以下の経緯は番号順になっており、(1)は「変心、変身、また変針」まで遡る。
 前回「泰山鳴動、噴火するか?」までの記事は以下URLにある。
http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/32244997.html

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 前回「泰山鳴動、噴火するか?」以降の経緯を纏める。

(140) 平成22年04月08日(木) 「政府案」だか「腹案」だか良くわからないが、平野官房長官から仲井真沖縄県知事に説明された( 但し、政府の「意思統一」以前)「普天間三段階移設案」で米海兵隊ヘリ部隊が一時的に( か、普天間基地の「全部隊」にされるかは不明。)移設されるという鹿児島県・徳之島の三町長が、揃って基地移設に反対を表明した。
 この問題について「地元の同意は当然得る」としている鳩山首相理論に従うならば、これは「三段階移設案」の挫折である・・・はずだ。
 「地元と言うのは沖縄県の事です」とでも言い出さない限り。言い出しかねないのが鳩山首相だが。
「島の声聞いて」 徳之島3町長が基地拒否  http://mytown.asahi.com/kagoshima/news.php?k_id=47000001004070002

(141) 平成22年04月09日(金) 「案の定」と言うべきだろう。2段階だか3段階だかわからないが兎に角日本政府案の普天間基地最終的移設先とされていた勝連沖ホワイトビーチ案を断念する事になった、と報じられている。
> 政府が「2段階移設案」の最終移設先としてきた米軍ホワイトビーチ(同県うるま市)沖に人工島を建造する計画を断念したことが8日分かった。

 更に、同じ報道は続けて曰く、
 
> (米側は)日米合意に基づく平成26年までに全面移設が可能かどうかを日本側に再三問い合わせてきた。
> 日本側はいずれの代替案でも施設の完成時期を明示できず、
> 米側は正式提案と見なしていない。

 つまり、アメリカ側からは日本政府案そのものが未だにないと見なされていた訳だ。
 まともに議論の対象となる提案ですらない。と。
 移設完了時期さえ答えられないようでは、それも無理はない。
 これでは対米交渉もヘッタクレもありはしない。これまた案の定だが、対米交渉の入口にすら立てないまま、「(昨)年末決着」延期から半年間、「政権交代」からならそれ以上の無駄時間をすごした訳であり、その責任は全て、現政権、民主党、鳩山首相にある。
 現政権が、「5月に決着すると、法律で決まったわけではない。」と言い出すのも時間の問題だろう。
「普天間」で政府 ホワイトビーチ案断念 地元と与党反対 5月決着困難に
4月9日2時37分配信 産経新聞 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100409-00000510-san-pol
一体何を統一した「政府意思統一」? 
 極めて奇怪な事に、この「普天間基地移設政府案崩壊」の報道は、産経新聞の上記記事以外殆どないようである。これもまた、マスコミによる民主党擁護の一環だろうか。

(142) 平成22年04月09日(金) 今月2日の丘が外相基調を受けての閣僚会議で、政府案の普天間最終移転先とされた勝連沖=ホワイトビーチ案が断念されたとこの日報じられた。
 この2日に発表された「政府意思統一」は一体何を統一したのか。
 「現時点では決まらない。」とまた決めたのか。
 だとしたら、それから1週間、一体何をどうして新たな政府案を「決めよう」としているのか。そもそも、そんなもの「決まる」のか??
「普天間」で政府 ホワイトビーチ案断念 地元と与党反対 5月決着困難に
4月9日2時37分配信 産経新聞 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100409-00000510-san-pol
一体何を統一した「政府意思統一」?  

(143) 平成22年04月11日(日)恐らくは普天間基地移設政府案が未だ決まらないことを受けて、勇躍テニアンに出かけた社民党視察団。「テニアンの地元は普天間基地の移設を歓迎している。」と言う「成果」を挙げたらしい。これでまたぞろ「コクガイダァコクガイダァ」とやかましいに違いない。
 「憲法9条が最大の抑止力」なんて公言できてしまう輩と、抑止力を議論しても始まらない。つまり、社民党は、普天間基地移設問題に関与させてはならないのだ。
社民、普天間移設でテニアン市長らと意見交換 http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/100411/stt1004111928008-n1.htm

(144)平成22年04月12日(月) 平野官房長官はこの日、次のように述べたと報じられている。

平1> 「県外を軸に、沖縄県民の負担を軽減し、危険性を除去するとの考えで今、政府も動いている」
平2> サイパン、テニアン両島への移設に言及したが、平野氏は「現時点では難しい」と、政府案に盛り込むことに否定的な見解を示した。
平3> 「機能の何を県外に出すかは調整の中にある」として
平4> 具体的な移設先への言及は控えた。
平5> 「あくまでも政府としては5月末までに決着を図る」と強調した。

