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転載開始=======================================
米空軍の極超音速試験飛翔体「Falcon HTV2」、謎の失踪2010年5月2日 19時0分 (ギズモード・ジャパン)    
http://topics.jp.msn.com/digital/gizmodo/column.aspx?articleid=277998

 どっかの洞窟のテロリストにでも当たったんでしょうか?(ギズモード・ジャパン)どっかの洞窟のテロリストにでも当たったんでしょうか?
 米空軍のFalcon HTV2が、初のテスト飛行でブースターから切り離して9分後、忽然と姿を消しました。通信が途絶えたまま行方不明となり、機体は未だに見つかってません。
 予定では30分で4100海里移動し太平洋に落ちる予定になっていたのですが...いったい何処へ?
 同じ空軍が同じ4月22日に打ち上げた無人シャトル「X-37B」 とは別物。Falcon HTV 2(Hypersonic Technology Vehicle 2、極超音速技術実証機)はヴァンデンバーグ空軍基地から22日、ミノタウロスIVロケットに背負われて打ち上げになったものです。
 本件について、共同開発に当たっているDARPA(国防高等研究計画局)のJohanna Spangenberg Jonesさんはこう話しています。
 データの初期調査では、HTV-2が大気圏でマッハ20を超える管制飛行を達成したことが判明しています。しかし、その後HTV-2との通信が途絶えましまったのです。
もちろん全て完璧にいけばそれに越したことはないですけど、今回は初の飛行(他はすべて風洞とシミュレーションによる実験)です。今回のデータを活かして、2011年はじめに予定されている次の飛行に役立てられたらと考えています。
 要するにテレメトリ情報信号が消え、機体がどこにも見当たらない、と。半極秘プロジェクトなので、これ以外の情報は一切発表されていません。唯一ありえる論理的推論は...
1. 大掛かりな構造上の欠陥
2. Nazi UFO
3. ビアガーデンで落とした
 この3つだと、今んとこ2番かな...。
 極音速グライダー「Falcon HTV2」はロッキードマーチン社がDARPAの事業の一環で製造しました。 通常兵器を地球上どこでも1時間以内に落とせる設計になっており、大陸間弾道ミサイル(ICBM)に代わる完璧な次世代と目されています。
 通常の弾頭を積んだICBMと違って、こちらは見た目が飛行機。まさか核兵器と見間違えるわけないので、他の核兵器発動用の赤いボタンが押されることはまずないと思うんですけどね。たぶん。
【打ち上げ時の動画はこちら】
[Physorg]関連:sorae.jp、FNN
Jesus Diaz(原文/satomi)
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了 

(1.)M.I.A 米空軍の極超音速グライダー
 報じられているのは行方不明になった米空軍の極超音速グライダー実験機。
 「極超音速」と言うとマッハ数にして5以上はあるから、秒速にして一声1500m/s(*1)=5400km/hと言うちょっとした速度。その「極超音速」と言う高速と推力を持たない「グライダー」と言うのは一見矛盾するが、報じられているし動画にもある通り、
 
1> ミノタウロスIVロケットに背負われて打ち上げ
となっているから、この高度と極超音速までロケットに加速してもらい、その後分離して極超音速無推力飛しょうを行うと言うもの。早い話が、かつて豪州の赤い砂漠に散った日本はJAXAの「超音速実験機」の拡大発展版( 超音速⇒極超音速  日本民間⇒米国軍用)と言うことだ。( イヤ、早くないか。)
 「Falcon HTV 2(Hypersonic Technology Vehicle 2、極超音速技術実証機)」と名付けられたこの実験機、米国はDARPA(国防高等研究計画局)との共同開発で
2> 予定では30分で4100海里移動し太平洋に落ちる予定になっていた
とも報じられているから、予定平均速度は実に時速8200海里=15000km/h=4200m/sと言う極超音速でも相当高いマッハ数。先述の音速=300m/sで概算すればマッハ14が平均速度になる。
 
3> データの初期調査では、HTV-2が大気圏でマッハ20を超える管制飛行を達成したことが判明しています。
と報じられているのも道理だろう。ロケット分離後のFalcon HTV2は無動力・無推力なのだから、降下=高度を下げない事には速度の維持も不可能(*2)な筈。平均速度でマッハ14を達成するにはそれなりの分離条件=高度と速度が必要である。
 
4> しかし、その後HTV-2との通信が途絶えましまったのです。
5> 初のテスト飛行でブースターから切り離して9分後、忽然と姿を消しました。
6> 通信が途絶えたまま行方不明となり、機体は未だに見つかってません。
とも報じられている。これは一寸妙な話だ。
 と言うのもFalcon HTV2極超音速実験機が曝される環境を考えるならば、加速度、振動、衝撃、多分高度も、打ち上げロケットに括りつけられて地上から分離条件に至るまでの間が最も厳しいものであろうと思われるからだ。
 その分離が上手くいっているというのに、その後テレメータからのデータが途切れて行方不明になってしまうと言うのは、FalcomHTV2の飛行モニタ環境も含めて理解し難い。報道記事では「ナチのUFO( による妨害、或いは強奪?)」「ビアガーデンで忘れた」なんて茶化してはいるが、米空軍及びDARPAにとっては誰かの首がかかっていそうな大問題だろう。
 
