小説家を目指して。 -3ページ目

小説家を目指して。

初めまして、zeroです。

結論を言おう。間に合わなかった。だから俺はこうして小日向の養源寺にある。……何、俺って清だったの? 坊ちゃんに仕える真面目な女性だったの?

 このネタが伝わる人がいることを信じつつ、俺は生徒会長のお説教を聞く ( 受け流す ) 。

「二条出雲、聞いて居るの?」

「あぁ、聞いてる」

「その言葉自体が聞いて居ないという証拠になるのだけれど……」

 ま、実際聞いて居ないから何とも言えない。というかそんなことより、俺の目線は目の前に立つ美少女に注がれていた。

 そう、彼女こそ我が校の生徒会長、土御門三門。完璧無欠の美少女のように見えるが、性格が怖いのと、絶望的に体力がないのが欠点である。だがそれを除けば、長い黒髪の天才美少女である。ちなみに彼女の学年順位は、常に二位である。……俺に負けているのが悔しいのか、彼女は何かと俺につっかかってくる。今だってそうである。

 だがまぁ今回に限って言えば、俺が悪いのではあるが。

「やべぇ……可愛い」

 こうでも言って誤魔化しておかないと、何を言われるかわかったもんではない。

「それはどうも。そんなことより二条出雲。あなたは今月で三度目の遅刻をしたのだけれど、それについて何か反論や言い訳は?」

 どうやら彼女にお世辞というもの ( 大嘘。実際の所可愛いのは本音である ) は通じなかったようだ。そう、彼女はいわば動く屍。

 俺への牽制を怠らない、ただの批難という名の屍のようだ。

「いや、悪意は無かった。ただそこに鎮座していたのは、アニメという名の深夜の誘惑だ」

「あなたに生徒顧問の自覚はあるのかしら……もういいわ。行って頂戴」

 どうやら土御門は俺の遅刻についての追及をやめてくれたらしい。まぁ、世間なんてものはそれらしい事を言っておけば何とかなるものである。だからそういう意味では、世の中口が上手いもの勝ちともいえるのである。

 そんなことを考えながら、俺は生徒会室を見渡す。

 だがそこにいるのは、土御門と俺を含めて五人の人間のみ。実際のところ、学年成績で三位以上をとっても、生徒会に入らない奴は結構多いのである。おかげでこちらは慢性的な人数不足。その上予算も少なくて、非常に大変である。主に生徒会費で購入しているゲームとかアニメのグッズとか。まぁ、それは極秘という事で。

どちらにせよ、その頂点に君臨するのは俺である。生徒顧問という、学校の最高地位の彼らが皆俺の部下だと考えると、なんと素晴らしい光景なんだろう。

 俺が優越感に浸っていると、何ともヤンキーっぽい雰囲気を持つ輩が、こちらに向かって歩いてくる。そして開口一番――

「二条。お前の顔は今日も歪んでいるな」

 この有様である。出会いがしら罵倒されるという特殊キャラも、中々居ないのでは無からろうか。そういう意味では俺もあれかな、レアケースなのかな。

「というか歪んでいるのか、俺の顔は……」

「安心しろ。お前の顔は歪んでいるし、その上精神も腐りきっているから」

「そんな罵倒方法ってある!?」

 この口が悪い輩の名前は冷泉朱雀。俺と同じ学年で、学年順位は三位。ちなみに冷泉は生徒会の会計係であり、俺の趣味を黙認してくれている、掛けがえのない協力者である。

だからその分俺を弄ることを許しているのだが――少々度を超えているのではなかろうか。

今のように軽く悪口を言ってくるあたりならまだわかる。しかもまだ許容範囲だ。