「一度、俺のマンションに連れていく」椿は深刻に考える。

「どうする気だ?」時は聞く。

「俺の部屋で対処する」

そして8人はマンションに行き龍人をベッドに寝かせる。

胡桃、楽人、湖南、時は加奈から龍人の事情を聞き動揺していた。

「龍人…そんな体で」胡桃はショックを受ける。

「なんで今まで言わなかったんだよ」時も悲しく感じた。

「たぶんみんなに心配かけたくなかったんだ。それに龍人は覚悟していたから重く考えていなかったのかもしれない」

椿は龍人の診察をするがしかし治す方法は見つからなかった。

「…闇医者レベルの俺がどうにか出来る問題じゃなかったか」

分かっていたとはいえ駄目元で診断した椿だがしかし治す事は出来ないと知り落ち込んだ。

ふと椿は思いついた。

「……悪魔…来い!」

するとその声を聞き悪魔がやってきた。

「何の用だ?」

「悪魔、龍人の悪魔病を俺の体の中に移植しろ」

椿は臓器移植の手術の事を思い出しその原理で自分と龍人の内臓を取り替える事を考えた。

「何言っている。そんな事したらお前が悪魔病になるじゃないか」海斗は止める。

「そうだよ。そんな事したら椿が死んじゃうよ」湖南も反対だった。

「俺はお断りだ。お前を殺して俺が生きるなんて」龍人も拒否する。

「お前…自分が死ぬんだぞ。それなのに自分の命を捨ててまで龍人を助けるのか?」海斗は悲しそうだった。

「俺は命を守りたいだけだ。それにこれは罪滅ぼしになるかもしれない」

椿はずっと自分が死なせてしまった患者に罪悪感を感じていた。

「…悪魔頼む!」

「良いだろう」

悪魔は不思議な力で龍人の悪魔病を椿の体に移植した。

すると龍人は一気に病状が回復する。

「体が楽になった…けど」

同時に椿は突然苦しみだした。

「悪魔、続いてお願いだ。俺を元の世界に戻してくれ」

椿にはある考えがあった。

「俺は自分の世界に帰還しそこで開発されたワクチンを服用して治す」

それは龍人の父親の雄吾が作ったワクチンだった。

「でも治るの?」胡桃は聞く。

「絶対ではない、治らないかもしれない」

「そんな」湖南は崩れ落ちる。

椿は元の世界に行こうとするが苦しそうだった。

「俺が行く」海斗は志願する。

「お前はここで休んでいろ」

椿はとりあえず座り考える。

「なら俺も行く。元々は俺の問題だったんだから」龍人も賛成する。

「天使!」海斗が呼ぶと天使がやってきた。

悪魔は不機嫌になり消えていった。

「久しぶりですね。海斗さん、何の用ですか?」

海斗は天使に提案する。

「頼みがある。椿の世界に行かせてくれないか? どうしても手に入れたいものがある」

「それは何ですか?」

「悪魔病を治す薬だ。椿の世界にしかない薬なんだ」海斗は訴える。

「……本当は駄目ですが今回は特別に許可します。ただし一度に送り込めるのは3名だけです。まだこの世界に持ち込めるものは1種類1つだけでそれが駄目だった場合は諦めてください」

