報じられているのは北沢防衛相のコメント。何でも日米地位協定の見直しを、来週ロバート・ゲーツ(Robert Gates)米国防長官が来日する際に提起するのだという。
日米地位協定が紆余曲折はあるものの日米間の協定として成立したことを覚えている私としては、今更その見直しを提起するのだから、さぞや画期的な新提案があるのではないかと考えるのだが・・・全くそんなことはないらしい。
何しろ報じられているとおり、
> 日本政府は在日米軍再編について米国と議論したい意向だが、
>米政府はすでに再協議の意志がないことを示している。
と北沢防衛相自らが認めているのである。その「再協議の意志がない」アメリカ政府を、如何にして再協議の席上に引っぱり出すかが最初の問題であろう筈なのに、この報道では全くそれが見えて来ない。
日米地位協定が紆余曲折はあるものの日米間の協定として成立したことを覚えている私としては、今更その見直しを提起するのだから、さぞや画期的な新提案があるのではないかと考えるのだが・・・全くそんなことはないらしい。
何しろ報じられているとおり、
> 日本政府は在日米軍再編について米国と議論したい意向だが、
>米政府はすでに再協議の意志がないことを示している。
と北沢防衛相自らが認めているのである。その「再協議の意志がない」アメリカ政府を、如何にして再協議の席上に引っぱり出すかが最初の問題であろう筈なのに、この報道では全くそれが見えて来ない。
そもそもこの報道に依れば、上記見直しの提起の発端は、沖縄の県民感情と普天間基地の移転問題なのだそうだ。
北沢防衛省の曰く、
①>日米地位協定に対して沖縄の人たちは「ある意味、屈辱的というか、ネガティブな思いを非常に強く持っている」と述べ
②>「だから普天間の再編をすすめる中で、地位協定についても十分に議論したほうがいいんじゃないかな、という思いを強くした。
③>ただ、これは外務省でやっていただく話ですから、われわれもゲーツさんが来たときに提起する
北沢防衛省の曰く、
①>日米地位協定に対して沖縄の人たちは「ある意味、屈辱的というか、ネガティブな思いを非常に強く持っている」と述べ
②>「だから普天間の再編をすすめる中で、地位協定についても十分に議論したほうがいいんじゃないかな、という思いを強くした。
③>ただ、これは外務省でやっていただく話ですから、われわれもゲーツさんが来たときに提起する
ところが一方で、
④>普天間飛行場を県外に移転するとしても選択肢はほとんどなく、
⑤>現状では現在の計画の微調整しかできないだろうとの認識を示した。
のもまた北沢防衛相である。
④>普天間飛行場を県外に移転するとしても選択肢はほとんどなく、
⑤>現状では現在の計画の微調整しかできないだろうとの認識を示した。
のもまた北沢防衛相である。
①では北沢防衛相、沖縄の県民感情は現在の日米地位協定を否定していると言っている。妙な話ではある。日米地位協定は日本国と米国との協定。沖縄県民は日本国民の一部であり、駐留米軍の多くが居るのは事実だがその県民感情が締結された日米地位協定を否定する根拠となるはずがない。日本国政府は日本国民を代表して地位協定を結んだはずではないのか。
②では普天間再編、言い換えれば普天間基地移転問題を契機として、日米地位協定を見直そうと言っている。上記①と併せると、沖縄県民の一つの現れが普天間基地問題だと言っているのであり、これはまあ、理解できるの。
だが、後の④、⑤の発言と併せると、この理解も怪しくなる。②、④、⑤を会わせて考えると、北沢防衛相の考えは次のようになる。
「普天間基地移転問題は、現計画に微調整しかできないが、この問題で沖縄の県民感情の悪化が表面化しているから、日米地位協定を見直すことでこれを和らげよう。」
つまり、北沢防衛相がゲーツ国防長官に提起するのは、「沖縄の県民感情を大いに和らげるような日米地位協定の見直し」と言うことになる。具体的にどんなところを同見直すのかは判らないが、普通に考えればそれは米国の法に大いに負担と強いる見直しになるはずだ。
それを、再協議の意志がない米政府に提起しようと言うのだから、相当な覚悟と準備が必要なはずだ。当たり前だがそんな提起は普通ならば拒絶されておしまいなのだから。
だが、北沢防衛相の発言は、その覚悟すら怪しく思わせるのが上記③である。
②では普天間再編、言い換えれば普天間基地移転問題を契機として、日米地位協定を見直そうと言っている。上記①と併せると、沖縄県民の一つの現れが普天間基地問題だと言っているのであり、これはまあ、理解できるの。
だが、後の④、⑤の発言と併せると、この理解も怪しくなる。②、④、⑤を会わせて考えると、北沢防衛相の考えは次のようになる。
「普天間基地移転問題は、現計画に微調整しかできないが、この問題で沖縄の県民感情の悪化が表面化しているから、日米地位協定を見直すことでこれを和らげよう。」
つまり、北沢防衛相がゲーツ国防長官に提起するのは、「沖縄の県民感情を大いに和らげるような日米地位協定の見直し」と言うことになる。具体的にどんなところを同見直すのかは判らないが、普通に考えればそれは米国の法に大いに負担と強いる見直しになるはずだ。
それを、再協議の意志がない米政府に提起しようと言うのだから、相当な覚悟と準備が必要なはずだ。当たり前だがそんな提起は普通ならば拒絶されておしまいなのだから。
だが、北沢防衛相の発言は、その覚悟すら怪しく思わせるのが上記③である。
>「これは外務省でやっていただく話ですから」
ひょっとして北沢防衛相、ゲーツ国防長官に日米地位協定の見直し「だけ」提起するつもりなのだろうかと言うのが私の懸念であり、表題にしたところである。
後の始めることすら困難な交渉は、外務省に押しつけて、先陣だけ切って民主党支持者たちに「良い顔」しようという魂胆ではないか。
後の始めることすら困難な交渉は、外務省に押しつけて、先陣だけ切って民主党支持者たちに「良い顔」しようという魂胆ではないか。
まあ、そんな顔を「良い顔」と思うような支持者では、致し方ないが。