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返済猶予「評価せず」6割、「新規融資が厳しく」、中小200社、本社調査。

(2009/10/10 日本経済新聞 朝刊 第1面)
 中小・零細企業などを対象とした債務の返済猶予制度について中小企業経営者の6割が「評価できない」とみていることが、日本経済新聞の調査で明らかになった。中小企業の資金繰りは厳しさを増しているが、新制度により「新規融資の条件が厳しくなる」「猶予を受けたら取引先からの評判が悪化する」などの声が目立った。中小経営者が効果に懐疑的な見方を示したことは、今後の制度設計にも影響しそうだ。
 調査は全国の中小企業を対象に実施、9日までに201社から回答を得た。このうち26%が2009年度に経常赤字を見込んでおり、経営状況は厳しい。
 返済猶予制度について「評価できる」「大いに評価できる」は合わせて41%。これに対し「あまり評価できない」「評価できない」は計59%に上った。制度発足後に「利用したい」は25%で、「利用したくない」の39%を下回った。
 経営者の多くは「担保を取られるなど借り入れ条件が厳しくなる」(大阪府東大阪市の鋳物メーカー)などと、かえって貸し渋りを助長しかねないと懸念する。「評判悪化で取引先から現金決済を迫られる」(東京・大田の溶接加工会社)との声もあった。市場機能がゆがめられたり、経営者のモラル低下につながったりするとの指摘もある。
 一方で「投資資金の返済が重く、ありがたい」(名古屋市の自動車部品メーカー)、「景気が回復するまで猶予があると助かる」(大阪市の金属メーカー)と評価する見方もあった。
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 報じられているのは日経の調査結果。全国の中小企業を対象に、201社から回答を得たと言うから、大規模な調査とは言い難いが、「このうち26%が2009年度に経常赤字を見込んでおり」と言うからサンプルとして経営状態の良好な企業に偏っていると言う事はなさそうだ。
 報じられているのはその回答のうち6割が亀井金融相御執心のモラトリアム法案=借金期限延長法を「評価しない」としている事だ。
 残りの4割が「評価する」と言っているそうだから、「国論を二分する」には至らずかろうじて過半数を「評価しない」と言う回答が占めた形だが、その差「20ポイント」と言うのはやはり有意な差と見てよかろう。
 制度発足後にこの制度を利用するかとなると、「利用したい」が25%に対し「利用したくない」が39%と差は14%となる。4割近くが利用するともしないとも回答していないから、迷いが見えるが、「利用したい」の25%が「経常赤字を見込む」26%を下回っているのも注目に値しよう。即ち、少なくとも1%の回答は「経常赤字を見込みながらもモラトリアム法を利用したいとは考えていない。」事になる。

 「評価しない」とした理由を多くの経営者が、「その後の貸し付け条件が今以上に厳しくなる」と判断している事も評価してよかろう。鎌倉幕府が徳政令でかえって大打撃をこうむり、ついには倒れた史実を、過半数の中小企業経営者は教訓としている事になる。(意識してか、無意識にかはあるにしても。)
 
>「投資資金の返済が重く、ありがたい」
>「景気が回復するまで猶予があると助かる」 
と言う声もあるし、それは経営者としての正直なところであろう。

 それでも
>市場機能がゆがめられたり、経営者のモラル低下につながったりするとの指摘もある。
と報じられており、前述の通り「経常赤字を見込みながらもモラトリアム法を利用したいとは考えていない。」経営者がいる所に、日本に於ける経営者のモラルと常識、及び資本主義の健全性を見る思いがする。

 「セックスは自動車よりも大事だから、AV産業に公的資金を投じるべきだ。」と公言してしまう米国AV業界の重鎮や、「モラトリアム法で中小企業の借金期限を延期し、それで貸し手が傾いたら公的資金を投じれば良い。」と公言して憚るところがない日本の金融相と、いずれが常識的で、いずれが健全で、いずれが経済の正常な発展及び現状の経済危機からの正常な脱出に寄与するか、論じるまでも無いだろう。
 
 亀井金融相の猛省を、祈念してやまない。(無駄なような気はするが・・・)