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普天間移設、政府に「滑走路1本、沖合移動」案   http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100707-00001217-yom-pol
7月8日3時2分配信 読売新聞
 沖縄県の米軍普天間飛行場(同県宜野湾市)の代替施設に関し、政府が、同県名護市辺野古に2本の滑走路をV字形に配置するとした2006年の日米合意を見直し、滑走路を1本にして位置を沖合に移動させる案を検討していることが明らかになった。
 ただ、5月の日米共同声明で位置や工法の検討期限とされた8月末までに米側の同意を得ることは困難との見方も出ている。
 5月の共同声明では、普天間飛行場の代替施設について「1800メートルの長さの滑走路を持つ代替の施設をキャンプ・シュワブ辺野古崎地区及び隣接する水域に設置する」と明記する一方、滑走路の本数は特定していない。
 滑走路を1本とする案には、基地機能の強化の印象を避け、県内移設に強く反対している沖縄県の理解を得る狙いがある。2本と比べて飛行場の面積が縮小するため、V字形を前提とした環境影響評価をそのまま適用でき、工期が遅れる心配もないとみている。
 同県の環境影響評価条例では、計画修正により増加する飛行場面積が10ヘクタール未満なら環境影響評価をやり直す必要はないとしている。
 滑走路を沖合にずらすのは、キャンプ・シュワブ周辺にある三つの集落の上空を米軍機の飛行ルートから外すためだ。V字形だと2本の滑走路を使い分けることで集落上空を飛ばないようにできるが、1本だと、滑走路全体を移動するほかないという。しかし、米側は滑走路の本数を減らすことには、飛行場機能が低下するなどとして慎重で、V字形が最適との立場を崩していない。それでも、政府が参院選後に再開する米側との協議で新たな案を示す構えなのは、小泉政権のもとでの06年合意と同内容とすることに、菅政権内になお強い抵抗感があるからだとみられている。 最終更新:7月8日3時2分
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 報じられているのは、鳩山前首相退陣以降、菅新首相やら大急ぎの参院選挙やらですっかり影が薄くなってしまった普天間基地移設先の件。ようやっとの事で鳩山前首相が社民党を連立政権から追い出して既存日米合意案=辺野古海上案へ回帰し、菅新首相もこれを一応受け継いだのである程度「沈静化」してはいるが、先の衆院選挙で鳩山党首が「少なくとも県外」と「個人的約束」を掲げていた上にあそこまで日米関係を危機に陥れた実績があり、一方で「8月には工法を含めた普天間基地移設先としての辺野古海上案の確定」と言う新たなタイムリミットもあり、沖縄県民の「怒り」ありで、万事解決には程遠い事「政権交代」以前以上であるのが現状だ。
 
 その現状は、基本的に現民主党政権の対沖縄(*1)陳謝と説得によってしか解消しないのであるが、何しろ参院選挙で7月の半分はつぶれているから、動きが鈍るのも無理はないのだが、少なくとも「辺野古海上案」の工法は決断しなければならないはずの菅首相並びに民主党政権の検討現状が報じられており・・・「滑走路を一本化して、辺野古沖合いに出す案」を検討しているのだそうだ。
 
1> 基地機能の強化の印象を避け、
2> 県内移設に強く反対している沖縄県の理解を得る狙いがある。
3> 2本と比べて飛行場の面積が縮小するため、V字形を前提とした環境影響評価をそのまま適用でき、
4> 工期が遅れる心配もないとみている。
5> 同県の環境影響評価条例では、計画修正により増加する飛行場面積が10ヘクタール未満なら環境影響評価をやり直す必要はないとしている。
 上記1>~2>が意味するところは「沖縄県民への配慮」であり、上記3>と5>が言っているのは「環境アセスメントをやり直す必要が無いから、工期への影響はない。」である。
 
 が、少なくとも後者には大いに疑問がある。
 
 無論、環境アセスメントをやり直そうとしたら、それこそ工期完了の遅れを惹起し、それだけ普天間基地の返還は遅れるだろう。だがしかし、工期や納期と言うものを遅らせる要因は無数にある。今回政府が検討しているという案は「滑走路を一本化」すると言うから、施行面積の縮小と言う点では工期短縮の可能性を有しているが、「現行案より沖合いに出す」案なのである。
 常識的に考えれば、海は沖合いにいくほど深くなる。深い海ほど埋め立てには費用も時間もかかる。少なくとも「環境アセスメントをやり直さなくて済むし、滑走路全体の面積も小さくなる」だけで「工期に影響がない」とは断言できない。
 なおかつ、先の新たな日米合意に明記された通り、普天間基地移設先=辺野古海上案は、工法も含めて8月中に決定しなければならないのである。「工法も含めて」と言う事は、具体的に何処に滑走路を作るかと言う事も当然含むのである。
 従って、菅首相並びに現・民主党政権が報じられているような「辺野古洋上沖合い滑走路1本化案」を米側に提案する心算ならば、「現状の環境アセスメント結果がそのまま使える。」かどうかもさることながら、「滑走路建築場所変更による工法及び工事期間変更の有無」を検討しなければならない。しなければならないはずだが・・・・普天間基地移設問題シリーズで追いかけた通り、現民主党政権の普天間基地移設先検討実績からすると、寒心に堪えないどころか「きっとそんな検討はやっていないに違いない。」と断言できてしまう。
 
普天間基地移設問題シリーズ 記事リスト http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/32456004.html
 
 言うまでも無いが、今までいくつも浮かんでは消えた「普天間基地移設先案」と同様、今回の「辺野古洋上沖合い滑走路一本化案」もまた、「沖縄県民の思い」と言う理念と言うか妄想と言うかキャッチフレーズばかり先行して具体的検討がなされていなければ、「8月に工法まで決着」なんていう先頃の日米合意は再び頓挫し、少なくとも工法が( と言う事は工事施行場所も)決まるまでの間、普天間基地移設即ち普天間基地返還は遅れる事になる。 
 
 つまり・・・
 普天間基地問題が、再び民主党政権のアキレス腱となるかも知れないと言う事だ。
 
 少なくとも、8月の「普天間基地移設先辺野古洋上案の工法を含む決着」と言うのが、民主党の試金石となることは間違いない。

<注釈>
(*1) 及び要すれば対米国