報じられているは、米国はカリフォルニア州の高速鉄道計画について。加州と言えば「シュワちゃん」こと個性派(※1)俳優アーノルド・シュワルツェネッガー氏が知事を務める州だ。また一方で環境を重視する余り原発を作れなくなって(※2)電力危機まで招いてしまった州(※3)。
その州が報じられているとおり「2030年までに州の人口が約5000万人に達する」見込みとあっては、エネルギー効率が良いとされる鉄道に注目するのは理の当然だろう。
<注釈>
(※1)ああ、確かに個性的だな。なにしろ元ミスター・ユニバースだ。
(※2)と言うことは、水力発電や地熱発電は立地条件が結構厳しいことも勘案すると、電力需要を減らすか、火力発電所を増やすしかないはずで、後者ならば必ずしも「環境に優しく」はない筈なんだが。確実に二酸化炭素は増えるしね。
(※3)と、記憶するが、記憶違いだろうか。
1-1 鉄道に関する考察
最初に断って置くが、私はいわゆる鉄道マニア「テッチャン」ではない。鉄道についてある程度の技術的・歴史的知識は有するものの、何とか線の何系だのカントカ線の○○系だの、識別する知識は有していない。せいぜい、新幹線の0系が引退しちまっただの、どうせ乗るなら700系が(窓側席に電源があるし)良いかな、と思う程度の知識を有するのみだ。
従って、この記事にコメントをつけるのは結構なリスクと考えざるを得ないが、我が身の至らぬ処は御指摘いただくこととして、話を進めよう。(早い話が開き直りだ。)
この高速鉄道、報じられているところでは「同(カリフォルニア)州は鉄道を「21世紀における発展の要」と位置づけ、数百億ドル(数兆円)を費やして日本の新幹線とフランスのTGVをモデルにした高速鉄道建設計画を進めている。」と言うから、先に当ブログでも取り上げた中国の「鉄道大盛り1.5倍計画http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/archive/2008/12/07」よりは商売並びに現実になりそうな話だ。「およそ10年の建設期間」と言うリーズナブルと思える期間も計画に実現味を与えている。
尤も、「サンフランシスコ(San Francisco)・ロサンゼルス(Los Angeles)・アナハイム(Anaheim)間を最高時速350キロで結ぶというもの。2025-30年までに北はサクラメント(Sacramento)、南はサンディエゴ(San Diego)までの延伸を目指す。総予算は約480億ドル(約4兆5000億円)」と言うのは結構な大風呂敷だし、「年間乗客数9000万人(※1)を見込んでいる。」と言うのは、あくまでも「捕らぬ狸の皮算用(※2)」だ。
先述したとおり、鉄道がエネルギー効率という点では相当優秀であることは良く言われる処。大分前の数字で恐縮だが、日本の新幹線の場合、かかるコストは1編成16両を東京ー博多間走らせて100万円と聞いた覚えがある。新幹線の車両は1両に5座席×17列で85人乗れるから、座席キャパシティーは1編成16両で1360人と言う勘定だ。これに対し運賃は東京ー名古屋で大凡1万円。16両編成の1両と一寸に東京ー名古屋間の乗客が居れば、上記100万円はペイしてしまうのだから、こりゃ商売としては相当なうまみだ。
「航空輸送能力や高速道路の増強で人口増に対応するのは、不可能ではないにせよ難しいだろう。高速鉄道は環境面のメリットも大きい。1年に120万バレルの石油を節約できる」と言う、報じられているカリフォルニア州高速鉄道局のクエンティン・コップ(Quentin Kopp)氏の発言は、無論我田引水がないとは思えないが、相応に説得力がある。
<注釈>
(※1)年間9000万人は、1日25万人。新幹線1編成16両の乗客キャパシティ1360人で割ると、181編成。24時間営業として1時間に7.5便。8分弱に1本の24時間営業列車を満席で走らせる勘定だ。
誰もが始発から終着駅まで乗る訳じゃないから、乗客の入れ替えによる利用人数増加はあるが、3倍としても、24分に1本。
「年間利用客9000万人」は、かなり楽観的な数字に見える。
(※2)商売の見込みというのは、常にそう言うものではあるが。
1-2 高速鉄道概論(序論?)
