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 転載開始====================================http://kyushu.yomiuri.co.jp/news/national/20100428-OYS1T00716.htm
政府案は辺野古修正案、首相4日沖縄訪問へ
  政府は28日、沖縄県の米軍普天間飛行場移設に関する政府の最終案を大筋まとめ、米国や移設先と大詰めの調整に入った。政府案は、〈1〉日米が2006年に合意した同県名護市辺野古に普天間飛行場を移設する現行計画を基本に、異なる工法に修正〈2〉鹿児島県・徳之島へのヘリコプター部隊の分散移転――の2案を組み合わせたものが柱だ。鳩山首相は5月4日に、沖縄県を自ら訪問し、仲井真弘多(ひろかず)知事らに移設に向けた協力を求める方針だ。
 しかし、修正案として浮上した工法は、過去の日米協議で運用上の問題点などから却下されているうえ、沖縄県内での移設が主軸となるため、「県外移設」を最大限求めるとしてきた首相が厳しい批判を受けるのは避けられない情勢だ。
 鳩山首相は28日午後に岡田外相、北沢防衛相ら関係閣僚を集めて協議し、政府案について大筋了承を得たい考えだ。
 修正案は、海底に数千本の杭(くい)を打ち込んで桟橋を建設し、そのうえに滑走路を建設する「杭打ち桟橋(QIP)」方式が最有力となっている。鳩山首相がサンゴ礁の破壊など環境面への影響を懸念し、海面埋め立てに反対しているため、環境への影響が比較的少ないとの見方がある同工法が浮上した。
 ヘリ部隊の移転では、沖縄の負担軽減の観点から、徳之島が最有力の移転先となっているが、地元の合意を得られない場合、沖縄県内の普天間飛行場以外の基地も選択肢としている。
 首相は28日午前、首相官邸で北沢防衛相と会談した。防衛相は、現行計画の修正案について、QIP方式と他の工法を含む複数の案を提示したうえで、QIP方式が最善だとの考えを伝えた。
 これに先立ち、防衛相は27日、ルース駐日米大使と会談し、移設案の概要を伝えた。防衛相は大使との協議内容についても首相に報告したとみられる。
 首相は5月4日に沖縄入りした際、知事との会談を求めるほか、住民との対話集会の開催も検討している。首相の沖縄県入りが実現すれば、昨年9月の政権発足以降初めてとなる。
(2010年4月28日  読売新聞)
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 報じられているのは、散々迷走した普天間基地移設問題に置いて、漸く政府案が纏まりつつあり、米側及び移設先地元と大詰めの調整に入ったと言う・・・・今となっては俄かには信じ難いような話。
 何しろ「3月末までに政府案」と言っていた約束を、「法律で決まっているわけではない。」「数日ずれても大した問題ではない。」と豪語してスッポカし、党首討論では「地元も米側も納得できる腹案がある。あるけど言えない。」とこれまた豪語しながら、4月も末になろうという現時点まで政府案は愚か民主党案さえまともに見えないのが、鳩山首相であり、民主党であり、現政権であるのだから、上記のように報じられたところで眉に唾つけるなと言うほうが無理と言うものだろう。
 
 それは兎も角、報じられているところでは、政府案とは以下の通りだそうだ。
 
1> 政府案は、
2> 〈1〉日米が2006年に合意した同県名護市辺野古に普天間飛行場を移設する現行計画を基本に、異なる工法に修正
3> 〈2〉鹿児島県・徳之島へのヘリコプター部隊の分散移転――
4> の2案を組み合わせたものが柱だ。
 
 さて、当ブログで散々書いて来ており、米側も主張している通り、在沖縄海兵隊がその抑止力を十全に発揮するには、陸海空全部隊の連携が必須である。これには米側の主張で「ヘリの飛行時間にして20分」、報じられるところでは120km以内に全部隊が展開している必要がある。これ即ち「沖縄県外への分散移設」などと言うのは、近い徳之島でさえ200kmの彼方であるから条件に外れることから、米側としては呑みようが無いし、我が国安全保障上もそんな提案はすべきではない。
 
 米側が呑みようが無い」と私が主張するのは、私が「対米追従者」であるからではなく(*1)、米側は政権交代当初から「現行日米合意=辺野古海上案 の履行」を求め、前提としており、その現行日米合意よりも何らかの形で有利な条件を示されない限り、新たな日米合意などしようはずがないからである。何故ならば、現行日米合意=辺野古海上案を一方的に反故にしようと言うのは日本側=現政権であり、現政権の示す新たな日米合意案が現行日米合意より有利で無い限りは、新たな日米合意案に賛成せず、普天間基地をそのまま継続使用するという選択肢が、米側にはあるからである。
 手間も喰えば駐留コストも喰い、抑止力を大いに低下させる「沖縄県外に一部なりとも分散」なんて案を、米側は呑みようが無い。
 
