報じられているのは、ドイツ初の洋上風力発電所のテストプラント稼働開始。報じられているところによると、発電能力5メガワットで、その発電能力は「優に5000世帯への供給が可能」と言うから、なかなか大したたものだ。
 さらに、北海に洋上風力発電所を建設する計画があり、「ボルクム(Borkum)島の100キロ沖に80基を建設するもので、建設は来年初めにも着手される。」と言うから、下手すると2ヶ月後には建設開始。今年までにこのプラントで十分な成果・実績が上がる見込みと言うことらしい。
 と言うことは、やたらに(不合理なまでに)自信があるか、今回のプラントが規模も含めて実機に近いということだろう。

 一般に洋上の方が陸上より強い風が吹くと言われており、地形が単純な分、風向も安定しているのだろう。
 80基の風力発電所が今回のプラントと同じ5メガワットの発電能力を発揮すると仮定すると、合計400メガワットで、40万世帯への電力供給が可能と計算でき、ちょっとした都市の家庭用電源はこの風力で賄える勘定だ。
 
 しかし、いくつか気になることもある。

 一つはこの写真の形状。短い上に高さもない胴体の先端に3翔の大型風車が付いた形状は、どう見ても風見安定がありそうにない。と言うことは、風上方向には風以外の動力を使って向けるか、建設時に風向きは想定して固定してしまうかと言うことになる。いずれにせよ、安定した風向きが前提で、建設地を選ぶ、と言うことになる。
 もう一つは沖合100kmという距離。
 領海は12海里=約22kmであるから「ボルクム(Borkum)島の100キロ沖」は領海外。200海里の漁業専管水域内ではあるかも知れないが、EU統治下のドイツならばこそ可能なロケーションと考えられる。

 言い換えると、洋上風力発電所というコンセプトは、そうおいそれとは真似できない、と言うことだ。