この米国カリフォルニア州の高速鉄道を巡っては、まずはその実現性が論議の対象のようだ。
アメリカというのはご承知の通りBig Countryであるから、ここで取り上げられているサンフランシスコ-ロサンゼルス間でも600kmを超え、東京ー名古屋の東海道新幹線の2倍。東京ー大阪の距離よりも長い。海岸線沿いのルートを取るであろう事と地形から、路線の敷設にはさして問題はなさそうだが、高速鉄道反対派は、「高速鉄道がサンフランシスコ・ロサンゼルス間を「2時間38分」で結ぶとされる点についても「非現実的」と一蹴する。」と報じられている。
サンフランスシコ-ロサンゼルス間の距離は612キロとされる事から、「2時間38分」は平均速度で232km/hとなる。確かに結構な値だが、我らが新幹線は東京ー名古屋間約300kmを1時間40分ほどで結んでいる。平均時速で「時速350km/h」と公称される新幹線が平均時速180km/hで営業している実績からすると、TGVの速度記録575km/hを以ってすれば、「平均速度232km/hによる営業」は「非現実的」とは言いがたい。
報じられているシュワルツェネッガー知事の言通り、「わが国の鉄道は時代遅れで、その速度は100年前と変わらない。」ならば(※1)、「非現実的」と反対派が判断してしまうのも無理はないが。
「我らが新幹線でも、十分イケるぜ。」とは言えないところが、少々口惜しい処だ。
鉄道の高速記録 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%AB%98%E9%80%9F%E9%89%84%E9%81%93%E3%81%AE%E6%9C%80%E9%AB%98%E9%80%9F%E5%BA%A6%E8%A8%98%E9%8C%B2%E3%81%AE%E6%AD%B4%E5%8F%B2
<注釈>
(※1)で、その通りなんだろうな。最も早くモータリゼーションを本格化した米国は、また最も早く鉄道の発展を止めてしまった国でもある。
1-3 環境と経済の相克-商売にならないものは、長続きしない-
技術的には十分可能であると予想される米国・加州の高速鉄道だが、経済的にどうかというのは議論の分かれるところのようだ。報じられているところでは、推進派が「ロサンゼルスとサンフランシスコを結ぶ路線は年間11億ドル(約1000億円)の利益を上げると予測」するのに対し「反対派は年間最大40億ドル(約3700億円)の赤字になるおそれがあると主張している。」と言うから赤字になるか黒字になるかだけでもその判断は分かれている。
さらに直接経営の赤字黒字に関わらない波及効果について、推進派は「45万人の雇用を創出して州経済に大きな波及効果をもたらす」主張しているとの事だが、こいつは経営の赤黒以上につかみにくく、確定しにくい数字だ。
公共機関である州政府としては、高速鉄道の経営もさることながら、波及効果も勘案の上で、「許容できる(※1)赤字の範囲ならば、この高速鉄道を建設し、維持する。」と言う判断もあり得るだろう。
と言うのも鉄道という商売。エネルギー効率が良くて環境にも優しいとされながら、商売として成立することは仲々難しく、世界中の鉄道は大半が政府や地方自治体の援助を受けて成り立っている。米国とて例外ではない。
勢い世界中にある鉄道は大半「国鉄」なのだそうだ。
日本の、特に首都圏のように私鉄会社が林立(※2)して居るのはむしろ例外的だ。
となると、この米国加州の高速鉄道「シュワちゃんの新幹線」も赤字経営となる可能性は考えておかなければなるまい。それでも公共資金を投じて営業し、波及効果と環境改善効果を期待するか否かと言う判断を、米国・加州は求められている。
章のタイトルにもしたとおり、当たり前だが商売にならない=独立採算性のない事業は、長続きさせるのが難しいのだから。
<注釈>
(※1)つまり波及効果の方が赤字額よりも大きいと判断できる。
(※2)国鉄と都営・市営を除いても、東急、京急、小田急、相鉄、営団地下鉄、東武、西武・・・新ためて数えてみると、凄いな。
1-4 偉大なる先駆者-我らが新幹線-
