普天間基地移設問題を巡る現政権の無能ぶりは年末になっても収まらないようである。
 ここに今年の締めくくりとして、経緯を纏めておこう。


1.今までの記事



2.普天間基地移設問題2009今度こそ最終便

 以下の経緯は番号順になっており、(1)は「変心、変身、また変針」まで遡る。
 前回「普天間基地移設問題2009最終便(多分)」以降の経緯を纏める。


(59) 平成21/12/28(月)沖縄に駐留する米海兵隊はこの日、普天間基地飛行場の滑走路改修工事を年明け早々の1月10日から開始すると発表した。報じられているところでは、海兵隊は取材に対し以下のように応じたと言う。
1> 工事は定期的な保守整備の一環だとしながらも、
2> 「(2014年の)普天間返還を見越して工事を先送りしてきたが、
3> 代替施設の建設が予期されたよりずっと長くかかり、
4> これ以上待てなくなった」
 まず当然の帰結と言うべきだろうな。辺野古への移設を前提に汲んでいた日程が全く停止してしまったのだから、沖縄に駐留する海兵隊としては、普天間を含む今ある基地をを維持補修して使う以外ない。
 これに対し「普天間飛行場の固定化に対する警戒感が広がった。」とも報じているが、これは本末転倒だろう。少なくとも「普天間基地の返還」が停止したのは、他でもない鳩山首相と現政権が「県外・国外への移設を検討する」として「現行日米合意の履行」を停止しているからだ。停止したままその日本側代替案さえ未だ決められないでいるからだ。
 沖縄の「県民感情」がいかなものであろうとも、米海兵隊にしてみれば、今回の滑路改修工事は、天地俯仰に恥じるものがない。
「代替待てぬ」海兵隊、普天間滑走路を改修へ http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20091229-OYT1T00018.htm

(60) 平成21/12/29(火) 岡田外相はこの日記者会見で次のように述べた。
1> 「より良い移設先が出てくれば、そっちにすれば良い。
2> 出てこなければ現在の案が生き続けている」
 当たり前と言えば当たり前なんだが、その当たり前の意見さえ現政権では珍しいので記録しておこう。
 同時にこの言葉は、岡田外相が以前述べていた「沖縄他基地への統合」も「より良い案」と断言できるほど検討されていないことを示している。
「良い案なければ現在の案」普天間移設で岡田外相  http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/091229/plc0912291847011-n1.htm

(61) 平成21/12/30(水)民主党の黒幕・小沢一郎は、普天間基地の移設先について「沖縄県内の離島を軸に検討する考えを与党関係者に伝えていたことが」この日判明した。
 特に「同県内の米軍伊江島補助飛行場(伊江村)、下地島空港(宮古島市)への代替施設建設に前向きだ。」そうである。
 現行の日米合意にこぎ着けるまでの間にこんなアイディアが検討されなかったとは俄に信じ難く「検討されて却下された」公算大であるから、「小沢一郎の思いつき」以上のものであるとは思えないが、何しろその思いつきで天皇陛下の御健康と御予定を犠牲にして中国にこびを売ってっしまえるほどの民主党の「人民解放軍司令官」殿の思いつきだ。仇やおろそかには出来ないのだろう。現政権としては。
「伊江島か下地島に」普天間移設先で小沢氏が与党関係者に意向 http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/091230/plc0912300118000-n1.htm

(62) 平成21/12/30(水) 民主党の黒幕・小沢一郎の「普天間基地江島/下地島移転案」に対し、鳩山首相は以下の言葉で「理解を示した」と報じられている。
1> 「私が話すべき時ではない」としながらも、
2> 「一つ一つの選択肢を精いっぱいの努力の中で議論していく」
3> と含みを残した。
4> 明言を避けたのは、県外移設を主張してきた社民党への配慮とみられる。
 案の定、小沢一郎には全く頭の上がらないコンニャク男であるが、重要なのは同じ記事の次の言葉だろう。
5> 「来年5月という時間の中で(現行案以外の)最適の答えを出す努力を開始した」
 まず第一に指摘したいのは、「答えを出す努力を開始した」のが年末も押し詰まったこの時期と言うことである。普天間基地を現行日米合意の履行に従っての辺野古移転以外の解決に導こうというのならば、通常ならばそんなことを「選挙公約」に掲げた時点で「答えを出す努力を開始」するはずであるし、曲がりなりにも日米首脳会談をやるならば、その時までに何らかの「答えを出す」のが普通だろう。それが2回の日米首脳会談を通じ、特に2回目では代替案の提示どころか代替案そのものさえないままに「Trust Meと大見得を切り、わざわざメルマガで一般大衆に報告までしているというのは一体どういうことか。全く理解できない。
 
 一方社民党の福島党首も、民主党の黒幕様の前には借りてきた猫のようだ。「県外・国外移転でなければ政権離脱だ!」と息巻いていたのは何処へやら。
> 「社民党としては県外、国外で候補地を探したい」としながらも、
> 「それも含めて検討する。他党の提案は考慮する」と柔軟な姿勢を示した。
普天間移設の小沢離島案 首相と福島氏が「理解」 http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/091230/plc0912302209019-n1.htm