報じられているのは、またぞろ吠えている北朝鮮。
 何でも、「日本のいかなる種類の航空機であっても北朝鮮の領空を侵犯した場合、偵察行為とみなして撃墜する」そうだ。
 そりゃピョンヤンなり何なり北朝鮮へ行こう何て酔狂な日本機は、ハイジャックされたYS-11位しかないだろうから、「偵察行為と見なす」のはあながち間違いではないかも知れない。となりゃ、嘘でも法螺でも北朝鮮空軍当局としては「撃墜する」といわなけりゃ将軍様に申し訳が立たなかろう。
 それにしても「北朝鮮の領空を0.001ミリでも侵犯した航空機」と言うのはほらも吹きすぎだろう。ちなみに領海領空は領土から12海里(約22km)であるから、「0.001ミリの領空侵犯」を判定するには5×10^(-11)の距離精度が必要になる。
 第一、レーダー電波の周波数をGHz~10GHzと仮定すると、その波長は3cm~30cmとなり、この波長よりも小さな距離はこの電波では測れない。0.001ミリには4~5桁ほども足らない。

 つまり、「領空を0.001ミリでも侵犯した」等と言うことは、電波を使って測距している限り判定し得ない事象である。
 
 無論北朝鮮空軍当局ならば、北朝鮮軍保有の(賭けても良いがオンボロ)地上警戒レーダーが「0.001ミリの領空侵犯を探知できる」と信じているわけでは(多分)なく、領空に近づいてきたら即座に撃墜するぞとの「脅し」の意味での「0.001ミリ」なのではあろう。
 
 が、それにしても、何とも虚しい遠吠えか。
 報道にある通り「声明によると、日本の早期警戒管制機(AWACS)が26日朝とその前日に、同国東岸部の元山(Wonsan)と北東沿岸の舞水端里(Musudan-ri)の間の空域に長距離偵察飛行を相次いで行ったとしている。」事を受けての先述の「脅し」であるそうだが、探知しようと言うのが北朝鮮の(せいぜいMig-29までしかない)航空機や弾道ミサイルである限り、日本のAWACSは北朝鮮領空なんぞに踏み込まずとも充分役目を果たせる。
 
 北の大言壮語混じりの「脅し」は、端っから「脅し」以上の物にならない。
 それを見込んでの「脅し」であり「0.001ミリの領空侵犯」なのかも知れないが。

 しっかしまあ、核兵器は核実験までこぎ着けて、弾道ミサイルは中距離弾道弾目前まで開発して、出来ることが強請と集りばかり。
 で、その強請り集りだけで「2012年まで(って、後2年だな)に強盛大国化」をめざすってんだから、図々しいったらありゃしない。