以下の記事は、ソマリア沖で通商護衛に当たっている我らが海上自衛隊が「民間国際交流団体「ピースボート」の旅客船」を護衛したという、まあ、当たり前と言えば当たり前の記事。産経webから転載した。

http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/090514/plc0905140140001-n1.htm
転載開始---------------------------------------

ピースボート護衛受ける ソマリア沖
2009.5.14 01:38

 海賊対策のためアフリカ・ソマリア沖に展開中の海上自衛隊の護衛艦が、民間国際交流団体「ピースボート」の船旅の旅客船を護衛したことが13日、分かった。ピースボートは海賊対策での海自派遣に反対しており、主張とのギャップは議論を呼びそうだ。

 海自の護衛艦2隻は11日から13日にかけ、ソマリア沖・アデン湾を航行する日本関係船舶7隻を護衛。うち1隻がピースボートの船旅の旅客船だった。ピースボートは社民党の辻元清美衆院議員が早稲田大在学中の昭和58年に設立。船旅は寄港地のNGO(非政府組織)や学生らと交流を図ることなどを目的としている。

 66回目となる今回の船旅は約3カ月半に及ぶ地球一周で、北欧5カ国とフィヨルドを巡るのが目玉。約600人が参加し、4月23日に横浜港を出発後、中国とシンガポールに寄港。ピースボートのホームページには船旅の最新リポートとして、デッキで催されたフルーツパーティーの様子が掲載されている。

 ピースボート事務局によると、船旅の企画・実施を行う旅行会社が護衛任務を調整する国土交通省海賊対策連絡調整室と安全対策を協議し、海自が護衛する船団に入ることが決まったという。

 ピースボートは市民団体による海自派遣反対の共同声明にも名を連ねている。事務局の担当者は「海上保安庁ではなく海自が派遣されているのは残念だが、主張とは別に参加者の安全が第一。(旅行会社が)護衛を依頼した判断を尊重する」と話している。
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 未だ交戦規定は不十分極まりないままの筈だが、我らが海上自衛隊は灼熱のソマリア沖で粛々と任務を果たしている。今回の護衛対象「ピースボートの旅客船」は日本人が乗っている船だから、現状の交戦規定でも立派な護衛対象であり、「大手を振って」護衛できる。
 
 問題なのは記事にもある通り、そのピースボートが自衛隊のソマリア沖派遣に反対し、上記記事でも「海上保安庁ではなく海自が派遣されているのは残念だが、主張とは別に参加者の安全が第一」として旅行会社の自衛隊に対する護衛依頼を黙認或いは容認したことだ。
 
 無論ソマリア沖に派遣されている海上自衛隊の任務は、日本人及び日本船の安全を確保しこれらに危害を及ぼす海賊を撃退することだ。その「日本人」の主義主張思想信条に係わらず、だ。少し前に田母神前空幕長が更迭された騒ぎの際、「自衛官が主義思想を公にすることは、異なる主義思想の者を防衛しないことにつながりかねない。」と言う凄まじい愚論(※1)があったが、今回の海上自衛隊による護衛は、そんな愚論を粉砕したと言うことであり、この点では同慶の至りと言うべきだろう。
 
 この記事で注目すべき第1の点は、「主張とは別に参加者の安全が第一」即ちピースボートはその主義主張よりもお客さんの安全を優先する、政治団体と言うよりも旅行会社であると言うことを自白したことである。
 それなら何で旅行業務をやっていない普段はやたららに政治行動をとっているのかとか、旅行会社のくせに自衛隊への護衛依頼を(下請けの)旅行会社にやらせるとは何様のつもりだとか、いろいろ疑問や言いたいことも沸いてくるが、本質的に「商売が思想に優先する団体である。」と言うことは特筆大書すべきだろう
 何故ならそれは、旅行会社としてはまさしく正しい態度であるが、思想団体・政治結社としては、致命的とも言える一大欠点であるからだ。
 その欠点を自ら発見したことは誉めても良いが、どうもこの記事からすると、改める気は無さそうだ。これからはピースボートは旅行会社として活動して行くつもりなのだろう。
 一部には「海上自衛隊へ護衛を依頼したのは旅行会社であってピースボートではない。」とする主張があるようだが、ピースボートが思想団体・政治結社であり続けるためには、今回のクルーズ(66回になるそうだ)は中止するか、航路を変更するか、あるいはその主張に沿った「憲法9条で守護された無防備船 http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/23105896.html 」として実施すべきであったろう。
 それをせずに、旅行会社からの自衛隊への護衛依頼を容認したと言うことは、ピースボートは思想団体・政治結社として自ら死を選んだのだ。
 
 この記事で注目すべき第2の点は、自衛隊のソマリア沖派遣に反対していたピースボートでさえ、そのソマリア沖では自衛隊に護衛された方が安全であると公認した点だ。
 「海上保安庁ではなく」などと負け惜しみを言っているが、海上保安庁だろうが海上自衛隊だろうが兎に角護衛を受けなければソマリア沖では乗客の安全を確保できないことを認めたわけだ。

 即ち、憲法9条なぞ、少なくともソマリア沖では通用しない、と。
 
 注目すべき第3の点は、こんなに「おいしい」記事を報道したマスコミが、産経ただ一社であった点だ。思想団体・政治結社として自殺したピースボートを悼んだのか、或いはこの件を報道しなければピースボートの思想団体・政治結社としての延命を図れると考えたものか。
 田母神空幕長更迭劇の際に見せた、大手マスコミの左翼翼賛反日体質 http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/19583178.html は、未だ健在と見たが、いかがであろうか。
 
 処で、くだんの「ピースボート第66回地球一周の船旅」は、毎日舳先から撮った写真を「今日の海と空」と銘打って公開しているのだが、何故か現時点で5/13を最後に更新されていない。予定では5/17には紅海のアカバに入るそうだから、紅海でも相当奥深くに入り込んでいるはずなのに。
 http://www.peaceboat.org/cruise/66th/sea/index.html
 はじめは「護衛している海上自衛隊の護衛艦が写るから公開していないのか?」とも勘ぐったが、上記のの記事からすると違う。一体何があったのかね。要注目。



<注釈>
(※1)するってぇと何ですかい。現段階では、村山談話を信奉しない者は自衛隊の防衛対象から外れるんですかい。
 そいつは困ったな。私自身の防衛のために、肩撃ちSAMでも買いますかね。