 この発言を解析するならば、平2>から「新たな政府案は国外移設ではない。」と考えられる。平1>と併せると「国内の県外移設」を未だ模索している、と一応読めるが、それは少なくとも昨年11月、「(昨)年内決着」を諦めるとして駐日米大使に「激怒」されて「普天間基地移設先検討」を指示して以来でも5ヶ月。昨年夏の衆院選挙で政権交代実現してからなら8ヶ月。先日鳩山首相が大見得切った党首討論では「半年かけて」模索し、この3月には政権与党3党の「案」を持ち寄って、未だ米側にまともに扱ってもらえる案一つ出せずに居るのが現状だ。
 第一、米海兵隊は陸海空三位一体であるからこそ強力な抑止力たりうる。その機能をどの一部たりとも「県外に出す」など、米軍は承知すまいし、日本も安全保障上承知すべきではない。
 米側が、新たな日本政府案を承知するのは、日米現行合意=辺野古沖移設案及び普天間基地継続使用以上の有利な条件が示された場合のみ。
 その「有利な」には、半島有事をはじめとする極東有事へ向けての抑止力を含むのだから、抑止力維持の目処がない限り、テニアンやグアムに後退=撤退などする訳がない。
 
 であると言うのに・・・同じ記事で報じられている核安全保障サミットでオバマ米大統領と非公式に会談を行う(言い換えると公式には会談してもらえない)鳩山首相の曰く。
 
鳩1> 「5月末までに結論を出すため協力をお互いにしていこうとは申し上げたい」

 「普天間基地移設問題は早期に決着しよう。」と言う日米首脳会談の合意を、Trust Meの一言と共に粉砕しておいて、何が「協力をお互いにしていこう」なのだ?
 「協力しない」どころか信頼関係を破壊し、嘘をつきまくっているのは、鳩山首相以外の一体誰だというのだ。我が敵・小沢一郎か?
 仮にそうであっても、その傀儡となって日米関係破壊を演じているのは、他ならぬ鳩山首相であろうが。
 
 私がオバマ大統領であったなら、こんな間抜けな提案しか持ってこない鳩山首相とは非公式にも会談しないだろう。
 私が女で、合衆国大統領で、会談の場で鳩山首相にこんな「提案」をされた日には、迷わず平手打ちを食わせるだろう。

普天間「県外軸に機能移転」 官房長官、沖縄県議会議長に  http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100412/plc1004121248007-n1.htm

(145)平成22年04月13日(火) 先の視察団「成功」を受けて社民党が勢いづき(つまりは3月に政府与党間で持ち寄った際の社民党案の「国外」に漸く具体的地名が入りそう、と言うだけなのだが・・・無記名よりはマシとは言え。)政府与党内に普天間基地移設先北マリアナ案を検討しようと言う動きが出ていると報じられている。
 あらためて言うまでも無いが、普通に考えたら、国内外県内外を問わず普天間基地移設先の検討は、以下の項目が以下の優先順位でなされるべきだろう。
 
 ① 移設先変更に伴う抑止力への影響。現行日米合意である辺野古沖移設より抑止力が低下する案は選べない。
 ② 移設完了期間と移設費用の見積。現行日米合意に基づく移設計画よりも長くかかる案は避けるべきだし、移設費用の増加分は日本側負担となる可能性を十分に考慮すべきである。
 ③ 移設先地元の反応と米軍・米政府としての利便性及び両交渉の難易度
 ④ 連立与党間交渉・合意の難易度
 
 上記出報じられている「北マリアナ案」は上記③の前半しか評価していない。
 それを言うなら既報の二段階だか三段階だかの「政府案」からして上記③と④しか検討しておらず、①は無視、②すらろくに検討していないから、米側にまともに受け取られていないのである。①を無視するのは民主党やら社民党やらのポリシー・信念だと「理解」しても、②を検討しないのは、唯の怠慢である。
普天間 与党に北マリアナ案も http://www3.nhk.or.jp/news/html/20100413/t10013796581000.html

(146)平成22年04月13日(火) 核安全保障サミットでオバマ大統領を待ち伏せかなにかして非公式会談に持ち込もうと言う鳩山首相は、普天間基地移設問題について「日本の検討状況を説明し、5月末までの決着に向け協力を要請する」のだそうである。
 前記(137)に示した通り今月2日「政府意思統一」した筈だが、それまで報じられた二段階だか三段階だか移設案は上記(141)の通り破綻しており、何を「統一」したのかわからない状況だと私は思っているが、以下の案を説明するのだそうだから、これが現行の「鳩山私案」なのだろう。(上記(145)参照。政府どころか民主党内でも統一などされていない。)
 
1> 鹿児島県徳之島への訓練移設と、
2> キャンプ・シュワブ陸上部(名護市など)にヘリ離着陸帯を建設する案
3> を組み合わせることを検討している。

 既報の三段階移設案から最終移設先のホワイトビーチを削除した「3-1段階移設案」ともいうべき案である。が、訓練を比較的近くとは言え県外(つまり数百kmの彼方)に移設するという時点で上記(145)の①に反しており、かような案はアメリカは拒絶するだろうし、日本も安全保障上とるべき案ではないのである。
 たとえ上記2>の「ヘリ離着陸帯」を滑走路に格上げし、V-22の離発着を可能としても、上記の条件は変わらない。況や上記のままでは、V-22の駐留は現行普天間基地を継続使用するほかなく、普天間基地返還など不可能である。
 普天間基地縮小ぐらいは可能かも知れないから、「沖縄の基地負担を現状より軽減」とは言えるかもしれないが、現行日米合意案=普天間基地返還&辺野古海上移設より軽減されているかは、甚だ疑問でさえある。
鳩山首相、「5月決着」伝達へ=普天間で米大統領に http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100413-00000013-jij-pol