今までの記事


前回以降の経緯

 以下の経緯は番号順になっており、(1)は「変心、変身、また変針」まで遡る。
 前回「普天間基地移設問題2009今度こその最終便」以降の経緯を纏める。


(63) 平成22/01/01(金) 新年早々のこの日、「前原沖縄・北方相が12月9日に都内でルース駐日米大使と会談し、米側に受け入れ可能な代案が5月までにまとまらなかった場合、社民党と国民新党との連立を解消してでも現行日米合意を履行する用意があると伝えて事が31日判明した。」事が報じられた。
 この前原沖縄・北方相の議論は比較的まともな議論である。少なくとも今まで出てきた「グアム移転」だの「他の基地に統合」だのの思いつきアイディアと違い、米国相手の交渉を念頭に置いた現実味のある議論だ。
 疑問点が一つ、問題点が一つある。
 疑問点は、連立解消の覚悟があるのならば、何故それを今しないのかという疑問だ。「沖縄県の想い」と「重く受け」ているからだ、と言うのはお為ごかしに過ぎない。社民党や国民新党はそれぞれの党益を代表しているだろうが、沖縄県民を代表しているわけではない。事に社民党が「連立離脱」をチラつかせて「県外・国外移転」を強硬に主張し、それに今の「連立」政権はおもねっている現状からすると、今年5月時点で「連立を解消してでも」なんて覚悟は、全く信用できない。信用できるぐらいなら、今でも連立解消できるはずだ。
 問題点はこの「まともな議論」が、果たして今の鳩山首相や民主党、分けても黒幕・小沢一郎に通じるかと言うことだ。
 「連立解消」で切られる社民党・国民新党に通じないのは端から分かり切っている。
「連立解消も」と米に説明=代案なければ現行計画-普天間移設で前原沖縄相http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100101-00000016-jij-pol

(64) 平成22/01/01(金) 福島社民党党首は、都内で記者団に対し次のように述べたそうだ。
1> 普天間移設問題について「県外・国外移設で社民党は頑張っていく。
2> (政府・与党の議論の)先頭に立っていく」
3> 「(同県名護市)辺野古の沿岸部には絶対に海上基地を造らせない。
4> 海上基地は利権、大規模公共事業そのものだ」
 社民党じゃあしょうがないと言えばそれまでだが、「国益」も「抑止力」も全く度外視している。まあ、あんなマニュフェスト掲げて選挙しているような政党じゃ、安全保障には何も期待できないのは道理だが。
 そんな党が政権与党なのである。
県外・国外移設へ決意=福島社民党首 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100101-00000047-jij-pol
社民党を嗤え1 http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/29729793.html

(65) 平成22年01月01日(金) この日、念頭挨拶を述べた鳩山首相は、普天間基地問題について以下のように述べた。
1> 普天間基地移設の問題についても、
2> 我が国の安全保障の問題として日米同盟を強化すると同時に、
3> 沖縄県民の負担を少しでも減らすために、
4> ギリギリの知恵を絞りながらしっかりと議論していきたいと思っています。
5> 議論を尽くした上で、最終的には、私の決断で内閣としての最終方針を決定しなければならないことは言うまでもありません。
 上記1>~4>は一続きのフレーズで、一寸離れて5>が入っている。
 端的に言おう、「鼻で笑ってやる。」
 2>で「日米同盟強化」を謳いながら、2回の日米首脳会談を通じてオバマ大統領をペテンにかけ、日米同盟を弱体化させたのは間違いなく鳩山首相だ。小沢一郎の指示があったのかなかったのか私にはわからないが、弱体化を実践したのは他でもない、鳩山首相その人だ。
 3>で「沖縄県民の負担軽減」とぬかしているが、その「負担軽減」として「普天間基地の県外・国外移転」と言う幻想を選挙で振りまきながら何一つ実行せず、挙句の果てに連立相手の社民党に知りにしかれて現行日米合意に沿った負担軽減=普天間基地に変換さえ暗礁に乗り上げさせたのも鳩山首相だ。そのくせ、”口約”の「県外国外移転」は代替案一つまともにない参上を招いたのも、鳩山首相の怠慢と無能の故だ。
 4>で選挙からも既に3ヶ月以上たち、2回も日米首脳会談を重ねる間何一つ努力せず、今頃あわてて「ぎりぎりの知恵を絞って」いるのもまた鳩山首相の「リーダーシップ」のなせる業だ。
 極めつけは5>だろう。普天間基地の移転先を「連立3党の合意で決める。」即ち「鳩山首相一人、民主党単独では決められない。」と昨年12月に漸く決めたのは他でもない鳩山首相ではないか。「民主党単独ですら決まらない。」と決めておいて「最終的は、私の決断」とは、笑止千万である。
鳩山内閣総理大臣 平成22年 年頭所感  http://www.kantei.go.jp/jp/hatoyama/statement/201001/01nentou.html

