僕の新学年の始まりは、先生のマシンガン乱射から始まった。
なんでかって?ふっ、そんなことを聞くなよ。またスカートめくり、やったんだよ。
それが他のクラスの女の子だったから良かったけど、同じクラスの子だったらフラグだった。それにかんしては、神に感謝する。
「古鷹、あんたって本当に馬鹿ねー。さっきその話をしたばかりじゃない」
「いいんだ!僕はどうせ彼女ができないんだから!」
「欲求不満なんだ?」
「……葵、女に欲求不満って言われる男子のみにもなってみろよ」
「え?何?」
「……何でもない」
葵、恐ろしい子!
こいつはこいつで可愛いしいいやつなんだけど、すぐに人をからかったり殴ったりする点において、マイナスな印象を持たれてしまう。残念なやつだ。
「そういう葵は彼氏がいて、満足なんだろ?このリア充め、爆発しやがれ!」
「何言ってんの?」
「いや、だってお前このまえ告られていたじゃん、隣のクラスの山田くんにさ」
「(ボカッ)な、な、な、それ言わないでって言ったじゃん!」
「いや、すまん!頼むから公開処刑だけは許して!俺はまだこれから生きていかなきゃならないんだ!」
「そこまでしないわよ……私を暴力女とでも思っているの?」
「Yes of course」
「(メコッ)なんでこういう単語ばかり知っているのよ!」
「すまん……」
イテテ。二発目は痛かったー。顔の骨が陥没したような音がしたから、てっきり折れたものだと思っていたけど、なんとか大丈夫みたいだ。これ以上葵を刺激すると、俺の命の保証がなくなる。悔しいがここは黙っておこう。
「はーい、HR始めるぞー」
ナイスなタイミングで先生が入ってきた。
た、助かった……。
さすが先生!生徒の心をわかってらっしゃる!僕、今日から先生を崇めるよ!
「えー、今日からお前らの担任をする鬼田鉄朗だ。一年間よろしく頼む」
「「「よろしくお願いしまーす」」」
周囲から、気の乗らない挨拶が聞こえる。
だが怪人は、そんなこと構わないというような顔をしている。
「今日からこのクラスに転校生がやってくる。仲良くしてやるように!」
転校生……普通ならざわざわすることだろう。だが今回は、少し状況が違った。
今回の転校生のデータby葵によると、
とんでもなく美少女、天才、運動神経は神レベル。ここまでなら優等生だと思えるだろう。問題は、次の言葉だった。
防衛省長官の娘で魔法使い、らしい。
この言葉は、アニメ好きの輩にとってはこの上なく喜ばしいことだったが、僕みたいな普通の男の子にとってはダメージが大きすぎた。そう、僕はもう厨二病を克服したんだ!
「諦めろ古鷹。お前は卒業できない」
「いいや、絶対に卒業した!お前みたいな男の的にはわからないだろ!」
「は?いやそんなことないって…なんでみんなこちらを睨んでくるんだ?」
クラスの男子(10人)の視線が春吉に注がれる。ざまーみろ!
「男子減点10点……と」
「ちょ、待ってください先生!男子減点って何ですか!?」
「今年から方式が変わったんだよ。性別別に点数を競い、それによりクラスの覇権を決める」
「そんな……」
何てことだ!それだったらこの学校のモットー、軍において性別は関係ないという大原則がくずれおちるぞ?先生の手によって!
「ほら、入ってこい」
ガラガラガラ とドアが開き、一人の少女が入ってきた。
腰まで伸びた髪、輝く瞳、整った顔立ち。そして何より目に入ったのはおおきな胸。
何だ?どうして葵は 僕を睨んでいるの?
「フールーターカー!」
「えっ!何?僕は君の胸では勝ち目がないなんて言ってないよ!?」
「(バキバキッ)死ね!」
ひ、酷い!まだ何も言っていないのに、腹を殴ってくるなんて!絶対肋骨折れたよ!
「酷いよ葵!」
「どっちがた!」
「くっ……まだ言っていなかったのに!」
「まだ?(コキコキ)」
「いいえなんでもありません」
「こらそこの二人、少し黙れ!」
「「スミマセーン」」
「ほら、自己紹介してくれ」
「(コクリ)」
教壇に登った転校生が俺たちに向き直る。
「私の名前は山城楓です。このクラスに陸奥古鷹という方がいらっしゃると聞いたのですが、本当ですか?」
ん?何で転校生が僕のことを知っているんだ?そういや僕も、この子をどこかで見たような……あっ、まさか!いや、そんな訳はない!あり得ないよ、そんなの!
「古鷹、呼ばれてるぞ」
「おう……」
春吉に言われて、仕方なく手を挙げる。すると少女は何故か顔をほころばせた。
「あっ、お久しぶりです、ベリアルさん!」
あぁ、何てことだ。まさかこんなことが現実で起こっていいはずがない。ありえねぇ……。
僕の意識は、深い暗闇の中に沈んでいった。