報じられているのは、九月にイスラエルの空爆を受けたシリアの施設について。IAEAの調査でウランが見つかっているそうだが、シリアの外相が言うには、このウラン痕はイスラエルのミサイルの残留物であり、空爆で破壊された施設は「核関連ではない軍事施設だった」と言っているというもの。
 
 ウランと言えば勿論核兵器の材料でもあるのだが、劣化ウランが砲弾として使われているのは有名。ウランは密度が高いので、高初速の徹甲弾に使うと貫通力が高まるのだ。
 が、対地ミサイルというのはまず亜音速。速度が低いので運動エネルギーによる貫通は期待しがたく、対戦者ミサイルでも化学エネルギーによる貫通を利用した成型炸薬弾頭が普通だ。
 言い換えれば、今回のシリア設備を空爆したイスラエルのミサイルに、ウランが使われている可能性は低い。
 重目標に対する徹甲ロケット弾にウランが使われているという可能性が考えられなくもない、が、シリア外相が嘘をついている公算大とすべきだろう。
 
 とすると、このウランは、アメリカの主張通り、各関連施設であった公算大となる。「イスラエルのミサイルの痕」などと苦しい言い訳をするところが、ますます怪しいという心証を受ける。
 
 まあ、北朝鮮の「北朝鮮の支援により建設された」と言うアメリカ政府の主張を裏付けるものではないが・・・