(66) 平成22年01月04日(月) 日米同盟進化を目的とする第一弾として企画されていた日米賢人会議の発足が延期された事が報じられた。
 鳩山首相自ら「日米同盟重視」と口先で唱えるばかりで、その言動は全く逆もしくは支離滅裂なのであるから、これは当然の結果であろう。
普天間問題で米反発拡大 「賢人会議」も先送り 同盟協議、停止の様相 http://news.goo.ne.jp/article/sankei/politics/m20100104023.html

(67) 平成22年01月05日(火) 米の調査分析会社ユーラシア・グループが「今年のアメリカの外交リスク10」の第5位として「日本」を挙げていることが報じられた。
 残念ながらこの予想も無理はないと断じなければならない。
 但し、同報道では、今年の参院選について「鳩山由紀夫首相はその地位にないかもしれないが、民主党が勝利するだろう」と予想している。
 かような予想は、少なくとも私にとってのさらなる悪夢であり、是非ともひっくり返してやりたい予想である。
普天間影響か 米の10大リスク5位に「日本」 トップは米中関係 http://sankei.jp.msn.com/topics/politics/12070/plt12070-t.htm

(68) 平成22年01月06日(水) 普天間基地の移転先について、在沖縄海兵隊は取材に対し以下のようにコメントしたと報じられた。
1> 「普天間のヘリコプター部隊は移設後も、
2> 一体運用する地上部隊と飛行時間で20分以内の近接距離に配置する必要がある」
3> 「海兵隊は海、空、陸の各兵力が統合的に訓練され、戦闘する組織だ」
4> 「普天間代替施設は沖縄本島か、その沿岸部に配置されなければならず、
5> 日米同盟の能力を維持するには辺野古沿岸部への移設がベストだと確信している」
 「ヘリで20分」と言うと、距離にするとせいぜい100kmが良いところだろう。4>で「沖縄本島か、その沿岸部」と限定しているのも道理である。3>で端的に言い表している通り、海・陸・空が一体化してこその海兵隊であり、海兵隊の抑止力なのである。
 流石に現場の言葉だけあり、抑止力の有効性を極めてシンプルに表している。
 お題目のように「県外だー国外だー」と唱えるばかりで代替案一つ示さない社民党や、「綺麗な海を汚すな」などと本末転倒な似非環境保護論をぶつ小沢一郎なんかより、遥かに現実的な説得力を持つ。
ヘリ部隊は20分以内に配置 普天間めぐり海兵隊見解 '10/1/6 http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp201001060088.html

(69) 平成22年01月06日(水) 防衛省内に普天間基地移設問題に当たる特命チームの設置が決まったと報じられた。
> 普天間移設など在日米軍再編問題に限定、米国や沖縄県などとの協議・調整にあたる。
 そうであるから、現政権が辺野古に代わる普天間基地移設先代替案を「連立3党合意」で決めたなら、それを以って「米国や沖縄県などとの協議・調整にあたる」事になるらしい。
 現行の日米合意は同意まで10年以上かかったが、先述(58)12/28の鳩山首相発言が有効ならば(つまり彼が今もその言葉を覚えおり、今後も忘れないと仮に仮定するならば)今年の5月までに(新たな)日米合意を取り付けると言う事まで期待されてしまう「特命チーム」である。
 鳩山首相、普天間移設で「米国の意向無視しない」5月までに結論 http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/091228/plc0912282244015-n1.htm
>チームは職員5~6人で構成し、政務三役直属となる。
そうだが、この職員達が何者であるにせよ、日本側結論が「現行日米合意の履行」でない限り、「5月までに(新たな)日米合意」と言うのは先ず不可能、少なくとも相当虫の良い期限ではなかろうか。
省庁:普天間「特命」設置へ http://mainichi.jp/select/seiji/news/20100106ddm005010023000c.html