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 世界史の観点からすると、既存の大宗教、教会や寺院と言う奴は、保守は守旧派の代表である。フランス革命では第1階級=貴族と第2階級=教会共々三部会の一翼を担って、第三階級=市民と対峙する存在であったし、同じくフランス革命を背景に描く(※1)「赤と黒」では黒=軍と並んで赤=教会は現体制の象徴である。
 我が国でも比叡山の僧兵は賀茂川の流れや賽子の目と同じく心のままにならぬモノの代表として古くから(※2)その影響力が知られている。
 
 世の中には何をトチ狂ったんだか「解放の神学(※3)」などと言う「革新的な宗教勢力」もあるし、新興宗教の多くは保守や守旧とは反対であるが、既存の言い換えれば既得権を有する、或いは一定のオーソライズを受けた宗教団体=教会、寺院などが保守派・守旧派であるのは無理からぬところがあろう。
 
 記事で報じられているダライ・ラマ14世はチベット仏教の総元締め。仏教と言えば回教よりもキリスト教よりも(ましてやキリスト教の新教=プロテスタントよりも)老舗の既存宗教だが、ダライ・ラマ14世猊下(※4)は、因習姑息な守旧派ではないらしい。
 
 報じられているのはダライ・ラマ14世猊下自らが、ツィッターを通じて中国本土のインターネットユーザーからの質問250に答えると言う。更に報道に曰く。
 
> 中国当局はツイッターへのアクセスを制限しているが、
> ツイッターのデータはサードパーティーのアプリケーションやサーバーからもアクセスが可能なため、
> 中国本土からも見ることができる。
 
 上記引用の3番目こそ、本報道の肝であろう。即ち、中国当局のネット検閲にも関わらず、ツィッターを通じてダライ・ラマ14世猊下の回答が中国本土に伝わると言うことである。
 
 無論、ダライ・ラマ14世猊下を悪魔だの「袈裟をまとったオオカミ」等と呼び、「中国からの分離独立を狙っていると非難している」中国共産党政権が、ツィッターにも干渉してくる事態も充分あり得ることだろう。
 だが、鼬ごっことは言え、これは「サイバー民主主義の実践例」として、歴史に記録される可能性があるように私には思われる。
 
 願わくば、それが、チベット解放、なかんずくチベット仏教解放の歴史の記録とならん事を。
 
 ダライ・ラマ猊下の白バラは、確かに咲き誇っている。

<注釈>
 
(※1) 実は又聞きだけで、ダイジェスト版すら読んでいない。映画はチラ見した気がするが・・・
(※2) 白川法皇が天下の三不如意と嘆いたんだから、11世紀の話だ。
(※3) 贔屓目に見ても、「貧困からの解放」という世俗的利益を宗教でかなえてしまおうと言うのに相当無理がある。
 況や、 「宗教は民族の阿片」と浅薄にも断じたマルクス共産主義と連むなんざ論外だ。
 まあ、所詮は私という異教徒から見た、「神学論争」なのであるが。
(※4) この呼び方で良いのかな?王様じゃないから「陛下」ではないだろうし、軍人じゃないから「閣下」でもない。「氏」や「様」や「殿」じゃ、幾ら何でも気安すぎる気がするし・・・
 つまりは私のダライ・ラマ14世猊下に対する尊敬の現れだ。
 中国共産党政権という、共通の敵を持つ「同志」でもあるしな。