諸君、久しぶりだが、戦争だ。 にほんブログ村
 
 昭和20年8月15日の日米敗戦以来、わが国は曲がりなりにも「平和」を享受する事ができた。
 朝鮮戦争が起こり、半島から西側陣営が危うく追い落とされそうになろうとも、「米ソ冷戦」下にあろうとも、はたまたフランスについでアメリカがヴェトナムで酷い目に遭おうとも、我が日本は「憲法9条」なんて能天気なお題目頂いたたまま、「反戦平和」だの「核兵器廃絶」だのと、勝手気ままな御託を吹聴する良いご身分であり続ける事ができた。
 「バブル」と呼ばれた空前の好況は、90年代初頭までを言うが、こと国防に関する限り、わが国は戦後からつい最近まで、一貫して「バブル」期にあったと言っても過言ではあるまい。

 しかしながら、奢る平家も久しからず、沈まぬ太陽はなく、弾けぬバブルもない。強大な米軍と日米安保条約、それに我らが自衛隊の不断の努力で保たれた「国防バブル」も、9.11テロ以降次第に後退。ついには「国防バブル」の象徴とも言うべき「ピースボート」の世界一周客船が、「主義主張よりお客様の安全を優先して」ソマリア沖にて海上自衛隊に護衛を依頼するまでになった。
 
 国民の啓蒙という点では、まことに慶賀すべき事態であるが、同時に「国防バブル」を謳歌できなくなるほど、現実の国際情勢が厳しい物と実感させられている、ということでもある。
 その厳しい国際情勢の一つが、北朝鮮による弾道ミサイル開発及び発射実験と、核兵器の開発並びに核実験である。
 
 本稿では、鼓腹撃壌を決め込んでいられた「国防バブル」破れた現状に於いて、強請大国を目指す北朝鮮にいかに対処するか、を論じる。


1.「北朝鮮モデル」は崩壊させるべきである。

 私が「北朝鮮モデル」と名付けた国家経営モデルはおおよそ以下のステップ依り成る。
 
(1) 経済的疲弊や食糧難、或いは災害(天災人災問わず)被害を国際社会や近隣諸国に訴え、経済支援からエネルギー援助、食糧援助を取り付ける。金持ちの同属国家や、大金持ちのかつての敵国があれば、同情を引いたり贖罪意識を焚きつけたりできるので、非常に都合が良い。
(2) 得られたエネルギー、食料、資金、資材、あらゆる物を国家統制に置き、大量殺戮兵器、なかんずく核兵器と弾道ミサイルの開発に投入する。密かにに大量殺戮兵器を保有したい諸国と連携できると、誠に都合が良い。
(3) 大量殺戮兵器の開発が露見したら、逆にその計画の中断を餌に、更なる経済・エネルギー・食料援助を要求する。先述の同属国家やかつての敵国の存在は、ますます都合が良い。
(4) 大量殺戮兵器開発計画は、中断するフリはするが、決して中断しない。特に、弾道ミサイルの開発計画は「宇宙開発」と偽装できるので、なかなか都合が良い。
(5) 大量殺戮兵器の実証には、実験が不可欠であるが、その実験の実施可否でさえ強請りのネタになり、これまた経済支援や食料・エネルギーを諸外国に支援させる梃子となる。
(6) 最終的には、地球の裏側まで届く大陸間弾道弾と、これに搭載できる核弾頭を手に入れる。此処まで漕ぎ着ければ、全世界を強請りの対象にできる上、世界最強国家・米国でさえ、おいそれとは手が出せない。
(7) 無論、此処に至るまで、権力基盤をしっかりと保持するため国内はしっかり統制し、逆に他国、特に「言論の自由」などという甘さを見せる他国の世論操作・マスコミ操作・第五列ならびにシンパの育成は入念に行う。それらの国に「同胞」が既に入植なり何なりで存在していれば、これを組織化し、工作の基盤となす。

 この「成功」モデルに従った北朝鮮は、(7)を入念に実施しつつ、(1)から(5)までを確実に実施し、いまや(6)の一歩手前に至るまで「成功」し続けている。
 それを可能にしたのは、勿論「同胞」韓国の「太陽政策」などの甘さ、「かつての敵国」日本のそれ以上の甘さ、隣国・中国の面子、「最強国家」米国の腰砕けと米国に対売る中国並びにロシアの反発などがあろうが、それらの「僥倖」はあろうとも、いまや北朝鮮は「なりふり構わず大量殺戮兵器を開発するだけで、政権の安定から経済的発展まで強請り取る事ができる。」と言う「北朝鮮モデル」の成功例に、なりおおせようとしているのである。
 