同報道によると、アーノルド・シュワルツェネッガー(Arnold Schwarzenegger)カリフォルニア州知事曰く、「わが国の鉄道は時代遅れで、その速度は100年前と変わらない。世界各国で高速鉄道が走っている現在、わが国、特にわが州には、高速鉄道を走らせる必要がある」との事。
「現在世界11か国で高速鉄道が走っているが、米国はその中に入っていない(※1)。」とも報じられている。
その「世界11カ国」の高速鉄道の先陣を切ったのが、我が国の新幹線である。「時速250km/h」と歌にも唄われた最高速度は、その後フランスのTGV、ドイツのICEに抜かれて世界第3位に下落したが、その後導入された各国の高速鉄道がこの3者の亜流でしかない(※2)現状では、未だ実質の3位、「銅メダル」をキープしている。
先陣を切りつつ、3位に健在というのが「偉大なる先駆者」と章題にした所以である。
さらに特筆したいのは、その輸送力、便数の多さだ。
私がTGVやICEに乗ったのは随分前の話だから、今は少しは違うのかも知れないが、ドイツのICEは1時間に1本しかなく、国際列車でもあるTGVに至っては日に数本。「列車に乗るときは先ず駅に電話して、列車到着時刻を聞いてから出かける。」等とイタリア人は言っていたから、鉄道に対する感覚は、我が国の航空機に対する感覚に近いと思えた。
それに対して新幹線は、当時も今も「駅に行ったら真っ先に来た奴に乗る」と言うことが出来る。「こだま」や「ひかり」や「のぞみ」と言う停車駅による区別があるから、気をつけないといけないが、逆にそれだけ多くの便数がある。
その各編成が、満席なら1000人以上、3個大隊近くを輸送してしまう。席に座れない客がでて、乗車率が100%を超える事があれば(※3)、それ以上だ。
鉄道が、自動車どころか航空機にも抗し得るほどの高速・大量輸送が可能なこと。なおかつ其れが商売として成り立つこと。
其れを我らが新幹線は実証して見せた。
エネルギー効率や、環境保護と言うさらなる付加価値もあるが、それらがなくても、「偉大なる先駆者」と言わずしてなんと言おうか。
我が国・日本の御名を誉む可きかな。
その州が報じられているとおり「2030年までに州の人口が約5000万人に達する」見込みとあっては、エネルギー効率が良いとされる鉄道に注目するのは理の当然だろう。
<注釈>
(※1)ああ、確かに個性的だな。なにしろ元ミスター・ユニバースだ。
(※2)と言うことは、水力発電や地熱発電は立地条件が結構厳しいことも勘案すると、電力需要を減らすか、火力発電所を増やすしかないはずで、後者ならば必ずしも「環境に優しく」はない筈なんだが。確実に二酸化炭素は増えるしね。
(※3)と、記憶するが、記憶違いだろうか。
1-1 鉄道に関する考察
最初に断って置くが、私はいわゆる鉄道マニア「テッチャン」ではない。鉄道についてある程度の技術的・歴史的知識は有するものの、何とか線の何系だのカントカ線の○○系だの、識別する知識は有していない。せいぜい、新幹線の0系が引退しちまっただの、どうせ乗るなら700系が(窓側席に電源があるし)良いかな、と思う程度の知識を有するのみだ。
従って、この記事にコメントをつけるのは結構なリスクと考えざるを得ないが、我が身の至らぬ処は御指摘いただくこととして、話を進めよう。(早い話が開き直りだ。)
この高速鉄道、報じられているところでは「同(カリフォルニア)州は鉄道を「21世紀における発展の要」と位置づけ、数百億ドル(数兆円)を費やして日本の新幹線とフランスのTGVをモデルにした高速鉄道建設計画を進めている。」と言うから、先に当ブログでも取り上げた中国の「鉄道大盛り1.5倍計画http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/archive/2008/12/07」よりは商売並びに現実になりそうな話だ。「およそ10年の建設期間」と言うリーズナブルと思える期間も計画に実現味を与えている。
