報じられているは、ロシアの大型対潜艦・・・と言う呼称は一般的でないから「対潜駆逐艦」としよう・・・がパナマ運河を通過。ソ連=ロシア軍艦としては第2次大戦後初めての事だという。
 このロシア軍艦Admiral Chabanenkoがはるばる南米なんぞにやって来て、パナマ運河を通過したのは、反米姿勢を打ち出すベネズエラ大統領の招待で、ロシア-ベネズエラ合同演習も実施したと言う。
 とは言え、ロシア本国からすれば地球の反対側のような南米に、ろくに商船隊もないロシアの軍艦が現れるのを、「ベネズエラに対する熱き友好の故」としか思わないとしたら、相当おめでたいと言わざるを得ない。

 軍艦動かすには燃料が要る。乗組員だってタダ働きじゃない。(徴兵制のロシア軍なら、相当安くはつくけれど。)燃料も給料も、詰まるところは税金であるから、無駄な支出は避けるが道理。ましてや「前例のない出費」ともなれば、なかなか通らないのが役人根性というのは、洋の東西を問わない。
 つまり、「第2次大戦後初のソ連=ロシア軍艦パナマ運河通過」と言うのは、それだけロシア政府、ロシア海軍に思うところがあると見るべきだ。
 そのことは「中南米カリブ地域でのロシア軍の存在感の高まりを反映するもので、アメリカの「裏庭」と呼ばれてきた同地域における米国の影響力に、対抗する姿勢と受け取られている。」と報じられている。

 早い話が砲艦外交だ。
 かくのごとく、砲艦外交未だ健在にして、この世界は利害衝突と悪意に満ち溢れている。
 従って、「平和を愛する諸国民の公正と信義」なぞ全く信頼できないし、そんなものを信頼して「われらの安全と生存を保持」できる保証など何もない。
 
 手元の情報によると、当該軍艦Admiral ChabanenkoはUdaloyII級の諸元は下記の通り。「対潜」と言う割には原型のUdaloy級にあった対潜ミサイルの換わりに載せた対艦ミサイルSS-N-22の巨大な発射筒が目立つ艦。対潜戦はヘリコプターと魚雷発射管に任せて、主たる任務はSS-N-22による水上打撃と見た。
 そういう意味では、砲艦外交にはうってつけの艦、とも言える。 
 懐かしきかな連装砲塔と言うのも、見ようによっては迫力があるしね。

艦種:DD 艦名:UdaloyII級 満載排水量:8,900t 全長:163.5m 主機:COGAG 速力:28kt      兵装:SA-N-9 短SAM用VLS(8発収納回転式)×8 SS-N-22 SSM四連装発射筒×2  130mm連装砲×1 航空機:ヘリコプター×2 同型艦:1隻 Admiral Chabanenko