北朝鮮の首脳部(≒金正日)にして見れば、「北朝鮮では人口の半分が食糧を探し回らなければならず」なんて状態では、何か「国威を発揚」して人民の腹の虫を誤魔化したい。が、世界注視の北京オリンピックでも、ドーピングが発覚して銅メダルを剥奪されたりして、金2銀1銅3の33位(http://beijing.yahoo.co.jp/medal/world?srt=0&p=2)とふるっていない。
 「しかたない首領様の正しい指導で開発した、この大豆麺を公表し、国威を発揚しよう!」
 ってなところと、想像します。

 どうせ誇大宣伝なんだろうと調べてみましたが、それどころじゃなさそうです。

 まずこの麺、本記事によれば主食として消費されていない大豆を、トウモロコシと共に麺にして、従来の(小麦粉主体の)麺より腹持ちが良い上、主食になるようにしたから嬉しい、と言うことになっていますが…FAO(国連食料農業機構)による推計統計によれば、北朝鮮のトウモロコシ生産量はピークであった90年代の半分以下に落ち込んでおり、家畜に食わせる飼料用にはほとんど回せない状態にあるそうです。
 つまりトウモロコシは、家畜に食わせるにはもったいなくて、殆ど全て人間様が食っている。
 北朝鮮人がトウモロコシを主食として食べるかどうか私は知りませんが、生産量からすると米と良い勝負ですから、事実上トウモロコシは北朝鮮の主食になっていると見て良さそうです。
 
 さらに大豆の生産量は、さすが主食として消費されていないだけに、コメやトウモロコシの1/3程度。

 この新型麺が、大豆とトウモロコシをどう配分するのかは不明ですが、「主食になっていなかった大豆を主食の麵とするために、事実上主食としているトウモロコシも原料としなければならない。」事は間違いありません。
 つまり、この新型麺によってできるのは、主食の水増しだけであり、それも(北朝鮮国内生産量で考える限り)全大豆生産量をこの麺にしたとしても、トウモロコシの生産量を3割ほど上げるだけである。

 新型麺の材料も、食料援助をあてにしているって事ですかね。
 
 中国は、「国民がズボンをはかなくても原爆を」と核兵器を持ったそうですが、北朝鮮はその上を行く。
 
FAOによる北朝鮮食糧事情 http://www.nihonkaigaku.org/ham/eacoex/200prob/210envi/212food/dprkfood/dprkfood.html
http://www.nihonkaigaku.org/ham/eacoex/200prob/210envi/212food/dprkfood/dprkblfd.html