1.今までの記事


2.前回「「話せば判る」は話による」以降の経緯

 以下の経緯は番号順になっており、(1)は「変心、変身、また変針」まで遡る。


(51) 09年12月22日(火) 国民新党の下地政調会長が、駐米日本大使がクリントン長官に呼び出された件を受け、日米関係に危機感を表明した。
 鳩山首相よりは、まともな神経がある者と見える。
米国務長官の駐米大使呼び出し「異常な光景」 国民新・下地政調会長が日米関係に危機感stt0912221151003-n1.htm

(52) 09年12月22日(火) その鳩山首相が「クリントン長官による駐米日本大使呼び出し」に対する反応はと言うと・・・
1>「日米関係は大変重要だという認識の中で、普天間に対する基本的な姿勢を示されたのではないか」
2>「米国の基本的な姿勢はよく理解している」
3>「お互いに日米同盟は大事だから頑張ろうということで、
4>(政府方針に)理解を示していただいたと私は考えている。
5> この基本的な米国の姿勢は大きく変わっているはずはない」
 例によって、適当に区切って番号を振った。
 上記1>と2>は流石の鳥頭・鳩山首相でも米政府の立場が「現行日米合意の履行」である事は頭に入ったようだ。第2回日米首脳会談の翌日にそいつを吹き飛ばして見せたのに比べれば「長足の進歩」だ。
 だが、その基本的立場のアメリカのクリントン長官にCOP15の晩餐会で「普天間基地問題はもう少し待ってくれ。」と説明し、「十分に理解を頂いた」と公言していたのではなかったか。いくら二枚舌三枚舌四枚舌の鳥頭でもそいつは酷かろうと思うのだが、鳩山首相の弁明は3>~5>であるらしい。
 「あるらしい。」と甚だ自信がないのは、私にはこいつが弁明にも弁解にも聞こえないからだ。いやそれどころか、一体何を言っているのかがわからないのが正直なところだ
 まず4>の「(政府方針)」とは今月15日に3党「合意」した「普天間基地の移転先は当面決めない。数ヶ月かかるし、何時までかかるか判らない。」と言う連立政権方針の事と解釈するのが普通だろう。続く4>ではこの「政府方針」にクリントン長官が「理解を示した」事になっており、これはCOP15晩餐会後の鳩山首相の発言と合致する。
 が、その当のクリントン長官が「駐米日本大使を呼び出して、普天間基地移設問題先送りに強い懸念を示した。」事とは全く反する。一体どんな「理解」を示されたのだろうか。
 解釈を変えて3>と言う前振りが在る事から、此処でいう「(政府方針)」は「お互い日米同盟は大事だ」と言うことだと仮定しよう。これならば後に続く5>との繋がりもよくなり、上記3>~5>は一つのセンテンスとして整合する。クリントン長官が駐米日本大使を呼び出した事とも矛盾は起こさない。日米同盟を大事と思うが故に苦言を呈したと解釈する事ができる。
 問題は、COP15晩餐会に於いて「クリントン長官に説明し」「充分な理解を得られた」と報じられている報道を縦から読んでも横から読んでも「日米安保は重要だと言う理解がえられた」とは読めないことだ。(普天間問題「しばらく待って」首相、米国務長官に http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091219-00000319-yom-pol)
日米同盟の重要性は共有=鳩山首相 http://news.goo.ne.jp/article/jiji/politics/jiji-091222X856.html

(53) 平成21/12/24(木) 米国務長官が、クリントン長官が中米日本他氏を呼び出したという報道を否定したことが報じられた。米国務長官によると、駐米日本大使はクリントン長官の所に立ち寄っただけであると。
 この事を重大視して「クリントン長官が駐米大使を呼びつけたという報道はでっち上げだった。」と大々的に言う一部マスコミもあるし、各種ブログに至っては「かようなでっち上げにも拘わらず、日米関係は盤石で、普天間ぐらいでは揺るがない」と、鳩山首相や現政権には大変都合の良い提灯記事も散見される。
 が、上記米国務長官が述べているとおり、「普天間基地移設は現行日米合意案で解決(済み)」という米側の立場は小揺るぎもして居らず、駐米大使が自ら出かけようが、呼び出されようが状況はさして変わらない。
 「呼び出されたと言うのは異例」と言うだけで、別にアメリカの主張は全く変わっていないのである。鳩山首相がCOP15で「説明し、理解を得た」としても。
http://mainichi.jp/area/okinawa/news/20091224rky00m040003000c.html
米国務次官補:大使「呼び出し」報道を否定