 日本の安全保障としては、駐沖縄海兵隊には現状以上の抑止力を期待するのであり、手間や駐留コストは日本の安全保障上二儀的な話ではあるが、抑止力の低下は看過しかねるから、やはり「沖縄県外に一部なりとも分散」なんて案は呑めない。
 それを呑んでしまえるどころかまじめに提案できてしまう現政権だとか、鳩山首相だとか、特に分けても社民党だとかは、普天間基地移設問題を考えるに当たって、日本の安全保障と言う根源的にしてほぼ最上位の視点が全く欠落しているのである。
 
 無論、マニュフェストに堂々と、あんな安全保障策を堂々と掲載してしまう社民党や、それとつるんで連立政権共通公約を先の衆院選挙で作る際には安全保障策と言う「国の大事」に全く触れないと言う暴挙を為した( かかる暴挙を為したけれども選挙には大勝してしまった。大勝させたのは貴方だよ、国民。)現政権では、無理からぬ話なのではある。
 
社民党を嗤え  http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/29729793.html
わかっちゃいるけど、わからない。  http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/32112015.html
 だが、一方で同じ報道は以下のように報じている。
 
5>  ヘリ部隊の移転では、沖縄の負担軽減の観点から、徳之島が最有力の移転先となっているが、
6> 地元の合意を得られない場合、沖縄県内の普天間飛行場以外の基地も選択肢としている。

 
 つまり、上記政府案の2本柱の2番目「徳之島へのヘリ部隊移設」は「普天間以外の沖縄県内基地への移設」となりうる事を報じている。
 その「普天間以外の沖縄県内基地」が辺野古海上に統合されれば、上記の現政権による、政府案は現行日米合意案=辺野古海上案( 但し、こちらは埋め立て)との有意な差は殆どなくなる。これ即ち米側の同意は得やすいであろうと言うメリットでもある。
 また、日本の安全保障上からも「沖縄県外への分散」などもってのほかなのであるから、辺野古海上に統合であれ、普天間でも辺野古海上でもない沖縄県内の基地であれ、この「徳之島に移設できない場合の政府案」は許容できる案である。
 
 無論、この新たに浮上してきた政府案にも問題はある。
 一つには、徳之島の「地元の合意」が得られてしまった場合。この場合、上記の政府案では喜び勇んでヘリ部隊の一部を徳之島に移設してしまい、沖縄駐留米海兵隊の抑止力を大いに低下させてしまう。その低下を米側が良しとしなければ、( 良しとしないよう、私は祈るが。)、地元合意は得られても、米側合意は得られず、新たな日米合意は成立しない。
 
 もう一つは、徳之島がやはり移設を拒否した場合。この場合はめでたく普天間基地の移設先は辺野古海上(但し浅瀬)を含む沖縄県内となり、日本の安全保障上も、米側としても、重畳至極。新たな日米合意も十分可能であろうが・・・タイトルにもした通り、泰山鳴動鼠一匹なのである。その鼠は、「辺野古沖の海を埋め立てずに浅瀬に滑走路を作る」と「ヘリ部隊は辺野古海上ではない沖縄県内の基地かもしれない」と言うだけである。これでも普天間基地は返還されるし、普天間基地周辺住民の負担と不安は軽減されるのだから、「トータルで沖縄県の基地負担は軽減された。」と一応言える。
 
 問題は、その軽減が、現行日米合意案=辺野古海上(埋め立て)案と一体どれほど差があるかと言うことだ。
 仮に差があったとしても、僅差だ。その僅差の為に、オバマ大統領をペテンにかけ、沖縄県民にバラ色の公約をプレゼントして殆ど実行せず、昨年末決着を諦めて、その分普天間基地返還を遅らせて来たのだ。鳩山首相、民主党、現政権は。
 
 泰山は鳴動したが、やはり鼠一匹だった。尤も、鼠ぐらいじゃないと困るのも確かだ。
 だが、それも端からわかりきっていた事。
 その鼠一匹を出すと言うOutputの為に、泰山を轟々と鳴動させた責任と後始末は、ちゃんとつけるんだろうな。

<注釈>
(*1) 前にも書いたが、私如きの追従なぞ、米軍も米政府も必要としていない。従って私が米軍米政府に阿って追従するメリットは、私には無い。