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 4/19(月)朝のNHKラジオAM放送で、イタリアにある老人ホームのユニークな経営を紹介していた。海外在住者が電話インタビューに答える形式で、何でも、公立老人ホームの1/3程度の料金で、低額年金受給者を優先して入居させていると言う。
 その経営のユニークさは、運用費の大半を市民の寄付によっている事の他、リサイクルショップを開いたり、「天国の通行証」なる「アイディア商品」を売ったりして稼いでいる事によると言う。
 この「天国の通行証」なるもの、6000円程で売られる紙切れで、これを持っていると天国にいけると謳っていると言う。これに対してNHKのアナウンサーも現地駐在者も「ユニークだ」「工夫されたアイディアだ」と手放しに賞賛していた。
 
 が、私は呆れながら放送を聞いていた。
 
 「免罪符じゃねぇか。」
 
 私は免罪符の実物を見た事はない。勿論買って持ってもいない。
 私の知る免罪符は、中世ヨーロッパにて財政的に行き詰ったカトリック教会が濫発し、それが宗教改革=新教(プロテスタント)登場の一因になったという世界史の知識のみだ。だが、「これさえ買えば天国にいける」と言うご利益は正に現代イタリアの老人ホーム(*1)発行「天国の通行証」そのままであると、断じるだけの知識はある。(*2)
 即ち「天国の通行証」なるものが、ユニークでも新しいアイディアでもないと判断できる。
 
 確かに私は歴史好きの戦史好き。従って常人よりも世界史知識が多いのは確かだろうが、免罪符についてはそれこそ高校か中学の教科書と世界史資料集(*3)、参考書、文庫本程度の世界史辞典(大学受験用。世界史選択者だったからね。)つまりせいぜい受験勉強程度の知識ぐらいしかない。
 そんな私でも免罪符のコンセプトを覚えていると言うのに、この放送の現地駐在者( 多分、唯「イタリアに住んでいる」と言うだけの人)は兎も角、「天下の」NHKアナウンサー( 十中八九、文系の大学出。世界史選択者ではないかも知れないが。)までこの「天国の通行証」を「ユニークだ、アイディアだ」と手放しで賞賛できてしまうと言う事は、お二方とも中世欧州史に於ける一大イベント・宗教改革=新教の登場を忘却されているとしか思えない。
 また、その放送をそのまま流してしまうと言う事はNHKのディレクターだかプロデューサーだかもまた然りと言うことだ。
 それとも・・・これもまた、NHK流偏向歴史報道の一環なのだろうか。
 
 「現在を支配する者は過去をも支配する。
  過去を支配する者は未来をも支配する。」―「1984」真理省のキャッチフレーズ―

<注釈>
(*1) ひょっとすると、経営主体は教会かも知れないが。
(*2) 少なくともこの免罪符はカトリック教徒専用であり、いくら大金を積もうと私のような異教徒は天国に入れてもらえない筈だ。
 それとも、異教徒すらも救える免罪符なのかな?
 そうだとするとその免罪符は、十戒の十番目「私以外の者を神と崇めてはいけない。」に反するだろう。
(*3) 資料を満載して、帝國海軍軽巡洋艦「夕張」に例えた序文が印象的だった。