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 第2次大戦、と言っても我々が参戦する前だからまだ「第2次欧州大戦」であった頃、Battlr of Britain「英国上空の戦い」と言うのがあった。Battle of Britainと言うタイトルそのままに映画になって、DVDにもなっているが・・・邦題は「空軍大戦略」となっているので要注意。このタイトルを訳した者は、銃殺モノである。( まあ、確かに、一度聴いたら忘れないと言う意味で、宣伝に成功した邦訳タイトルだろうが。)タイトルの毛羽毛羽しさとは裏腹に、本物スピットファイア戦闘機と ( 魂をイギリスに売ってしまったとは言え)本物のメッサーシュミットMe109戦闘機が空中戦を実写で( 一部に流石に特撮はあるが)映像化されている、航空機映画の金字塔である。
 例えば・・・こんなシーン。
 スピットファイアのコクピット視点。正面に電影クロズゲージ、もとい、光学式照準器のオレンジ色の十字線が光る。
 メッサーシュミット戦闘機がその従事を横切る。
 機銃の軽い発射音と振動。メッサーシュミットが煙の尾を引いて退場。
    ( まあ、ここまでは空戦シュミレーションゲームなんかによくあるシーンだ。)
 その直後、
 メッサーシュミットが引いていた煙の帯を、
 コクピットが突き抜ける!
 
 「これだ!私の求めていたモノは!!
 欲しいのはこれなんだ!!!」 
イメージ 1 英国を救った戦闘機スピットファイア(wikipediaから)

 閑話休題( それはさておき)
 
 Battle of Britain英国上空の戦いは英本土上空(*1)の制空権を巡って、英独両軍が鍔迫り合いを演じた戦いだ。(*2)
 
 この戦いでは新兵器レーダーとそれを利用したGCI地上管制迎撃( Ground Cotnrol Intercept)が重要な役目を果たした(*3)が、当時まだレーダーは開発中だった。
 
 英国本土防空の重責を担うダウンディング大将( 上記の映画ではローレンス・オリビエが演じた。そっくり。)はこのとき言ったそうだ。
 
イメージ 2
           英国式仕分け論の権威(勝手に命名)ダウンディング大将(wikipediaから)
 「3番目に良い物を持って来い。
  2番目に良い物は、実用化まで時間がかかるだろう。
  1番良い物は、遂に完成しないだろう。」

  
 これに応えて「3番目に良い物」が納入されたかは、定かではないが、結論としてイギリスはレーダの開発と実戦配備、及びそれを有効に利用した迎撃体制GCIを完成し、(*4)英国本土上空の制空権を握り続け、遂に勝利した。
 
 つまり、レーダーの開発は、必要な時期に間に合ったのである
 
 ついでに言うと、その間に合ったレーダーには我が国の八木教授が開発した八木アンテナが特許料を払うこともなく多用されていた。言うなれば、Battle of Britainの英国勝利に八木アンテナは(無断使用されて)貢献しているのである。その事を戦後問いつめると、イギリス人はただ一言。
 Thank You.   と言うだけ済まされたそうである。
 まあ、我が国は半島や大陸じゃないし、イギリスは日本じゃないとは言え、戦時補償何てモンは休戦条約・平和条約締結で打ち止めなのがグローバルスタンダードであり、おばQよろしく「まだ足りなーい、まだ足りない。」とごねるのは、ゴネ得を許している我が国の甘さと、それに乗じた大陸や半島の強請り集り根性の故である。GDPで世界第2位だの、半導体メーカーで世界一だの言っていながら強請り集りなんだから、儒教道徳も地に墜ちたモノである。
 
 それは兎も角、Best of Bestではなく、次善ですらなく、「3番目で良いから今すぐ持ってこい!」と言うダウンディング大将が示した「英国式仕分け法( 勝手に命名)」何とも潔い男らしさである。
 
 「どうして1番じゃなきゃいけないんですか。2番で良いじゃないですか。」ってのは、「今をときめく」レンホウ式仕分け法。
 ダウンディング大将の「3番目を持って来い」と言う英国式仕分け法は、似ているようでいて全く違うように私には思われる。
 
 無論、レンホウ式仕分け法が、如何にもみみっちくも女々しい「細かなところに気づくんだが、細かなところしか見ていない。」女性的なイメージと英国式=ダウンディング大将式の思い切りもいさぎも良い男性的なイメージが好対照を為す、と言うのもあるが、そりゃイメージだけの問題だ。
 
 本質的には、ダウンディング大将の言う「3番目」は、
今すぐ使える1番目」だからである。

<注釈>
(*1) と、英仏海峡上空、だろうな。
 
(*2) 英仏海峡上空と英本土上空の制空権を取ってしまえば、英本土上陸作戦は成功する。英国にとっては正しく自国の存亡をかけた戦いであり、英首相チャーチルが「人類史上かくも多きの人々が、かくも少なき人々のお陰を被った事はない。」と演説した戦いである。
(*3) この辺の事情は映画Battlr of Britainに良く描かれている。巨大な地図の上に模型のコマを置いて敵味方の飛行隊を表示し、それによって各飛行隊への針路や高度の指示を出すのである。
 
(*4) ドイツのドジにも助けられ。飛行場に対する戦術爆撃から、ロンドンなど都市を目標とする戦略爆撃に変更したのが、ドイツの作戦失敗だとされる。
 ドイツには、戦略爆撃を有効に行えるほどの爆撃力が無かったとされるからだ。
 逆に大戦後半、英米軍によって行われた対ドイツ戦略爆撃は、「昼夜兼行1000機爆撃」なんて凄まじい事になっている。
 我が国も戦略爆撃では酷い目にあって恨み骨髄ではあるが、「昼夜兼行」も「1000機爆撃」も免れているのは、陸続きでない島国のありがたさだ
 その代わり、その戦略爆撃機は、当時世界最高の「原子爆弾さえ搭載可能」なB-29なのであるが。