始めに断っておくべきだろう。私はいわゆる「鉄ちゃん」=鉄道マニアではない。ただ歴史的・技術的見地から鉄道に興味を持つばかりで、新幹線の形式ぐらいは何とか識別できるが、在来線の車輌よりはドイツの列車砲の方が詳しいぐらいであるから、当記事も「専門的見地」からは不適切不満足なモノであるだろう事は予告しておく。無論、ご指摘は大歓迎であるが。
 
 報じられているのはロシアで運行を開始したロシア初の高速鉄道。「サプサン(Sapsan)」と名付けられて同高速鉄道、意味は「隼」だそうだから、「追跡者 犬鷲」ならぬ「高速鉄道ハヤブサ」と言うわけだ。
 モスクワ(Moscow)-サンクトペテルブルグ(St. Petersburg)間を結ぶそうだが、サンクトペテルスブルクは昔で言うレニングラード(更に遡るとまたサンクトペテルスブルクになるが)。レニングラードからモスクワと言うことは「東部戦線縦貫高速鉄道」と呼べないこともない。(ま、ロシア人は呼ばないだろうけれど)
 
 その東部戦線縦貫高速鉄道が、ドイツの老舗シーメンス(Siemens)社製であるというのは、歴史の皮肉かはたまた意図的なモノか。
 
 それは兎も角、このサプサン、最高速度250km/hと報じられているから、我が国で言えば懐かしき哉先頃引退してしまった0系新幹線=あの卵っ鼻と同等と見なせそうだ。と言うことは、ドイツ製とは言い条、「日本の新幹線を凌駕する」ICEの技術はあまりはいっていないのかも知れない。ロシアみたいに広大で平ったい所こそ、鉄道の高速化が望まれそうではあるのにな。
 さらには、従来は4時間30分かかっていたモスクワ-レニングラードもといサンクトペテルスブルク間を3時間45分で結ぶようになるそうだけれど、確かに時間は短縮されているが、平均速度は2割しか上がっていない勘定だ。それだけ、従来のネフスキー・エクスプレス(Nevski Express)とやらが高速出して頑張っていたと言うことか、はたまた「最高速度250km/h」と言いながら新型のサプサンがその高速を発揮できない事情があるのだろうか。(「駅間距離が短すぎる」と言うのはロシアにはありそうにないし、地形が険しいというのも無さそうだから、線路の敷設工事の精度が悪いとか。)
 
 何にせよ、これでロシアもはれて「高速鉄道保有国家」になった訳で、未だ持っていないアメリカとしては、少々焦るところかも知れない。サプサンがドイツ製だから「高速鉄道ギャップ」にはならないだろうけれど。