報じられるところによると、我が航空自衛隊が配備しているPatriotの弾道ミサイル迎撃型PAC-3の初めての発射試験に成功したとの事。因みにPAC-3でないPatriotは毎年のように発射訓練をやっているのでニュースにはならない。
 「これで日本の防衛は盤石」と言うには、PAC-3の射程も配備数もまるで足らないけれども、「120キロ離れた地点から打ち上げられた模擬弾を撃ち落とした。」と言う事は試験は一応成功したということでしょう。まずは弓矢八幡の御加護かと。めでたきかな。
 「撃ち落としたのは模擬弾であり、実機の迎撃は不可能」とする主張もあるようですが、湾岸戦争でPAC-3の先輩PAC-2がスカッドミサイル迎撃の実績を少ないながらも挙げているのですから、弾道弾迎撃に特化したPAC-3が「実機の迎撃不可能」な筈はありますまい。
 「PAC-3単体では迎撃できず、米軍の衛星との連携が必要」と言うのは現状事実でしょうが、どうしても必要ならば、自前の警戒衛星を打ち上げるだけの話。わが国にはその技術も金もあるのですから、今米軍の目や耳を拝借するからと言ってPAC-3を無用とする根拠にはなりますまい。
 「PAC-3は米国開発だから、日本としてはなにも自慢にならない。」という主張もあるようです。私も血の赤い日本人ですから、できる事なら国産の弾道ミサイル防衛兵器を大量配備し、以て宸襟を安んじ奉りたい処です。が、現時点で米国に依存しない弾道ミサイルを可能としているのは、Arrowシリーズを配備しているイスラエルぐらいでしょう。
 米国開発の陸上発射のPAC-3とイージス艦発射のSM-3BlockIを配備しつつ、SM-3BlockIIを日米共同開発する、という今の日本のスタンスは、ことミサイル防衛構想という一点に関する限り、そう間違ったものではなさそうに、私には思えます。

 後は、配備する数と、そのスピードだ。
 
 「弾道ミサイル防衛用誘導弾、造れぇぇぇ」(舌噛みそうだな。)