報じられているのは、北朝鮮の「人工衛星」発射に対してアメリカ政府がジレンマに陥っている、というもの。
 私が北朝鮮の「人工衛星」打上げに対し、断固迎撃す可しと主張しているのは隠れもない(http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/24618667.html)し、日本よりもさらにアメリカの方が手段としても政治としても迎撃し易いはずと考えているから、この記事は私に対する異論・異説と言うことになる。が、それをさっ引いても正味の処、この記事の意図が良く判らない。

 >それは米政府がミサイル防衛システムは設計通りの性能を発揮すると想定していることを示す。
 >しかしそれには懐疑的な見方もある。
 
 設計通りの性能を発揮できるかどうか「懐疑的な見方」があるのはミサイル防衛に限るまい。思った通りの性能を発揮せずとも、性能を発揮し、迎撃に成功する可能性があるならば、その手段を行使する価値があると思うのだが、この記事の記者は違うらしいのは、それに続く次の文でわかる。
 
 >仮に撃墜できたとしても、オバマ大統領は北朝鮮からの報復や国際的な非難を受けるリスク
 >を検討しなければならない。
 
 米国に対して北朝鮮が一体どんな報復を取るというのか?禁輸か?
 迎撃に成功した際に米国に「国際的な非難」を浴びせるのは誰だ?北朝鮮や朝鮮総連の非難なら、へでもあるまい。それとも、グリーンピースかシーシェパード辺りが非難するとでも言うのか?「宇宙空間を汚染した」とか言って。(ないとは断言できない気もするが)
 逆に今回の「人工衛星」発射に手をこまねいて北朝鮮の成功=大陸間弾道ミサイル技術の獲得を許した暁には、間違いなく北朝鮮は「米国に対する報復」の手段を手中に収めると言うのに、それを迎撃しない、だと?
 
 同記事は「国際的非難」の根拠として「国連安保理決議が北朝鮮に人工衛星の発射まで禁じるかどうかは意見が分かれており、ロシアなどは消極的であること。」を挙げているが、それで「北朝鮮の「人工衛星」迎撃はロシアからの国際的非難を浴びる」と断じるのは、北朝鮮の希望的観測ではあっても、客観的報道とは言い難いし、「安保理の同意がなければ北朝鮮ロケットの迎撃は外交的に難しい。」何て結論に結びつける神経が私には判らない。
 
 ついこの間秘密裏に進めてきた核開発が核実験となって結実した国が、米国にも届く大陸間弾道弾技術を獲得するかも知れないと言う事態を阻止することに、何の「外交的難しさ」があるというのだ?
 
 「北朝鮮ロケットの迎撃を命じる際の最大のリスクは、それが失敗する可能性があるということだろう。」と言うのは一応首肯できる論理ではあるが、「迎撃に成功する可能性の分だけ、北朝鮮に大陸間弾道弾技術を実証させない可能性が上がる。」と言うのは拙文「日本は北朝鮮の「人工衛星」を迎撃すべきである。http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/24618667.html」に示したとおり。「失敗すると恥だ」とかウジウジ言う前に、「成功する可能性があるのならば迎撃して、その分リスクを減らすべきだ。」とは前期記事にも示した私の主張であるいし、それはまた「良きアメリカ」の伝統にも即していると思うのだが。。
 
 この記事で一番判らないのは、最後の一節だ。
 
>、強硬策をとれば北朝鮮の思うつぼになる可能性がある。
 
 北朝鮮は一体どんな壺を思っているというのか?私にはさっぱり判らない。
 
 開戦か?結構。やって貰おうじゃないか。

 前の朝鮮戦争では開戦当初戦車の一台も持っていない大韓民国軍に対して、遂に「半島統一」すらならず、38度線の北まで押し戻された北朝鮮軍だ。太陽政策の元で育んだ第5列に十分な自信がおありというなら、やってみるが宜しかろう。
 さらには、元軍さえ渡れなかった日本海を、渡洋しようというならそれもまた一興。
 
 私には、「AFP通信は北朝鮮の肩を持つ報道を行っている。」と言うことが確認できただけでも、この記事は価値がある。
 が、この記事を読んだ読者諸兄は、日本国民は、米国民は、世界の人々は、如何であろうか。