尤も、「サンフランシスコ(San Francisco)・ロサンゼルス(Los Angeles)・アナハイム(Anaheim)間を最高時速350キロで結ぶというもの。2025-30年までに北はサクラメント(Sacramento)、南はサンディエゴ(San Diego)までの延伸を目指す。総予算は約480億ドル(約4兆5000億円)」と言うのは結構な大風呂敷だし、「年間乗客数9000万人(※1)を見込んでいる。」と言うのは、あくまでも「捕らぬ狸の皮算用(※2)」だ。
先述したとおり、鉄道がエネルギー効率という点では相当優秀であることは良く言われる処。大分前の数字で恐縮だが、日本の新幹線の場合、かかるコストは1編成16両を東京ー博多間走らせて100万円と聞いた覚えがある。新幹線の車両は1両に5座席×17列で85人乗れるから、座席キャパシティーは1編成16両で1360人と言う勘定だ。これに対し運賃は東京ー名古屋で大凡1万円。16両編成の1両と一寸に東京ー名古屋間の乗客が居れば、上記100万円はペイしてしまうのだから、こりゃ商売としては相当なうまみだ。
「航空輸送能力や高速道路の増強で人口増に対応するのは、不可能ではないにせよ難しいだろう。高速鉄道は環境面のメリットも大きい。1年に120万バレルの石油を節約できる」と言う、報じられているカリフォルニア州高速鉄道局のクエンティン・コップ(Quentin Kopp)氏の発言は、無論我田引水がないとは思えないが、相応に説得力がある。
<注釈>
(※1)年間9000万人は、1日25万人。新幹線1編成16両の乗客キャパシティ1360人で割ると、181編成。24時間営業として1時間に7.5便。8分弱に1本の24時間営業列車を満席で走らせる勘定だ。
誰もが始発から終着駅まで乗る訳じゃないから、乗客の入れ替えによる利用人数増加はあるが、3倍としても、24分に1本。
「年間利用客9000万人」は、かなり楽観的な数字に見える。
(※2)商売の見込みというのは、常にそう言うものではあるが。
1-2 高速鉄道概論(序論?)
この米国カリフォルニア州の高速鉄道を巡っては、まずはその実現性が論議の対象のようだ。
アメリカというのはご承知の通りBig Countryであるから、ここで取り上げられているサンフランシスコ-ロサンゼルス間でも600kmを超え、東京ー名古屋の東海道新幹線の2倍。東京ー大阪の距離よりも長い。海岸線沿いのルートを取るであろう事と地形から、路線の敷設にはさして問題はなさそうだが、高速鉄道反対派は、「高速鉄道がサンフランシスコ・ロサンゼルス間を「2時間38分」で結ぶとされる点についても「非現実的」と一蹴する。」と報じられている。
サンフランスシコ-ロサンゼルス間の距離は612キロとされる事から、「2時間38分」は平均速度で232km/hとなる。確かに結構な値だが、我らが新幹線は東京ー名古屋間約300kmを1時間40分ほどで結んでいる。平均時速で「時速350km/h」と公称される新幹線が平均時速180km/hで営業している実績からすると、TGVの速度記録575km/hを以ってすれば、「平均速度232km/hによる営業」は「非現実的」とは言いがたい。
報じられているシュワルツェネッガー知事の言通り、「わが国の鉄道は時代遅れで、その速度は100年前と変わらない。」ならば(※1)、「非現実的」と反対派が判断してしまうのも無理はないが。
「我らが新幹線でも、十分イケるぜ。」とは言えないところが、少々口惜しい処だ。
鉄道の高速記録 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%AB%98%E9%80%9F%E9%89%84%E9%81%93%E3%81%AE%E6%9C%80%E9%AB%98%E9%80%9F%E5%BA%A6%E8%A8%98%E9%8C%B2%E3%81%AE%E6%AD%B4%E5%8F%B2
<注釈>
(※1)で、その通りなんだろうな。最も早くモータリゼーションを本格化した米国は、また最も早く鉄道の発展を止めてしまった国でもある。
1-3 環境と経済の相克-商売にならないものは、長続きしない-