 勝手な当て推量を進めるならば・・・

 まずこのFalconHTV2が、自立飛行・自律誘導をするものか、地上からの管制=誘導或いは操縦で飛行するものかで「失踪」の原因が異なってこよう。後者であるならば、「テレメータが途切れた」時点で操縦不能に陥って墜落する可能性がある。報道記事には「マッハ20を超える管制飛行を達成」との文言も見える~、この可能性は否定できないが、俄かには信じ難い。と言うのはこのFalconHTV2、極超音速の移動速度もさることながら、予定では4100海里=7600kmも飛行する事になっていた。平均速度マッハ14で飛行するFalconHTV2を追跡できる飛行機は滅多にない(*3)から、地上管制を中継していく事になるだろうが、FalconHTV2側の送受信システムは相当高度なものが必要にして不可欠となる。私がDARPAならば、少なくとも自立飛行・自律誘導をバックアップに欲するだろう。
 逆に自律飛行・自律誘導のバックアップがないまたは有効でなく、且つ送受信システムが必要とされる高度な機能を発揮しなかったが故に、FalconHTV2は失踪した、とも考えられるが。
 
 曲がりなりにも分離後9分間に飛行は成功しているようだから、報道記事が挙げている「大掛かりな構造上の欠陥」は考え難い。もしあるとしたら、空力加熱による影響もしくは分離後の機動条件だろう。
 空力加熱は主として速度の関数であり、分離前のロケットによる加速中も当然空力加熱はかかっている筈だが、熱は伝達されるし、加熱時間が長いほど高温になる。更に機体表面にアブレーション材を塗ってその蒸発で高温になるのを防いでいたりすると、アブレーション材がなくなるとどんどん温度が上がる事になる。温度が上がれば、溶解融解の危険もさることながら、それ以前に強度が落ちてくる。つまり「分離から9分間は無事だった機体構造が、9分後には高温になって強度が低下し、破壊する可能性」が考えられる。

 「分離後の機動条件」と言うのは試験条件次第なのであるが、FalconHTVF2があくまでも兵器の開発であるならば、極超音速飛翔中の大G旋回と言うのは一つの技術課題たりうるだろう。普通に直進飛行するだけならば、打ち上げ時の加速が最も厳しい加速度条件になりそうだが、分離後の大G旋回を試験条件としていたならば、こちらの方が、特に横方向の加速度では厳しい条件になり得る。つまりFalconHTV2は分離後の大G旋回を行ったが故に破壊し、墜落した可能性がある。
 いずれの場合にせよ、広義には「構造設計上の欠陥」とせざるを得ないだろう。何かの拍子で「要求されていないような大G旋回を実施しようとした」のでない限り。
 
 それでも・・・瞬時にバラバラの破片になってしまったのでもない限り、わからないのは「機体が行方不明」である事だ。たとえ空力過熱や大G旋回で空中分解したとしても、その空中分解したポイントと高度速度がわかれば、破片の散らばる範囲はある程度わかるはず。高度が高く、速度が大きいとその範囲は確かに広くなるだろうが、それでも発見するように努めはするだろう。
 それをしない、出来ないのは、ひょっとしてFalcon HTV2、高度なステルス性を有していて、トランスポンダなりリフレクターなりが正常な形状・性能でないと忽ち追跡不能になってしまい、味方ですら何処にいるか特定できないと言う事だろうか。本機の目的からすると、「高度なステルス性」は非常に魅力的なポイントであり、達成したい技術課題ではあろうが。
 
 ところで、

 米空軍―DARPA共同開発のこの極超音速実験機Falcon HTV2、
7> 通常兵器を地球上どこでも1時間以内に落とせる設計になっており、
8> 大陸間弾道ミサイル(ICBM)に代わる完璧な次世代と目されています。
と、冷戦華やかなりし頃の爆撃衛星FOBOS,MOBOSを思い出させるような物騒なシロモノだが、そのネーミングは先頃国際宇宙ステーションに無人ドッキングと物資補給の任務を見事果たしたJAXAの宇宙ステーション補給機HTVを意識していないだろうか。
 つまり「Falcon HTV2は”Falcon”までついた"2"なんだから、JAXAのHTVより上なんだぜぇ!」と言っているように思うのは、私の邪推が過ぎるだろうか。
弾着!今!!-無人補給機HTV、宇宙ステーションにドッキング-  http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/29864260.html
http://www.jaxa.jp/projects/rockets/htv/index_j.html
 

<注釈>
 
(*1) マッハ数は、音速の関数であるから音速により、音速は大気の絶対温度の2乗根に比例する。従って気温の低い高空では音速は小さくなる。それでも成層圏まで高度が高くなればほぼ温度は一定となり、音速も一定となるから、音速=300m/sとしたこの換算は、大きな間違いにはならないはずだ。
(*2) 大気圏内なのだから、当然抵抗がある。
(*3) X-15なら辛うじて・・・でも復座にしてFalconHTV2の「操縦者」を乗せて、遠隔操縦システムを乗せて・・・かつマッハ14で並行飛行しないといけない。