報じられているのは、日本国際問題研究所が主催する「東アジア共同体の構築を目指して」と題したシンポジウムにて自らの「東アジア共同体」構想を鳩山首相が熱弁をふるって説明したというもの。シンポジウムのタイトルからして東アジア共同体に賛同するための進歩であるから、いわば鳩山首相にとっては「ホームグランド」。熱弁にも力がこもった事だろう。
 
1> 「旧政権と大きく違うのは東アジア共同体を積極的に構想することだ。
2> 役所間の軋轢(あつれき)が障害になっている部分もあるが、
3> 日本を世界に向けてひらく。もっともっと開国させる」
 
 敢えて断言するならば、先の衆院選挙で民主党が大勝し、政権交代を実現「してしまった」のは、我が敵・小沢一郎が陰で( 或いは堂々と日向で)操る鳩山首相率いる民主党が「自民党とは違う」と目され、期待されたからだ。
 
 その民主党に期待された「違い」と言うのは、「①子供手当て」でも「②高速道路無料化」でもなく、「③インド洋上給油活動からの撤退」でもなかったと、断言してもよかろう。精々、④事業仕分けによる「無駄な」支出のカットが期待された程度だろう。
 増してや「⑤外国人参政権」や、「⑥露骨な利益誘導型政治( それはある意味、極めて「自民党的」な政治手法である。田中角栄を師と仰いでその猿真似をしていれば、無理もないところであるが。)」であった筈もない。それらはマニュフェストに出て来ない、あるいはマニュフェストから隠されたのであるから。
 さらに言えば、今回鳩山首相が自慢している「⑦東アジア共同体」に「自民党との違い」を見出し、民主党に投票した国民がどれほど居たか、甚だ疑問である。
 
 無論、実際のところどのぐらいそんな期待があったかは、私自信は民主党なぞ支持しなかったので、あくまで推測の域を出ないのであるが。
 
 だが、鳩山首相は、今では殆ど唯一の目玉政策ながら財源も継続性も全く頼りない①や、竜頭蛇尾・羊頭狗肉としか言いようのない②や、日米関係を悪化させる効果しかなくこれから財政を大いに圧迫する③や、鳴り物入りでやっては見たが期待されたほどの効果は全然上がっていない④や、殆ど外国人と朝日新聞ぐらいしか支持しない(それでは選挙に勝てない。)⑤や、どうやら田中角栄の頃のような効果がない(と漸く気づいた?)⑥を、今更「旧自民党政権との違い」と強調するのも憚られるから、「まだ構想だけだから実害が発生していないし、何となく良い事の様に聞こえる(者も居る)」「⑦東アジア共同体」を強調しているのであろう。
 これならば、社民党のマニュフェストとも、民主党の黒幕・我が敵・小沢一郎の唱える「日米中正三角形」にも合致し、中国様のご機嫌も麗しい上、民主党内からも連立政権内からも賛同の声しか上がらない。鳩山首相としては安心して熱弁を揮える・・・・党内と、連立政権内しか見ていないなら。
 
 だが、私が先の衆院選挙の結果大いに失望した(辛うじて絶望は免れた)国民の目から見てはどうだろうか。
 「政権交代」に期待した、「自民党政権との大きな違い」は「東アジア共同体構想」であったろうか。
 
 鳩山首相の熱弁はさらに続く。 
4> 「『開かれた国益』という言葉をあえて使いたい。
5>  日本という国がまだ鎖国的な意識を持っている。
6> 一人一人の心の壁を取り除くことが大事な発想だ」
 問題は鳩山首相の言う「鎖国」や「開国」が何を指し、「東アジア共同体」で一体どんな「開国」を目指すつもりかと言うことであり、それを日本国民が、期待するか、支持するか、と言うことである。
 
 鳩山首相の言う「鎖国」は、健全な国家意識、日本と言う国、我が国対する日本国民の愛国心ではないのか。
 
 鳩山首相の言う「開国」は、日本と言う国家の解体、中国や北朝鮮や或いは韓国に対する日本侵略への門戸開放宣言、言い換えれば日本に対する侵略の幇助ではないのか。
 我が敵・小沢一郎がわざわざ中国で「人民解放軍野戦司令官」と嬉々として自称したことを考え合わせると、私としては特に後者、鳩山首相の言う「開国」に対する懸念を免れない。
 否、むしろ、これは確信に近い。確信に近いからこそ、小沢一郎は我が敵なのである。
  
7> 内閣支持率低迷を念頭に「(自身の)ビジョンをあまり評価をいただいていない」

 正しく、鳩山首相そのビジョン、「東アジア共同体」を評価したからこそ、支持率が下がっているのではなかろうか。
 
 少なくとも私は、それを期待する。
 
 目覚めよ、国民。