分類して「私の歴史観」。その第1弾は、題して「『私の歴史観』観」とした。
 歴史観とはいかなるモノで、何故重要かという話から始まって、追々私自身の歴史観を開陳し、そうしながら歴史の、特に我が国の歴史の面白さ、偉大さについて勝手気儘に論じていこうという趣旨である。
 あくまでも「私の歴史観」であり、私は歴史学者ではない、一介の歴史マニア・戦史マニアにしか過ぎないので、必ずしも歴史学の定説や、時としては歴史の「事実」にすらも拘らないであろう事を予めお断りしておこう。
 が、御指摘や議論は無論のこと大歓迎である。
 
 「Reupublic, I like sounds of the word. It means people can live free. TALK FREE.」-映画「Alamo」から-

1. 人何によって自己を知るか?

 唐突だが、人は何によって自己を知るのだろうか?自己が何者であるか、どうやって確認或いは認識するのだろうか?
 聞くところに依ると、ある金持ちは金庫を開ける前に必ず鏡を見て、自分が自分である事を確認した上で金庫を開けるという。まあ噂話か伝説の類で、こいつが事実であると断言しかねる(※1)ものではあるが、自己を確認する手段として「鏡を見る」と言う方法が有効である事を、この話は示している。人間の「自己」とは人間の肉体の内にあり、その肉体を識別・確認する手段として「鏡を見る」と言うのは有効な手段である。
 だが、鏡は人間の内面までもは映してくれない。表情などから感情の一端は探れても、何を好み何を畏れるか、どういう考え方をするか、は鏡では判らない。
 さらに自己・個人ではなく、自分の社会はどうあるか、或いはどうあるべきか、をどうやって知るだろう。「自己の社会」とは家族であり、職場であり、学校や会社、町や市、国や党等である。これらも当然、鏡には映らない。
 
 自己及び自己の社会を人が知るのは、他者及び他の社会と比べる事に依る。
 
 その他者を、空間軸方向に求めれば、それは他人、他社、他国等であり、時間軸方向に求めれば他の時代と言うことになる。他の時代と言っても普通の人間は未来を見通す水晶玉は持っていないから、必然的に過去の時代、即ち歴史と言うことになる。
 
 言い換えれば、歴史をどう観るかは、自己をどう評価するかの基準である。従って歴史観は、世界観共々社会認識の評価基準をなしている。
 故に、「過去の時代がどういう物であったか。」と言う歴史観は、「今の世界、自分以外の社会はどうなっているか」と言う世界観と同様に重要である。

<注釈>
(※1)鏡を見たら自分以外の何者かが映っていた場合、この金持ちはどうするのだろう。用心して金庫は開けず、いつもの自分の顔が戻ってくるまで、待つのだろうか。


2. 御国自慢は人間の原初的感情である。

 人間には通常、身贔屓というものがある。自分のことや自分の身内のことは、判っていても悪し様には言いにくいし考えにくい。この身贔屓が世界観や歴史観に作用すると「御国自慢」と言うことになるだろう。世界一や世界初の記録を集め、認定しているギネスブックと言う本が毎年発刊されているが、これなぞある意味「御国自慢の集大成」と言える。結構な厚さの(また結構な価格の)本が自称「聖書の次に売れている(※1)」
 つまり、御国自慢は万国共通のものであり、人間にとって原初的な感情だと、少なくとも私には思われる。
 
 無論身贔屓は、公平な評価とはほど遠い。従って御国自慢が「公平な」歴史観や世界観の障害となることはあり得るので、公平・客観・冷静を目指す場合には用心すべきだろう。
 
 だからと言って自国や自国の歴史を貶める、自虐世界観・自虐史観を取ることも、また公平な評価からはほど遠いと知るべきであるし、第一、不自然だ。
 不自然というのは無理がかかっていると言うこと。何を以ってそのような無理がかかるのかは人それぞれであろうが、自由な立場から公平な評価を目指すのならば「御国自慢と言うものはある。」と認識した上で御国自慢に沿った「自然な」歴史観・世界観を評価するのが早道だろう。

<注釈>
(※1)「コーランよりも?」と言う突っ込みは、下手すると命がけだ。般若心境よりは確実に売れているだろう。「毛語録よりも?」は微妙なところだな。


3. 歴史観は人の数だけあって当たり前である。

 「公平・客観的・冷静な歴史観・世界観」が必要な場面は、例えば選挙だろう。我が国、我が市、我が町、我が社会をどうしたいか、どうするのが理想かを考える際に、その考えは当然その人の歴史観・世界観に依存するのであるが、より正しい判断を下したいと言う場面(例えば選挙)において、意識してか無意識にかはあっても、より公平な・客観的・冷静な判断が求められ、その人の判断基準、社会観、ひいては歴史観・世界観は再検討なり再検証なりが求められることになる。

 さてこのとき、政府謹製だかなんだか知らないが(※1)統一的な「正しい歴史観」「正しい社会観」が示されて、国民はこれを嬉々として受け入れる可き、であろうか。
 
 否。断じて否。
 
 歴史観も世界観も、社会観の重要なバックボーンであり、そうであればこそ、真の民主主義の元では歴史観・世界観は人の数だけあって当たり前である。
 個々の歴史観に対して学校での歴史教育が、(下手すると致命的なほどに(※2))重大な影響力を持つ事はあり得るが、だからと言って学校で教える歴史とて、神ならぬ身の人がなす事。絶対の真理ではあり得ないし、真理と見なすべきでもない。
 いくらある割合の国民が、学校卒業以降歴史なんてものを全く考えないとしても(※3)、だから学校で教えていた歴史観が絶対であることは意味しない。むしろ、検証されたり議論されたりする対象出ない場合は、真理の逆であると見なして差し支えない。
 