(54) 平成21/12/26(土) 鳩山首相はこの日、ラジオ番組の収録で普天間基地のグアム移転案について、「抑止力の点から全てを移設するのは無理がある。」と述べた。
 報じられている鳩山首相の言葉は次の通り。
1>「現実の中で考えれば、
2> 抑止力の観点からみて、
3> グアムにすべて普天間を移設させることは無理があるのではないか」
 例によって適当なところで区切った。
 3>は今頃何を言っているかと言うぐらい「当たり前」のことではある。
 注目すべきは無論2>であろう。普天間基地移設問題が「問題」となって以来、鳩山首相が「抑止力」に言及したのは是が初めてじゃなかろうか。
 それだけ抑止力を等閑に附して来たのだ。
 それも無理はないのだ、1>で述べている通り、今まで「現実の中で考え」ていなかったのだから。きっと憲法前文世界だか9条世界だかの非現実の中で考えていたのだろう。
 現実と非現実の区別が付くようになっただけ、長足の進歩と言うべきか。
普天間、国外移設を否定=「抑止力の点でグアム無理」-鳩山首相 http://news.goo.ne.jp/article/jiji/region/jiji-091226X703.html

(55) 平成21/12/27(日) ところがどっこい、社民党は「夢から覚める」事など無いのである。この日社民党の福島党首は、(54)の鳩山首相の言葉に反発し、「社民党は極めて有力だと考える」と述べた。
 一体何が根拠で「有力」なのやら。「その方が都合がよい」だけでは、何ともならんだろうに。
普天間「グアム移設は有力」 首相発言に福島氏 (12/28 08:53)  http://www.hokkaido-np.co.jp/news/politics/207621.html

(56) 平成21/12/28(月) グアム移転案を「無理」とするか「有力」とするかで大いにもめるだろうと予想された与党3党の協議がこの日行われて、結果は・・・
1> 「来年5月をめどに結論を得るため、
2> 最大限努力することで一致した。」
つまりどうにかこうにか期限らしきモノを決めただけで、グアムも何も普天間基地の移転先代替案については全く合意が得られなかったと言うことだ。
その期限さえ、「最大限度力する」だから、達成できるとは限らない。
克てて加えてこの「期限」までに決まるのは、日本側の現行日米合意に対する代替案でしかない。
普天間移設、来年5月めどに結論 与党検討委で一致http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/091228/plc0912281627008-n1.htm

(57)平成21/12/28(月) 民主党の「黒幕」小沢一郎はこの日「沖縄の人の声を尊重しないといけない。あのきれいな海を汚していいのか」と述べたそうである。
 つまり次の選挙もこの手で勝とうと言うことだろう。
 日米同盟がその犠牲となることは「日米中正三角形」と称する媚中政策を取る小沢一郎としては、願ったり適ったりなのであろう。
普天間移設で小沢氏、現行案に否定的「沖縄の声を尊重しないと」http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/091228/plc0912281947014-n1.htm

(58)平成21/12/28(月) インド訪問中の鳩山首相は記者団に対し次のように述べたと言う。
1>「当然、米国の意向を無視した与党合意はありえない。
2> 日米同盟、安全保障にとって、最も望ましい解決策を何としても見いだしていく」
3>「日米の中でも、5月という目標設定設定の下で、最終的な結論を出す」
4>「普天間問題では、私は常に一貫した発言を続けている。
5> それを皆さん(マスコミ)が一部分だけとらえて(いる)。
6> 全体を聞いてもらえば何も揺れていない」
 これに対する突っ込みは、書き出すと長くなりそうなので、別項としよう。 
鳩山首相、普天間移設で「米国の意向無視しない」5月までに結論 http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/091228/plc0912282244015-n1.htm