図解されているのは国民一人あたりの国防費。大方の予想通り、米国が堂々の世界一なのだが、第2位に結構な僅差でイスラエルが占めている。
 イスラエルと言えば先のガザ空爆により、ネット上でも結構手厳しく非難されている国だが、「国土を失って幾星霜、ついに建国を果たしたユダヤ人の国(*1)」でもあり、「一時期ガザ地区を占領していたが、撤退した」国でもある。その隙を突いて民間人の陰からロケットを撃つような真似をハマスがしたのだから、空爆にも地上侵攻にも、少なくとも一定の正当性がある。
 建国当初はいろんな意味で強力なアラブ諸国に囲まれて、累卵の危機が続いた国であり「マッサダ・コンプレックス」はあって当たり前の国。「マッサダは二度と落ちず」と言うイスラエル国防軍兵士の誓いのことは以前にも書いたな。

 技術的に言うと、何しろ戦車の改造が大好きな国で、弾道ミサイル防衛にも熱心。アメリカのBMDとは全く別にアローミサイルシリーズなどの独自の弾道ミサイル防衛を開発しようとしている。
 そんなこんなでイスラエルが、一人頭国防費の世界第2位というのは肯けるし、ある意味、妥当な線だろう。「アラブは50回負けてもアラブだが、イスラエルは一度負けたらそれっきりだ。」と言うことは、さすがにないようには思うが、今だそれに近い現状というのも事実だろう。

 翻って我が日本は第8位の辛うじての「入賞」

 むろん、国防費というのは国防にかかる費用。イスラエルやロシアや中国のように徴兵制で兵隊の給料が安い国と、我が国のような志願兵制で兵隊に相応の給料払わねばならない国(*2)を、国防費だけで論じるのは誤りであるが、ならばなおのこと、日本のこの地位の低さは目立つ。

 国防費総額では世界で良い線に行くのだが、志願兵制で給料が高いから、正面装備に廻るのは1割かそこら。未だ74式中戦車が、主力戦車である所以だ。

 「国防費は国民総生産GNPの1%以下にすべき」という議論がやかましくいわれた頃が昔あった。1%を越えることを親の仇か何かみたいに言う奇妙な論理であった。

 で、ある人の曰く。「いっそのこと、GNPを国防費の百倍にしてはどうか。」
 ある種のブラックジョークである。但し、痛烈な。

 それは兎も角、
 EUやNATOの東方拡大著しい欧州と違って、我が極東の情勢は予断を許さないものが続いており、当面続く。

 果たした、8位入賞で良しとすべきか?
 
 国防も国政の一環である以上、国民諸君の検討と決意が必要である。
 
 いかに、国民。

<注釈>
(*1) 他に類を見ないと言う意味で、真の偉業である。我が日本人も、数々の偉業を為している民だが、ユダヤ人と同じ事をするのは相当難しい。
 あるとしたら、「国土を失ってもなお、天皇を頂いていた場合」だけだろう。

(*2) なおかつ我が国の人件費は世界一である。つまり志願兵制の軍隊である日本の軍人の給料も、世界一と思ってさほど間違いではない。上を行くのは、アメリカ兵ぐらいだろう。