 そもそも、「正しい」歴史観なんてのは、「正しい」とされるが故に眉唾である。社会観のバックボーンをなす歴史観は、自由な議論の対象であるべきであり、それ故に、千差万別であって然るべきだ。「お隣と同じ」を以って良しとする、日本社会であってもだ。
 
 逆に言えば、歴史観、世界観の個々人による相違を認め、自由な議論の対象としていればこそ、正常な民主主義であると言える。

<注釈>
(※1)赤星マークか白星マークが付いているかも知れないし、太極印が入っているのかも知れない。
(※2)用心すれば大丈夫だ。例えば私のように、ひねた見方をしていれば。短波ラジオで平壌放送や北京放送、モスクワ放送を、宣伝と承知で聞いている中学生だったのだ。私は。BBCはさすがに宣伝が上手かった。
(※3)この点、時代劇や歴史小説が一定の市民権を持つ日本の社会は、かなり有望だと思うのだが。


4. 村山談話と「正しい」歴史観-歴史観を強制・統制することの愚-

 さて、長々と「私の歴史観」観について述べてきたが、結論は本章のタイトルを見れば明らかだろう。
 
 歴史観は、世界観共々、社会認識の重要なバックボーンである。それ故に、それは自由な議論の対象であるべきだ。
 従って、真の民主主義の下では、歴史観は人の数だけあるのが当たり前である。私と貴方では違って当たり前で、同じだったら「おや、気が合うねぇ。」と言うことだ。
 
 であるならば「正しい歴史観」等というもの、主張するものには十分な用心が必要でる。それは「正しい」のではなく、「それを主張する者に都合が良い」である可能性が大きい。
 無論、近隣諸国に配慮して歴史教科書を作り、「近隣諸国に配慮した歴史観」を教育するというのは、自国の利益にならず近隣諸国=他国の利益になるないばかりか、歴史教育の権威を自ら地に落としている事になる。
 況わんや、閣議決定とは言え一定の歴史観を強制・統制するなど、民主主義の自殺である。その一定の歴史観が、近隣諸国に阿った自虐史観とあっては、自ら思想侵略に門戸を開いているに等しい。開いた口がふさがらないとはこの事だ。
 ましてや、その村山談話を、国防の第1線にあるところの自衛官に強制するならば・・・敗戦と亡国はもう目の前だろう。
 
 村山談話は即刻破棄することを至当と認める
 民主主義国家では、歴史観は強制されない。歴史観は、自由な議論の対象である。
 
 Freiheit in der Hand!
 自由を、我が手に。

5. 予定目次

私の歴史観 -予定目次-

1 私の「歴史観」観

 以下は現在考えているネタではあるが、必ずしも年代順に並んでもいないし、また年代順にも発表しないであろう。ついに発表しない者もあるかも知れない。

2 天地開闢の事

3 古墳時代 「面積で世界最大」の仁徳天皇陵

4 「技術の伝承」 伊勢神宮の式年遷宮

5 世界最古の木造建築物 5重の塔

6 世界最大の金属像 奈良の大仏

7 世界最古の女流文学 源氏物語

8 「勅封の威力」 奈良、正倉院

9 「外来技術の吸収と普及」鉄砲伝来の事

10 外来技術の応用 信長、3段構えの鉄砲隊

11 1対14からの攻勢 4倍の首級 -凄絶!島津義弘と朝鮮の役-

12 人間復興の開花 伊能忠敬の日本地図

13 黒船襲来 我々は眠っていたか?

14 目的あっての技術開発 下瀬火薬、伊集院信管、マルコーニ無線機

15 「鉄道は英国が発明した。鉄道網は日本が発明した。」 「応用問題の天才」と言われる所以

16 文明開化と和魂洋才 「君子は和して同せず。」

17 屍山血河死屍累々 -旅順攻略戦に見る近代戦-

18 海戦史上最も完全な勝利 日本海海戦

19 世界恐慌と経済ブロック 植民地を持たない事の限界

20 東亜侵略百年の野望をここに覆す 大東亜共栄圏、八紘一宇思想の歴史的意義

21 「詩的であるとしても異とするには足らない」 軍艦名の美学

22 陸奥と長門は日本の誇り -16インチ砲戦艦と海軍休日-

23 我等のみ 18インチ砲戦艦大和級

24 神話たり得る兵器 零式艦上戦闘機

25 乾坤一擲-真珠湾「奇襲」を巡る考察-

26 潜水艦の「正しい」使い方  -通商破壊と艦隊決戦-

27 統帥の極致か、統帥の外道か。 -神風特別攻撃隊のこと-

28 願いを込めて -人間魚雷「回天」-

29 「過ち」は誰のものか? -原爆投下と戦略爆撃-

30 「ドイツは敗れたり。海を知らざりき故に。」WWI -大東亜戦争の「敗因」考-

31 日本人の牙を抜け -マッカーサー占領政策と、その重い後遺症-

32 鉄道は、航空機や自動車に抗し得る -新幹線と言う偉業-

33 「世界一の物は日本製」 -カメラ、自動車等の地位獲得-