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 用語を解説しておく必要があるだろう。「仮装巡洋艦」とは「仮装」した「巡洋艦」を意味するが、歴史的には民間船の内比較的大型のものを軍用にした「艦」を指す。砲や魚雷発射管などの武装を施しながらこれを隠蔽し文字通り「無害な商船や客船などに仮装」して、拿捕・鹵獲しようと近づいて来る敵艦艇(主として比較的攻撃力の劣る小型艦艇や潜水艦)を返り討ちにしてやろうと待ち構えたりする仮装巡洋艦もあれば、特別な装備は無線機ぐらいで敵艦隊や敵航空機の来寇を探知するべく哨戒に当たる仮装巡洋艦もある。第2次大戦で潜水艦狩りを実施したイギリスのQ-Shipは前者であり、日露戦争でバルチック艦隊の来寇を探知し通報した信濃丸は後者である。その他第2次大戦のドイツは「ペンギン」「コルモラン」等の仮装巡洋艦を通商破壊に投入している事が有名だ。

 民間船を徴用して、軍事的任務につける場合の呼称が「仮装巡洋艦」と思ってほぼ間違いなく、文字通り「仮」の呼び方と言うわけだ。
 
 さて、報じられている我が捕鯨船団の第2昭南丸は軍務についているわけではないから、「仮装巡洋艦」とするのは正確ではない。が、先の記事で自称環境保護団体=実質鯨類偏愛団体シーシェパードが主張するところでは「大勢の治安要員」が乗り込んでいるそうであるし、当該記事では同じくシーシェパードが「第2昭南丸の長距離音響発生装置と放水による攻撃を受けた」と「抗議」しているから、放水銃や長距離音響発生装置と言う装備も有している事になる。「仮装巡洋艦」と言う呼び方は相応しくなくても「仮装巡視艇」ぐらいにはなれそうだ。
 
 それにしても狂犬・シーシェパードの「抗議」は全く的外れだ。
 
 まず第一に先行記事でシーシェパードが認めている通り、第2昭南丸に接近したのはシーシェパード側だ。その意図は「第2昭南丸乗っ取りまたは撃沈」にあったのではないかと疑われるが、未遂に終わったようなのでホントの所はわからない。が、接近した相手に「追尾されて振り切れない」と言うのは、相当間抜けな話だろう。
 
 第2に、シーシェパードのヘリは長距離音響発生装置の攻撃を受けて「双方にとり極めて危険であり、無責任な行為だ」と非難しているが、「双方にとり危険」なのも「長距離(と言ってもそう遠くまで有効な兵器じゃない。)」とは言え「音響発生装置」の攻撃をくらうのも、これまた第2昭南丸に接近し、恐らくは進路妨害してその間に母船を逃がそうとするからだろう。
 第2昭南丸の長距離音響発生装置攻撃は、正当防衛とは言えないだろうが、シーシェパードのテロ船との食説を維持する事を任務としてるとするならば、任務遂行上の正当な行為だろう。
 第2昭南丸の任務は、どうやらシーシェパードの主張通り、そのテロ船との触接を維持し、その位置を我が捕鯨船団本隊の方に知らせることにあるようだ。その情報により我が捕鯨船団はテロ船の海賊行為に悩まされることなく任務を遂行できる。
 であるならば、第2昭南丸としては、ヘリコプターが進路妨害しようが、テロ船が氷山の陰に隠れようが、これを逃すわけには行かない。当然そうしないだけの努力をするだろう。長距離音響発生装置が有効ならこれも使う。何しろノンリーサルウエポン=非致死性兵器だ。「シーシェパードのパイロットが目を回して操縦を誤るかも知れない」可能性など、斟酌されようはずがない。
 
 第3に、これからシーシェパードは氷山を利用しての逃亡を企てるようだが、「氷山は両方の船に損害を与える可能性がある」と予防線を張っている。
 これは、この先テロ船が何らかの損害を被った場合、それは「追尾してきた第2昭南丸のせいだ。」と言うための伏線では無かろうか。或いはもっと極端に、これからわざと氷山にぶつけて「被害」を生じさせ、第2昭南丸に責任を押しつけようと企んでいる可能性もある。無論下手くそがやれば小破程度でですます心算がうっかりテロ船を沈めてしまうかも知れないが。そうなったら搭載ヘリで脱出するのか、第2昭南丸に救助して貰うのか、一寸見物ではある。シーシェパードがピースボート並の団体であるならば、臆面もなく救助を求め、救助されてから「船を沈められた」と抗議することだろう。