「まだ手に入れてもその世界には1日は待機してもらう事になります。なのでどんなに早くワクチンを手に入れても明日までは戻れないと思ってください」

「分かった。行かせてくれ」

「私も行かせて」加奈も頼んだ。

「分かった。一緒に行こう」

海斗は4人を見る。

「分かっている。胡桃、湖南、楽人、時、椿の事を頼んだぞ」

そして天使は手から虹色の光線を放ち3人は別世界に飛ぶ。

3人が目を覚ますとそこはドラックストアの中だった。

――何でここなんだ。

「とりあえず薬を探そう」龍人が言う

「これ」加奈が指をさす。

見ると悪魔病の薬が商品棚に売られていた。

「こんなにあっさり見つかるものなんだ」海斗は驚いた。

「もっと時間がかかると思っていた」加奈も同じだった。

しかし龍人は感動した。

「父さんが作ったワクチンがこうやって棚に並んでいるなんて」

そして3人はワクチンを購入し任務を達成した。

「まさかこんなにも早く見つかると思わなかったな」

「でも明日までは戻れないんでしょ」加奈は言う。

「1日とはいえ、その1日で病状が大きく変わらなければ良いんだが」龍人は椿が心配だった。

すると3人の横を1人の男が通る。

龍人は驚き目を見開いた。

「父さん?」

男は龍人の父親の雄吾だった。

雄吾は振り返る。

「龍人? 龍人なのか?」雄吾は目を疑った。

雄吾は龍人の側に来る。

「龍人、すまなかった。勝手にいなくなって」雄吾は謝った。

「父さん、俺を救うためにこの世界に来ていたんだろ」龍人は震えていた。

「その通りだ。でも何でお前がそんなことを」

「椿から聞いた。椿は悪魔の力で俺の世界に来ているんだ」

「そうだったのか、椿は無事だったか」

雄吾は警察に失踪届を出しており椿を探していたもののしかし見つからず椿は死亡したと考えていた。

おんな2人の姿を見て海斗と加奈も感動する。

3人は雄吾の家に案内される。

それは雅夫が生前住んでいた家で椿がいなくなった後は1人で暮らしていた。

「水崎君、火高さん、息子は迷惑をかけていないかな」雄吾が2人に聞く。

「いや、そんな事ないです。むしろ龍人からは色々助けてもらっています」海斗は答えた。。

「龍人、良い友達を持ったな」雄吾は嬉しかった。

そして雄吾は聞いた。

「そういえばなんで龍人達はこの世界に来たのかな?」

雄吾の質問に3人は黙り込む。

「……椿が悪魔病なんだ。俺の悪魔病を自分に移植したため」

雄吾はすぐに悪魔の力と察した。

「そうだったのか…だからワクチンを購入しに来たのか」雄吾は深刻に考えた。

「……今日は泊まっていくと良い。外は寒いと思うし高校生にホテル代は高い」

「ありがとうございます」加奈は感謝する。

そして3人は泊めてもらう事になった。

翌日、海斗達3人と雄吾が待っていると天使がやってきた。

天使を見た雄吾は驚きそして初めて天使の存在を知った。

「3人を元の世界に戻します」

「天使頼む、俺も元の世界に戻してくれ」雄吾は頭を下げる。

海斗達は天使を見つめる。

「……良いでしょう。というよりそもそもあなたはこの世界にいてはいけないのでどっちにしろ元の世界には連れていきますよ」

「ありがとう…でも後で別れの挨拶をしたい人が何人もいるんだ」

天使は考える。

「……なら後でもう1回戻って来ると良いです。今はもう1人の息子を優先しましょう」

「ありがとう」

雄吾は龍人を見る。

「龍人、お前が良いなら元の世界に戻ったらまだ一緒に暮らそう。普通の家族のように長く暮らせるかは分からないけど」

「勿論いいよ、父さん」龍人は笑顔で言った。

雄吾は笑顔になる。

そして海斗と加奈も安心した。

天使は手から虹色の光線を放つと4人は椿の部屋に辿り着いた。

「海斗!」時は驚く。

「その人は?」

「俺の父さんだ」龍人が言う。

龍人が目線を下ろすと椿の容態が悪化していた。

「父さん……なぜ」意識が薄れていく椿は驚いた。

「椿、しっかりしろ」

海斗はすぐに椿に薬を飲ませようとしたが雄吾が気付いた。

「これは…もう薬じゃ治らない」

「どういう事ですか?」湖南は声を上げた。

「ここまで悪化していたらいくら椿の世界の技術でも治らない。でもなぜ椿が悪魔病に」

雄吾はどうするべきが考えそして覚悟を決めた。

「悪魔…来てくれ」

「どうしたかな?」

振り返ると悪魔が現れた。

「…悪魔、椿の悪魔病を俺に移してくれ」

雄吾の言葉に海斗達は驚く。

「何、言っているんだ。そんな事したら父さんが死ぬじゃないか」椿は拒否する。

「お前だって俺と同じ事をしているじゃないか。それに自分の息子が死ぬのを見るぐらいなら」

雄吾は龍人を見る。

「龍人、お前は俺の息子だ。自分の命よりも大事な命だ。母さんも自分にとって龍人は本当の命だと言っていた」

「椿、お前とは血は繋がっていないがお前の父親のおかけで俺は希望を持てた。だからお前達を死なせるわけにはいかない。これは雅夫への恩返しだ。それに俺は癌だ」

海斗達は驚いた

「だからもう長くない。今更悪魔病になっても問題ない。龍人、椿、お前達を守れるのなら俺にとってはそれが幸福だ」

「父さん…」龍人は悲しそうだった。

「悪魔、頼んだ」雄吾は叫ぶと悪魔は願いを聞き入れ椿の病気を雄吾に移した。

椿は楽になり同時に雄吾は苦しみだす。

「父さん」龍人が駆け寄る。

椿も側に行く。

「良かった。2人が元気そうで」雄吾は辛そうなものの笑顔で話した。。

その後、龍人は雄吾と一緒に暮らす事になる。

2週間後、雄吾は亡くなった。

その後、お葬式が行われ雄吾の墓が建てられた。

「父さん、最後は笑顔だった」龍人は嬉しく思った。

最後はもがきながら死ぬと思っていたものの意外と元気で死んでいった。

「そうか、お前の父さん良い人だったじゃないか」海斗は雄吾と過ごした1日を振り返る。

数日後、椿は雄吾のお墓参りをする。

椿は誓った。

――俺は人を傷付けない方法で人を救う。

椿は復讐屋をやめる決意をした。