技術的には十分可能であると予想される米国・加州の高速鉄道だが、経済的にどうかというのは議論の分かれるところのようだ。報じられているところでは、推進派が「ロサンゼルスとサンフランシスコを結ぶ路線は年間11億ドル(約1000億円)の利益を上げると予測」するのに対し「反対派は年間最大40億ドル(約3700億円)の赤字になるおそれがあると主張している。」と言うから赤字になるか黒字になるかだけでもその判断は分かれている。
さらに直接経営の赤字黒字に関わらない波及効果について、推進派は「45万人の雇用を創出して州経済に大きな波及効果をもたらす」主張しているとの事だが、こいつは経営の赤黒以上につかみにくく、確定しにくい数字だ。
公共機関である州政府としては、高速鉄道の経営もさることながら、波及効果も勘案の上で、「許容できる(※1)赤字の範囲ならば、この高速鉄道を建設し、維持する。」と言う判断もあり得るだろう。
と言うのも鉄道という商売。エネルギー効率が良くて環境にも優しいとされながら、商売として成立することは仲々難しく、世界中の鉄道は大半が政府や地方自治体の援助を受けて成り立っている。米国とて例外ではない。
勢い世界中にある鉄道は大半「国鉄」なのだそうだ。
日本の、特に首都圏のように私鉄会社が林立(※2)して居るのはむしろ例外的だ。
となると、この米国加州の高速鉄道「シュワちゃんの新幹線」も赤字経営となる可能性は考えておかなければなるまい。それでも公共資金を投じて営業し、波及効果と環境改善効果を期待するか否かと言う判断を、米国・加州は求められている。
章のタイトルにもしたとおり、当たり前だが商売にならない=独立採算性のない事業は、長続きさせるのが難しいのだから。
<注釈>
(※1)つまり波及効果の方が赤字額よりも大きいと判断できる。
(※2)国鉄と都営・市営を除いても、東急、京急、小田急、相鉄、営団地下鉄、東武、西武・・・新ためて数えてみると、凄いな。
1-4 偉大なる先駆者-我らが新幹線-
同報道によると、アーノルド・シュワルツェネッガー(Arnold Schwarzenegger)カリフォルニア州知事曰く、「わが国の鉄道は時代遅れで、その速度は100年前と変わらない。世界各国で高速鉄道が走っている現在、わが国、特にわが州には、高速鉄道を走らせる必要がある」との事。
「現在世界11か国で高速鉄道が走っているが、米国はその中に入っていない(※1)。」とも報じられている。
その「世界11カ国」の高速鉄道の先陣を切ったのが、我が国の新幹線である。「時速250km/h」と歌にも唄われた最高速度は、その後フランスのTGV、ドイツのICEに抜かれて世界第3位に下落したが、その後導入された各国の高速鉄道がこの3者の亜流でしかない(※2)現状では、未だ実質の3位、「銅メダル」をキープしている。
先陣を切りつつ、3位に健在というのが「偉大なる先駆者」と章題にした所以である。
さらに特筆したいのは、その輸送力、便数の多さだ。
私がTGVやICEに乗ったのは随分前の話だから、今は少しは違うのかも知れないが、ドイツのICEは1時間に1本しかなく、国際列車でもあるTGVに至っては日に数本。「列車に乗るときは先ず駅に電話して、列車到着時刻を聞いてから出かける。」等とイタリア人は言っていたから、鉄道に対する感覚は、我が国の航空機に対する感覚に近いと思えた。
それに対して新幹線は、当時も今も「駅に行ったら真っ先に来た奴に乗る」と言うことが出来る。「こだま」や「ひかり」や「のぞみ」と言う停車駅による区別があるから、気をつけないといけないが、逆にそれだけ多くの便数がある。
その各編成が、満席なら1000人以上、3個大隊近くを輸送してしまう。席に座れない客がでて、乗車率が100%を超える事があれば(※3)、それ以上だ。
鉄道が、自動車どころか航空機にも抗し得るほどの高速・大量輸送が可能なこと。なおかつ其れが商売として成り立つこと。
其れを我らが新幹線は実証して見せた。
エネルギー効率や、環境保護と言うさらなる付加価値もあるが、それらがなくても、「偉大なる先駆者」と言わずしてなんと言おうか。
我が国・日本の御名を誉む可きかな。