の話だが。
 そいつは間違いなく、「死刑制度廃止」を巡る議論(*1)なんかよりも遥かに我が国にとって、我が国民にとって重大な議論なのである。
 
 広く公議を興し、万機公論に決すべし!(*2)
 
 如何に、国民。

<注釈>
(*1) 
そいつに直接関わるのは、現存及び将来の「死刑囚」だけだ。
 尤も、誰かさんやら誰かさんやらのお陰で、現存する「死刑囚」は、100人ほども滞留しておるのだが。
 
(*2) いわずと知れた、明治天皇の五箇条の御誓文の内の一条である。