 このようなモデルは、成功させてはならない。
 
 世に経済的繁栄を望む国は多い。政権の安定を望む国は更に多いだろう。通常ならば経済的繁栄というものは、安定した国家と国民の不断の努力によって達成されるべき物だ。我が国のように。地下資源等の天与の利を以って達成する方法も一応考えられるが、たいていの資源は経済手大国化する前に尽きてしまうようである(※1)。金融や科学技術で大国を目指すにしても、必要なのはやはり国民の知恵と努力、それにそれらを安心して結集できる、安定した政権だ。
 だが、世の政権は往々にして安定していない。独裁政権ならば更に脆弱だ。それらの通常の方法では経済的繁栄や政権安定が望めない諸国が、北朝鮮「成功」モデルに倣ったら、この世はどうなるか?
 
 この世は、核兵器開発国で満ち溢れる事になる。経済的発展を強請り取るネタとして、強請大国を目指す国々で。
 いくらこの世は「平和を愛する諸国民」等に溢れていないとは言え、かような世界が住み良い世界とは、私には思われない。
 
 核拡散防止条約はある。広島長崎をはじめとする「核兵器廃絶の願い」もあるだろう。だが忘れてはならないのだが、北朝鮮はあるところまで核拡散防止条約による査察を受け入れておいて(※2)なおかつ今回の2度にわたる核実験「成功」と言う事態に至ったのだから、核拡散防止条約も、広島・長崎の願いと同程度の効果しかなかったと言うことを、「北朝鮮モデル」は既に実証しているのである。
 
 従って、このような「北朝鮮モデル」は、成功させてはならない。最終的には失敗、それも完膚なきまでの悲惨な失敗に終わらせる事こそ、「広島・長崎の願い」にも適い、世のため人のため後世の歴史のためである。
 
 言い換えれば(※3)金正日を決して「畳の上で」死なせてはならないのだ。
 
 故に、今回の2度目の北朝鮮の核実験及びそれに続く北朝鮮の強硬姿勢は、正しく朝鮮征伐の、北朝鮮モデル崩壊の、絶好の機会なのである。
 
<注釈>
(※1)地下資源大国にして経済大国というのは・・・米国ぐらいだろうか。次点としては南アフリカやロシアがあるだろうが、地下資源大国とはいえても、経済「大国」とは言い難い。
(※2)その受け入れすらも強請りのネタにした訳だが。
(※3)、前にも書いたが、


2. 宣戦布告は既に済んでいる。

 さて、今回の対北朝鮮開戦に当たって、我々、少なくとも韓国と米国、朝鮮戦争の当事国については、いまさら北朝鮮に対し宣戦布告の手続きを取る必要すらない。
 
 何故ならば、当の北朝鮮自身が、既に宣戦布告を済ましているからである。根拠は北朝鮮の朝鮮中央通信が今月27日伝えた朝鮮人民軍板門店代表部の声明文である。  http://sankei.jp.msn.com/world/korea/090527/kor0905271732006-n1.htm

 この声明文は、韓国が大量破壊兵器拡散防止構想(PSI)に全面参加をする事を、「われわれ(北朝鮮)に対する宣戦布告とみなす。」と高らかに宣言するばかりか、「いかなるささいな敵対行為も、わが共和国の自主権への容認できない侵害とみなし、即時に強力な軍事的打撃で対応する。」と言い切っている。
 かてて加えてご丁寧に、「わが軍はこれ以上、休戦協定に拘束されない。休戦協定が拘束力を失えば、朝鮮半島は直ちに戦争状態に戻り、わが革命武力は軍事的行動に移る。」さらには「黄海上の米韓軍艦および一般船舶の安全航海を担保できない。」とまで付け加えているのだから、これはもう、少なくとも米国並びに韓国に対する宣戦布告と無制限通商破壊戦の宣言以外の何物とも思われない。(※1)
 
 後は韓国軍、米軍を戦闘配置に就けて、北朝鮮軍の開戦なり暴発なりを待つか、機会を見て攻め込めば良いだけだ。宣戦布告は既に終わっているのだから「騙まし討ち」等と批難される恐れは、全く無い。

<注釈>
(※1)他に解釈があると言うならぜひご教示願いたい。他にあるとしたら、これら全てが嘘であり、虚偽であり、大言壮語であり、大法螺であると言う解釈しか、私には理解できない。
 もしこちらの解釈が正しいと言われる方があるならば、ぜひお伺いしたいのは、「このような嘘を臆面も無く声明してしまう法螺吹き北朝鮮の、虚と実は何を以って判断できるのか。今回のこの声明が法螺であると、あなたは何故断言できるのか?」ぜひご教示いただきたい。