あろうことか(*1)「日中友好促進」と言う政治目的のために天皇陛下を利用すると言う御引見強行問題で、鳩山首相ごと影が薄まってしまった普天間基地移設問題だが、12/18の米側最後通牒は厳然と生きており、それなりの動きは・・・・一応ある。経緯だけで5000字超えてしまうと少々厄介なので、このあたりで記事にして置こう。
 
 今までの普天間基地移設問題を追った主なきじは以下の通り。
鳩山首相の精神状態を疑う http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/30632844.html
愚中の愚 http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/30819382.html
(1) 泰山鳴動鼠一匹 http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/30831957.html#30851028
(2) 変身、変心、また変針。http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/30857751.html
http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/30857751.html
(3) The Untrustworthy Man-信じられぬ男- http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/30869437.html
(4) さらに偏芯?http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/30906546.html
http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/30906568.html
(5) I am watching the PROBLEM http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/30918793.html
(6) 先憂後楽の対極 http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/30942878.html
(7) 協議は踊る(本記事) 

<注釈>
(*1) いや、政権交代後の新内閣発足の際に「特別なお言葉」を所望したあたりから、兆候はあったか。


1.先回記事「先憂後楽の対極」 以降の経緯まとめ

 上記(6)「先憂後楽の対極」以降の普天間基地移設問題の動きを以下のようにまとめた。
 例によって( )内は通し番号。(1)は
 
(37) 09年12月10日(木)この日の記者会見で、自民・公明両野党の代表は、普天間基地移設問題に言及し、共に現政権による日米危機に懸念を表明した。
谷垣氏、普天間問題で「米国の不信感増しており、深刻」http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/091210/stt0912101936017-n1.htm

(38) 09年12月11日(金) この日記者会見で鳩山首相は次のように述べた。例によって、番号を振ったのは鳩山首相の発言である。
1>「米国としては何も変わらないのがベストだとの気持ちが伝わってくる。
2> ただ住民の長年にわたる危険と騒音の問題を考えれば、
3> そういう結論にしてはいけない」
> 同飛行場の継続使用が米側の意思であるとの認識を示した上で、
> 早期移設の必要性を強調したものだ。
 此処で問題になるのは「米国としては何も変わらないのがベスト」と言う鳩山首相の認識と「何も変わらない」とは何を意味するのか、と言うことだろう。上記の通り報道では、この「何も変わらない」は普天間基地の使用継続と捉えている。
 が、オバマ大統領も米国政府も、その主張は「現行日米合意の履行]であり、「普天間基地の辺野古移転」である。「何も変わらない」とは「日米合意の履行と言う主張は変わらない」を指す可能性がある。
 1>の「何も変わらない」が前者「普天間基地の使用継続」であるならば3>「そういう結論にしてはいけない」は現行日米合意の履行と言う、米側の主張に沿って「早期解決(*1)」の可能性がある。
 だが、1>の「何も変わらない」が後者「現行日米合意の履行」であるならば3>「そういう結論にしてはいけない」は現行日米合意の否定であり、いまや始める目処すら立てられない日米交渉の開始を意味する。
 2>の「住民の危険と騒音」では、前者とも後者とも断じかねるのである。言い換えれば、鳩山首相の発言は、解説がないとわからないという事だ。
4> 「まだ答えが出ているわけではないが、
5> われわれとしてはベストを尽くしている」
 現状を、「ベスト」と言い切ってしまえる厚顔無恥は大したものだ。その厚顔を、外交成果につなげて欲しいもんだ。

(39) 09年12月11日(金)今月始めに鳩山首相が米国に外交政策顧問とされる寺島実郎多摩大学学長を「特使」として派遣したが、オバマ大統領に面会拒否されていたことがこの日わかった。
 「特使」が面会拒否と言うのはちょっと記憶に無いぐらい異例だが、「ワシントンを訪問し、オバマ政権側の鳩山首相に対する誤解を正したい」等と寝言としか思えないような協力要請を米大使館に出しているから、拒否されるのも当然だろう。
 鳩山首相の言行不一致不誠実は、誤解のしようがないほど明白だ。それを「誤解」と言うのは戯言寝言。合衆国大統領が戯言寝言を聞いている暇なぞ、あろうものか。
>寺島氏はこれまで「対等な日米同盟」「東アジア共同体」
>「米国と中国の中間に立つ日本」などの主張を鳩山首相に先だって発表してきた
となればなおさらだ。
オバマ政権、鳩山「特使」を拒絶 政権混乱で厳しい姿勢 http://sankei.jp.msn.com/world/america/091211/amr0912111732004-n1.htm

(40) 12/11(金) 鳩山首相ぶら下がり記事における鳩山首相の発言は以下の通り。
1> 「日米合意を、そのまま国民の皆さんと一緒に、日本の政府が分かりましたと。それでいきましょうというYESということで済ますということができれば、それは簡単ですよ。
2> でも、現在、そのような状況でないことは、おわかりの通りであって、
3> だからこそ、今、日本の新しい政権としてどういう道があるかを模索している。
4> 沖縄の県民の皆さん方のお気持ちも理解をしていくなかで、アメリカにも理解をしてもらえるような道筋を考えていきたいと思っているところです」
 1> 鳥頭の鳩山首相はすっかり忘れきっているようだが、第2回日米首脳会談でオバマ大統領に「Trust Me」と宣言し、あたかも現行日米合意を履行するかのごとく振舞ったのは、他の誰でもない鳩山首相だ。
 2> 上記1>にも拘らず、オバマ大統領との日米首脳会談が終わるか終わらないかの内に「現行日米合意案を前提としない。オバマ大統領は前提としていると思うが。」と、いけしゃあしゃあとひっくり返し、「そのような状況」を作り出したのも、紛れも無く鳩山首相だ。他の誰にどんな責任を転嫁できると言うのだ。
 3> つまり何かね、選挙の際は散々「普天間基地の県外・国外移転」と言う夢を宣伝し、それもあって選挙には大勝したが、2回に渡る日米首脳会談の際には現行日米合意を了承しており、「新しい政権として」もなにも、「どういう道があるか」も全く模索していなかったと言う事だね。なるほどその状態では現行日米合意を了承する以外のことは行えまいね。そういう日米首脳会談に、したんだよね。
 4> 即ち、選挙の際に掲げた夢「普天間基地の県外・国外移転」を唱えた際には「沖縄県民の皆さんのお気持ち」なんか考えておらず、ただ選挙のキャッチフレーズとして唱えたと、自白しているね。
 それを「理解するようになった」のは進歩かも知れないが、現行日米合意を覆すと言うのなら、「アメリカにも理解をしてもらえるような道筋」と新たな日米合意のために、一体どれぐらいかけるつもりかね。その間普天間基地も動かなければ、沖縄の海兵隊のグアム移転もストップすると言う事は、理解・覚悟しているんだろうな。
【鳩山ぶら下がり】(2完)天皇陛下の会見設定「杓子定規は正しいのか」(11日夜) (1/3ページ)http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/091211/plc0912112222019-n1.htm

(41) 12/11(金)カート・キャンベル国務次官補らはこの日、訪米した国民新党の下地幹郎政調会長に18日までという期限を設定し、現行案の米軍キャンプ・シュワブ沿岸部(沖縄県名護市辺野古)移設の受け入れ可否の決断を迫った。
>「イエスでもノーでも、18日までにしてほしい」
と報じられているから、国民新党の閣外議員に対するかような「最後通牒」は異例であるが、一方異例なだけに鳩山首相は「聞いていない。」と逃げを打つつもりのようだ。
普天間決断は18日まで…米の「最後通告」http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091212-00001070-yom-pol


(42) 12/12(土)北沢防衛相は首相の考えている普天間基地移設先を、現行日米合意の辺野古では無いと示唆した。
 と言うことは、現行日米合意の破棄であり、当面普天間基地も海兵隊も、沖縄から動かないと言う事だ。
普天間移設「首相は辺野古以外」と防衛相 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091212-00000971-yom-pol

(43) 12/14(月)この日基本政策閣僚委員会なる名前だけは偉そうな委員会が開かれ、普天間基地問題への対処方針として(1)普天間基地の移設先は3党協議で決めるが、当面決めない。 (2)普天間基地を辺野古移転した場合の環境的影響を評価する予算は計上する。 と言う玉虫色にもなりそうに無い「方針」を「決めた」と言う。
 「移設先を当面決めない」と決めた事を「決めた」とは言わない。
 これ即ち上記(41)で米側から出された最後通牒は無視された事を意味する。なぜならこの「移設先を当面決めない。」方針では、現行日米合意=普天間基地の辺野古移転に対しYesともNoとも回答していない。
 しいて言えば「Yesと明快に答えてない以上No」であろう。米側としては、沖縄の海兵隊をグアムに移転する予算等を計上しようが無い。
 つまり、この方針をアメリカに伝えた時点で、沖縄の海兵隊のグアム移転は、予算計上の都合上まるっと1年遅れるものと予想しなければならない。勿論普天間基地も、移転先が決まらないのだから、微動だにすまい。
 「YesかNoか、ハッキリしてから持って来い。」と門前払いを喰わなければ、だが。
政治社会人..普天間移設先「当分決めず」=与党幹部が見通し http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091214-00000180-jij-pol


<注釈>
(*1) デフォルトでは生成とこの線に沿っていたはずだから、今頃決着しても、ちっとも「早期」じゃないのだが。